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235話:ぷよぷよお弁当

今日は10月22日、お昼休み。


昨日はなにも変わらなかった。ウララ先生を引き連れてもう1回長距離の先輩たちを説得に向かったが全くもって変わらなかった。


俺が毎日弁当作ってやるぞともので釣ってみた。男からの弁当なんぞいらんと言われた。

……サツキには大好評なのに。


今頑張ればもれなくウララ先生と1日デートが出来るぞと異性で誘惑してみた。ウララ先生に殴られた。体罰反対。


「病気で戦ってる友達に、『俺は試合で負けない、だからお前も病気に負けんな』って励ましてきたんだ! だから俺は負けられないんだ!」って情にうったえてみた。『なに作り話してんの?』ってサツキのツッコミが入った。

全員から白い目で見られた。


他にも色々試したんだが、めんどいからいや、しんどいからいや。面白くないからいや。いやん、ばかん。そんな言葉ばかりかえってきて疲れた……もういや。


「てめえらあ! 人の言うことをちったあ聞けやあ!!」


「や、ヤスう。いきなりどうしたんだあ」


この怒りを思いっきり叫びたい気持ちなのだ。








屋上にていつもの『全国行くぞお!』という雄叫びをした後、ユッチとポンポコさんと3人で昼食。

ポンポコさんは今日は近くのコンビニで買ったサンドイッチを食べてる。


「ねえねえ。今日のボクのお弁当はぷよぷよお弁当なんだよお」


「ぷよぷよお弁当?」


聞いたことが無い……一体それはなんじゃらほい。


「見てみてえ! すごいでしょお!」


パカッと開かれたお弁当箱の中身を見てみると、まんまるに握ったおにぎりが1、2、3、4つ。ぐるぐるに海苔を巻いてご飯が見えないくらい真っ黒にして、チーズと海苔で目ん玉作ってた。


「ボクの改心の出来なんだよお! 中身は鮭、オカカ、梅干しともう1個はシーチキン!」


ナイスなチョイス。どれもうまそうだ。


「く、かわいいじゃねえか……」


お弁当にかわいらしさを求めるとは……料理は味がうまけりゃそれでいいかと思う時もあるが、こんなかわいらしいお弁当を見せつけられてしまうと、見た目も大事だと思わざるをえない。


「でしょでしょお? ヤスにはあげないからね」


……見せつけるだけかい。1個くらい食べさせてくれよ。


「だがユッチ、今のままでは大きな欠点がある」


「……はあ? なんなのさあ」


「それはぷよぷよおにぎりじゃない……それではまっくろくろすけおにぎりだあ!」


そう、ユッチのおにぎりは海苔で巻かれているため真っ黒なのだ。それではカラフルでいろんな色を持ってるぷよぷよとは言えない。


「ヤスのバカあ! なんて事言うんだよお! これはぷよぷよだよお!」


「ほほお? どこがぷよぷよだというのかな?」


「かわいいじゃんかあ! このかわいらしさがぷよぷよなんだよお!」


確かにかわいらしい、くりくりっとしたまんまるなおめめ。食べてしまうのがもったいないくらい……だが!


「ユッチ、残念ながら真っ黒なぷよぷよなんていないんだ。いるのは赤ぷよ、緑ぷよ、青ぷよ、黄ぷよ、紫ぷよの5色のぷよぷよだけだ」


「黒ぷよがいたっていいじゃんかあ! すごくかるめに握ったから柔らかくてプヨプヨしてる所もぷよぷよっぽいじゃんかあ!」


「ふむふむ……あくまでユッチはぷよぷよだといいはるんだな」


「ヤスがなんと言おうとこれはプヨプヨだあ!」


ふっふっふ……かかったな、ユッチ。


「ユッチ……ぷよぷよと言うのはな……4つくっつくと消えるのだあ!」


そう宣言すると同時に4つ並んだぷよぷよおにぎりのうちの1個をすかさずユッチの弁当箱からかすめとり大口を開けて自分の口の中へ放り込む。


「ああああああああ! ヤスう……ボクのぷよぷよおにぎり食べるなあ!」


「ふぁやいものふぁちゃだあ……お、オカカ味だ。うまいなあ」


ちょっとうまくしゃべれなかった……早い者勝ちだあ。

ギリギリ崩れない程度まで軽く握られてて、ふんわりとした食感。オカカの風味が口いっぱいに広がる。めっちゃうまい。おかか最高!


「ボクが一番楽しみにしてたおかかあ! ヤスのバカバカバカあ!」


「ポンポコさんも1個もらってみ? めっちゃうまいぞ」


「そうか、ではいただくとするか……ふぉもふぉも……うまいな。特にこのすっぱさがたまらないな」


「ああああ! ポンポコお! 今、梅干し食べたでしょ! 今日の梅干しは贅沢に紀州の梅干し使ったのにい!」


「ふむ……今まで梅干しは苦手だったのだが、この紀州の梅ならうまい。次もよろしく頼む」


「ボクが食べるはずだったのにい! なんでヤスとポンポコが食べちゃうんだよお! 自分で作ってきてよお!」


ユッチの料理、うまいんだもん。つい食べたくなっちゃった。


「……私は料理が苦手だから……今までも失敗ばかりだ……そんな私にはこんなおいしい料理は無理だ……」


……あれ? ポンポコさん、別に落ち込む必要ないっすよ?

さっきまで怒ってたユッチもポンポコさんが暗く変わったのをみて、静かな声になった。


「料理は愛情と真心だよお? それだけあればポンポコも絶対出来るよお?」


……料理は慣れだと思った自分、ユッチに負けた気分になった。

確かに、これだけの手間ひまがかかっているユッチの料理は愛情と真心がいっぱいだよな。だからきっとおいしいんだ。


「みんなそう言う。だが私には無理だ」


みんな最初はそんなもんな気もするけど……。


「大丈夫だよお! 今度ボクが教えてあげるよお! ヤスも一緒にやってくれるからさあ!」


おいユッチ、俺別にやるなんて言ってないっす。


「本当か? ユッチ」


「うん!」


俺はうんって言ってないからな。


「……ありがとう、ユッチ、ヤス」


ポンポコさん、感謝しないで欲しいっす……めっちゃ断りにくくなった。

……ユッチもポンポコさんも嬉しそうだしいっか。

こんばんは、ルーバランです。


ぷよぷよおにぎりはこんなイメージ。

http://setuyakumama-resipi.seesaa.net/article/15268465.html


なんだかお弁当が欲しくなりました。


それでは今後ともよろしくお願いします。

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カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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