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236話:ユッチとヤスの料理教室

10月22日の放課後。

くぅ……疲れた。

今日の練習は15キロ、大体外周18周。

最近は毎日1キロ4分のペースでいつも走っている。ポンポコさんから与えられたノルマ。

5日連続で15キロをキロ4分で切れるようになったら次のステップに進もうとのこと。

今日で3日目、このキロ4分ペースで走るぐらいなら大抵大丈夫だ。


「お疲れヤス」


「ありがとっす、ポンポコさん」


短距離の練習の合間を見ていつも様子を見に来てくれるポンポコさん。

ほんとにいつもありがとうと思ってます。


「ところでヤス、ちょっとタイムを見せてくれ。出来ればこの3日間全てのタイムがあると嬉しい」


いっすよ……この3日間分の記録を書いた通称『ポンポコノート』を手渡す。


「……ヤス、3日とも同じような傾向があるのだが、11〜15周目のタイムが落ちすぎだぞ。今のヤスの実力ならここまで中だるみはしないと思うのだが」


「へ? そんなにタイム落ちてる?」


「10周目までのラップの平均は1キロ3分55秒、ここまではとてもいい感じだ」


ありがとっす。


「だが、11周目から15周目、平均4分5秒まで落ちている。1キロ4分8秒まで落ちている時もあるな」


「……全体でタイム、きれているからいいかって思ってるけどダメなんかな?」


「理想は同じタイムでずっと走り続けるのがいい。そこまでは求めないが、さすがに落ちすぎだ。おそらくヤスの中で無意識に、『もうノルマは達成できるから多少は手を抜いてもいい』という心理が生まれているのだろう」


……そんなこと考えたこと無いんだが。

無意識って怖いなー。


「11〜15周目は意識的にペースを挙げることを考えて走るようにな」


「ラジャです」


明日から気をつけよ。





その後筋トレして練習も終わり、みんなと帰るとこ。

校門前で俺、サツキ、ケン、ユッチ、アオちゃん、ポンポコさんの6人でちょっとしゃべってる。


「やすう、今日はヤスの家に泊まっていい?」


「…………………………は?」


いや、前にもユッチを泊めたことはあるから深い意味は無いとは思ったけど、ドキッとしたぞその言葉。


「ユッチ、そんな危険な言葉をヤスに言っていいのか? ヤスはけだもの、変態だぞ」


……ケン、俺は一体なんなんだ? そんなことをした記憶は全く無い。


「そうですよユッチ、自分を大事にしてください」


アオちゃんまで何を言い出す。


「ケンもアオちゃんもメチャクチャ言うなよ! ってか、サツキもケンもいるんだから何も起こりようが無いだろうが。2人とも変なことを口走るな!」


「はあ……アオちゃん、ユッチが勇気を振り絞ってヤスの家に泊まりに行きたいって言ったのに、ヤスのこの反応はどうよ」


「ヘタレですね」


「だよな、ヘタレだよな」


「今後ヤス君のことはヘタレ野郎とでも呼びましょうか」


「おおいいね、そのあだ名」


ひでえ、事実を言っただけなのに。


「アオちゃんもケンも変な事言ってないでよお。今日はボクとポンポコの2人で泊まりに行きたいんだあ。いいかなあ」


「……なんで?」


「お昼休みにポンポコに料理教えるって言ってたじゃんかあ。じゃあ、ヤスの家でやりたいなあって」


あ、ほんとにやるのか。てっきり『やろうやろう』って言って結局やらないまま忘れ去られていくかと思ってたのに。


「もうボクもポンポコも今日はヤスの家に泊まりに行くって言ってあるからさあ、ダメかなあ?」


……おい。


「既に決定事項か? 俺がダメって言ったらどうするつもりだったんだ?」


「ケンに『ヤスの家は後で確認とればいい。絶対大丈夫だから』って教えてもらったから」


……ケン、客用の布団の準備とか、泊まりにきた分の夕飯とか、その辺りをちょっとは考えてくれ。










結局ユッチもポンポコも泊まりにくることになった。

アオちゃんだけ泊まりに来れなかったので、電車での別れ際何だか寂しそうだったけど、しょうがない。

アオちゃんは今度何か誘いましょうか。


俺の家に着いて、サツキにはポンポコさんとユッチ用の布団を出してもらい、ケンはとりあえず変なことを口走った罰として居間で正座させてる。しかしケンのやつ、正座に慣れてるのか全く効果が見られない。もうちょっと効果的な罰がないだろうか。

んで、俺とユッチとポンポコさんの3人は現在台所に。3人も並ぶとちょっと狭い。


「それではユッチ先生、ヤス先生、今日はよろしく頼む」


ポンポコさん、先生って何だかこそばゆい。


「ユッチ、なにを作るか考えてるのか?」


「何にも? ヤスが考えてくれたんじゃないのお?」


……ユッチに期待しちゃダメだったか。


「さてポンポコさん。凝った料理を作ろうと思うと料理は難しいかもしれないが、簡単な料理ならそこまで難しくない」


「ふむふむ」


「ついでに手抜きをしようと思えば結構できてしまう」


「ふむふむ」


「例えばご飯! 昔はお米を研がなければならなかったけど、今では無洗米がある。炊飯ジャーの中に米と水を分量通りに入れて、後はボタンをポチッと押すだけでふっくらおいしいご飯の出来上がり!」


技術の進歩って素晴らしい。


「ヤスう、無洗米は邪道だあ!」


「ええやん、楽できるんだし」


「ダメだあ! そうやって楽しようとしてちゃおいしくならないんだあ!」


「なに言ってんだユッチ、無洗米にしたからってそうそう味が落ちる訳じゃないぞ」


むしろ研ぐのが下手な人の場合は無洗米の方がおいしく炊けるのだとか。


「ええええ!? そうなのお!?」


「そうだぞ、もしユッチが食べた無洗米がまずい無洗米だったんなら、それは選んだブランドが失敗だったんじゃん?」


無洗米でもうまいもんはうまい。


「そうなのかなあ……ボクが食べた無洗米、まずかったんだけどなあ……」


隣でブツブツ文句言ってるユッチはほっといて、ポンポコさんに作り方を教えましょか。


「と言う訳でポンポコさん、やってみよう。今日は5人だから……3合くらいたいてみよう」


ユッチとサツキ、ケンも俺もかなりの量を食べるので3合。

余ったら余ったで父さんと母さんの夜食にすればいいし。


「ほい、計量カップで1合、2合……」


「1合、2合……」


おしおし、ポンポコさん、間違える訳が無いよな。


「それで水をラインまでいれて……」


うんうん、こんな所は間違えないよな。


後は蓋を閉めて炊飯ボタンを押すだけ……こんなん見る必要も無いだろ。


「……あれ? ポンポコさんどこへいくんすか?」


「いや、ちょっと欲しいものがあってな……あ、これだ」


……はい?

何故かポンポコさん、棚から食塩を取り出す。


「……えっと、何に使うの?」


「昨日二兄が作ってくれた塩味のお粥がすごくおいしかったのでな。今日もその味を再現してみたいのだ」


そういいながら大量に塩を炊飯器の中に入れようとするポンポコさん……ってぼーっと見てちゃダメだろ!


「ストップポンポコさん! ダメダメダメダメ!」


「なにがダメなのだ?」


ダメって言ってんのに、手を止めず塩を投入。

……ああ……うわあ……ポンポコさん……そんなに塩入れてどうするんすか。しょっぱくて食えたもんじゃないっすよ。


「なぜがっくりしてるのだ? ヤス」


「ええと……最初からやり直しをしなければならないことがショックです」


塩水捨てて、洗えばきっと食べれるよな。無洗米なのに洗わなければならないとは……無念。

おはようございます、ルーバランです。


一昨日昨日と2日連続で投稿できず、誠に申し訳ないです。年度始めなので残業が多い……。


初心者の料理の失敗って大抵何かオリジナルなことをしようとして失敗するケースが多い気がします。


私が女友達にホワイトデーの時にゼリーを作ったら、友達も真似て彼女にゼリーを返してました。

友達は『ゼリーの中に果物入れたらさらにうまいんじゃねえ?』って思ったらしく、バナナを入れたそうです。

「味見した?」

と聞いたら、『そんなんうまいと思ったからしてない』と答えてました。友達の彼女に渡したとき、バナナは真っ黒になってたとか。味は……。


レシピ通りに作ろうと思った逸話。

それでは今後ともよろしくお願いします。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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