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232話:あらし

ごおおおおお……


「すげえ音……父さんと母さん、こりゃ帰って来れねえな」


つい15分前くらいから、風も雨もいきなり強くなった。

特に雨がすごい。外に出たら前が見えないんじゃないかって気がするな。

今日は10月21日月曜日、くすぐりの刑にあった翌日。頑張るぞって意気込んでいたら季節外れの台風がやってきた。午前から上陸するぞおというニュースが学校に伝わり、12時に早々と暴風警報が発令。午後から学校が休みになった。


「ヤス兄、雨戸も閉めとこうよ」


「そだな。これからもっと強くなるって言うし……閉めとこうか。他にも窓が開きっぱなしになってるところないかちゃんと確認しとこうな」


「うむ、ヤス、頑張れ!」


……。


「ものすごい不思議な事が1つあるんだが……」


「なんだ? 苦しゅうない、申してみよ」


「どうしてケンがここに居るんだろう?」


「帰れないからに決まっておろう。マロにこのような嵐の中帰れと申すのか?」


……やめい、そのしゃべり方。


「や、台風が来てんのは知ってたんだからさあ。今日くらい家にくるのやめときゃいいのに」


「今日は何故か父ちゃんも母ちゃんもばあちゃんも兄貴の家いっちゃってさあ。1人で家に居るの暇じゃん」


……台風が来て心配になったのか? いや、台風がくるから退避したのかな。ケンも連れてきゃいいのに。


「……それでも台風の日に友達の家に泊まりにくるのは変だと思うんだが」


俺の感覚、変なのかなあ。


「まあいいや、帰れないと言うのは事実だし。泊まってけ」


「さっすが! ありがと!」


「週3でケンが泊まりにきてるとなんだか感覚がおかしくなるなあ……」


週3で友達が泊まりにくるって言うのは普通なのだろうか?


「俺って週3がヤスの家で、週2が兄貴の家で週2でばあちゃんの実家行って週0が自分の家で寝てるんだが……どこが俺の家なんだろうなあ?」


……うちに泊まりに来すぎなだけじゃね? って週0ってその時点でそこ、お前の家なのか?


「たまには自分の家族で過ごせよ」


「過ごしているぞ、うちの家族の仲の良さを知らんのか。この前なんぞばあちゃんの家で風呂入ってたら、突然母ちゃんと父ちゃん、ばあちゃんに兄貴までが風呂に押し掛けてきた。とても困った」


……すげえな。


「ちゃんと俺の母ちゃんからヤス家に泊まるのは毎回了解もらってるから大丈夫だ」


……まあ、父さんも母さんもケンが泊まりに来るの喜んでるし、いいんだけどな。


「泊まるのなら仕事をしような。ケン、雨戸閉めるの手伝え」


「うぬ? この住人は客に仕事を押し付けるのかえ?」


「週3で家に泊まっている時点でケンは客じゃねえ」


「全く人使いが荒いのう……」


そういいつつ率先して雨戸を閉めるケン。

わざわざ憎まれ口叩かなきゃいいのに。


……ふう、閉め終わった。


「ヤス兄、ケンちゃん、お疲れー。閉め忘れないよね?」


「おう、大丈夫」


ちゃんとチェックしたし。


「しっかし……台風、すげえなあ……上陸しても威力がほとんど弱まってないんだって」


「怖いねー、嵐って」


だよなー。年1〜2回上陸するかしないかだけど、そんな時は外歩けないもんな。


「突然連想ゲーム! 『あらし』と言えば」


「ほんとに突然だな、ケン」


「まあいいから。たまにはボードゲームで過ごす以外にもこんな時間の過ごし方もいいだろ?」


まあ、いいけどな。


「やっぱり『あらし』と言えばジャニーズだろ。最初の歌しか知らないが」


「今年大ヒットしてるのに、なんで最初の歌だけなんだ? ヤス」


「バレー見てたら覚えてしまった。すごく悔しい」


「ヤス、何で悔しいんだ?」


「バレーを見たくてバレー見てたのに、延々とジャニーズが出てきた。ジャニーズは嫌いじゃない、むしろ好きだけど、バレーに出て来るジャニーズ軍団はうざい」


「ジャニーズファンへの挑戦だね」


ごめんなさい。だが反省はしない。

なぜならば本当にうざいからだ。


「最近特にひどいし。バレーの試合中でもカメラ回ると応援無視してカメラに向かってメガホン叩くとかさ。そんなもん見たくねえ! さっさと選手映せやあ! とテレビに向かってつい叫んでしまった」


応援席映すんでもさあ、必死でメガホン叩いてる人映した方がよっぽど好印象。タレントとか歌手をゲストやサポーターで呼んでもいいけど、ちゃんとバレーファンの人連れてきてよ。


「『あらし』といえば私は山嵐かなあ」


「どの山嵐? ネズミ?」


「柔道」


ああ、その山嵐。


「あれ、すごいよな。俺は空気投げがすごいと思った」


「柔道ってすごいよね。ベテランになると小さい人が大きな人を本当にぶん投げちゃうもんね」


そう言う柔道を見るとすごく面白い……。あの頃はよかった。

今の柔道、見ててもつまらない。ポイント稼ぎしかしない柔道とか、つまんなさすぎ。

お互いに何も技が決まらないまま判定で勝負が決まるとか……見てる側は面白くない。


「それじゃ最後、ケンちゃんは『あらし』と聞いたら?」


「俺は……インターネットの『荒らし』かな」


「ああ、あるな。『炎上』とか」


「『炎上』した所を紹介するブログとか、あるよな」


そんなのもあるのか。


「『炎上』する場合って内容も内容の場合が多いけどな。常識はずれの内容とか、反感を持ちそうな批判を書いた瞬間、危険性が増すよな」


「ほうほう」


「中学生でおこづかい5万もらってるけどすくないんよおとか」


「……」


「ん? どしたヤス?」


「ちょっと先月の家計簿調べてる」


えっと先月はと……5万って先月の家の『食費+光熱費』じゃんか。

それが事実なら、一度バイトでいいから仕事をしてみろと言いたい。

金を稼ぐのって、本当は大変なんだぞ。簡単に金を稼げるって言うのは大抵裏があるんだから。


「なにか書き込みをする時は、言動に気をつけような。サツキも気をつけろよ」


「それより、嵐、雨戸締め切ってるのに音すごくない? どっかから入り込んでる気がするんだけど」


……まじ? ちゃんと調べたんだけどなあ……もう1回チェックするかあ。

1階は……異常なし。


「ケンに2階は任せといたけど、本当に大丈夫か?」


「ヤスの部屋にサツキちゃんの部屋にヤス達の両親の寝室だろ? 全部閉めたぞ」


……おい。


「もしやケン、2階のトイレの窓、閉めてないのか?」


1階のトイレの窓はさっき気付いて閉めた。ちょっと濡れてたけど、まあ許容範囲内だった。


「あれ? トイレに窓なんてあったっけ?」


「ある! トイレの窓、においこもるから普段開いてるんだよ! って事は……」


急いでトイレに行こ!


「……はう……まじか」


床、水浸し。トイレットペーパーもグチョグチョ、全滅。


「うわ……ほんとすまん、こりゃひどいな」


気にすんな……明日にでもトイレットペーパー、買いにいかんとな。

お小遣い5万円もらってるとか言う人、俺にトイレットペーパー買ってよ。


おはようございます、ルーバランです。


ええと、『言動には気をつけよう』と言っときながら、ジャニーズファンと柔道ファンを敵に回すような発言、ごめんなさい。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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