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230話:妄想少年

「……」


さっきまでドアをどんどんと叩いてた四狼は諦めたのか、ドアを叩くのをやめている。

……そんなことはどうでもいいんだ。俺は今とても困っている。ポンポコさんの部屋の中、俺はずっと壁を凝視。


「……頼む、この状況を誰かどうにかしてくれ……」


神に祈っているが、どうにもならないことは分かってる。謝ろうと思ってここまで来た。この部屋の中まで、ポンポコさんの兄弟に追われながらも四苦八苦しながらやってきた。


…………や、そんなすごい状況なのかは人によると思うんだけど。俺にとっては天国と地獄の狭間で悶え苦しむ状況なんです。


ええと……部屋の中に入ったら、ポンポコさんがベッドで寝ていたんすよ。んで、パジャマに着替えてたんすよ……なんでか、ちょこっと胸の辺りがはだけていたんです。そしてブラをしてないんです……女子って寝る時ブラをしないものなんだろうか。そういやサツキもしてないな。

さっきから壁を凝視しながらも、横目でどうしてもちらちらと見てしまう……この本能、どうにかならないだろうか、さっきから理性が押さえつけているけど、大暴走を引き起こしそうだ……ポンポコさん、早く起きてくれ。


「くそお、普段から見ていればきっとこんな緊張することはないだろうに……」


明日からサツキの胸をじっと凝視していようか。

うん……いい考えかもしれん。緊張してしまうのはきっと慣れていないからだ。だから今、隙間から垣間見える胸だったり太ももだったりについつい目が行ってしまうんだ。普段からそんなんを見慣れていればきっと何も思わない、何も感じなくなる。そうだ! 見慣れてしまえばいいんだ。家に帰ったらエロ本とDVDをたくさん買って……いやいや、俺は何を考えているんだ。生を見ないとダメじゃないか! そうしないといつまでたっても慣れないじゃないか! 何も感じられなくなるには生を見るしか無い!

……ん? 何も感じなかったらそれはそれでダメじゃないのか? 性欲というのは人間の3大欲求の1つなんだ。これが無くなってしまったら子孫繁栄が出来ない……よし、自分に言い聞かせるぞ。こうやって女性の体を見たいと思ってしまうのは自然の現象なんだ、だから大丈夫だ…………そう言えば、女性の胸を見慣れてしまったら、このドキドキ感は無くなってしまうのだろうか……きっと無くなってしまうだろう。


あれ? それもダメじゃないか!


ううむ、悩ましい問題だ。どうするか……そうか! 見えそうで見えなければきっと延々とドキドキし続けられるはずだ。ええと……これを何と言うんだったかな。……そうだ、チラリズム! チラリズムと言うやつだ。 チラリズムはただすっぽんぽんでいるよりも、女性の美しさが際立つと言う話も聞いたことがある。女性の恥じらう姿がとても美しいのだとか。

よし、明日からサツキに頼んで風呂上がりには少しだけはだけて、チラリズムというのを実践してもらうぞ。


未来のことは決まった……それよりも現状をどうにかしないとだ。

明日からサツキにチラリズムを実践してもらうとして、今チラリズムで俺の3大欲求の1つを延々と膨らませているポンポコさんのパジャマ姿をどうやってしのぐか……ちらっと横目で見ると、今もまだポンポコさんはスースーと寝てる……そして俺が見ている目の前でくるっと寝返りを打つ。さらにパジャマが乱れて余計胸がはだける。


「……って何みとんねん!? 俺!?」


いや、胸の部分の最後の1線が見えなかった。ギリギリで見えなかった。ホッとした気もするが、ものすごく残念な気持ちでいっぱいだ。

……いや、なぜ俺はここまで恐れているのだろう? 今ポンポコさんは寝ているじゃないか。寝てるときに堂々と見ようがバレないじゃないか。

……おい自分、バレなきゃ何をしてもいいのか?

……いいかな、いいだろ、いいに決まってる。

ゴミのポイ捨ても誰も見て無い所なら誰だってやっているじゃないか。立ちションだって40すぎのおっさんが誰も見て無いと思ってやってるじゃないか。赤信号だって車が来てない、誰も見て無いと思ったらちゃっかり渡るじゃないか。1000円札が落ちてたら交番に届けるけど、100円だったら周りをきょろきょろ見て、『ラッキー』って自分の財布に入れるじゃないか。

いいんだ。バレなかったら胸をみてもいいんだ。おし、今度こそ最後の1線まで見るぞ見るぞ見るぞ見るぞ!





グワッと振り返ると、ポンポコさんがパチッと目を覚まし、起き上がった。






…………同時に乱れていたパジャマもきちんと元通りになり、はだけていて見えそうで見えなかった最後の1線は見れないままとなってしまった……。

……俺は何であんなに決断をためらったのだろう……もう2度とこんなチャンスは無いかもしれないと言うのに……いつか見れる日が来るのだろうか。


「……そこで何をしているのだ? ヤス?」


「落ち込んでいるんです」


見て分かるだろ。千載一遇のチャンスを逃したんだ。そりゃ落ち込むだろう。


「私が聞きたいのは何でそこにいるんだと言うことなのだが」


「……さあ?」


ええと……俺は何をしにここへ来たんだっけ?


「……今、私はヤスと話したくはない。出ていってくれ」


……あ、思い出した!


「おっぱいを見に来たんじゃない! 謝りにきてるんだ!」

おはようございます、ルーバランです。


……何を書いてんだ自分。


それでは。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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