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226話:ザ・自己分析

あの後、ユッチが「全ての全校生徒に告げるう、ボクは高校生だあっ!!!」って叫んだと同時に生徒指導の先生一同が屋上に乗り込んできた。それからも何かを叫ぼうとしてたユッチの口を押さえ、その場にいた俺とポンポコさんも生徒指導室に連れて行かれた。

先生が『またお前か』みたいな目で見たので、説教の時間はめっちゃ短かった。俺、反省質の常連になってるから、先生も怒るのを諦めているらしい。

説教の時間は短いけど、そのかわり反省文は山のように書くように言われた。そんなに書く事ありませんがな。


後からケンとアオちゃんに聞いた話によると、学校中に響き渡っていたらしい。

俺とユッチの叫び声はそんなに大きかったのか?







今は6時間目が終わった放課後のホームルーム。せかせかと反省文を書くという内職中。

今回の反省文の量は計75枚、今回は擬人風に書き上げてる。円陣戦隊では校内放送で読まれると言う屈辱を味わったが、読み上げられないようにまともな反省文で書き上げてみせる。


「さて、早く帰りたくてうずうずしてると思うけど、ちょっと先生の話を聞いてね」


……ウララ先生、何かもったいつけた言い方やな。

ちょっと気になったので、原稿用紙に向かっていた手をいったん止めて、ウララ先生の方を向く。


「みんな覚えてるかな? 1学期の終わり頃に『自己分析』ってやったでしょ?」


……そんなのやったっけ? 全然覚えてない。


「ああー……やったやった!」


「全部で100問くらいあってめっちゃめんどかった」


「変な質問、多かったよね?」


「『周りの全ての人はスパイだと思う』みたいなのとか『私は今まで生きてきて一度も嘘をついた事が無い』とかだよね」


ああ、思い出した、あったあった。

あれがどうかしたか?


「ようやく結果が届いたので、今からみんなに配ります。3者面談の時に配ろうかとも思ったんだけど、みんなでお互いに結果見たいかなって思って」


ふむふむ、なるほど。

自己分析がどんな結果になったのかは俺としてもちょっと楽しみだ。


「これをみて、自分がどんな学部や学科に行きたいか、どんな職業に向いているのかなっていう1つの指標にしてね」


学部ねえ……俺なんか理系か文系かも決めてないのに。どっちが向いてんだろね。そもそもどんな学部があるかすら知らないや。

ま、まだ先があるさ。






「はい、ヤス君」


「はいどうも、ウララ先生」


……さてさて、俺はどんな性格だって分析されたのかな?




ーーー

あなたはとても分かりやすい性格をしています。

ーーー


……ほおほお、俺、分かりやすい性格なんか。機械にまで分かりやすいって言われるとは、どこまで分かりやすいんだ俺。


ーーー

自主性:

あなたは、自分の意見がしっかりしていますが周りの意見に流される人です。

ーーー


「どっちやねん!? めっちゃ分かりにくいやん!」


……突然大声で叫んだせいで、クラスメイトの視線が一斉に俺に注がれる。視線が痛い。


「ええと、お気になさらず」


俺も周りの視線は気にしないようにしよう。


ーーー

規律性:

あなたは、みんなで頑張ろうと口では言いますが、実は心の奥底では自分が頑張ってればそれでいいと思っています。

ですが、1人になったら1人になったで寂しがり、みんなと一緒にやりたがります。

ーーー


「俺って嫌なやつ……その上、ひねくれ者ですな、俺。こんだけひねくれてていいんだろうか」


ーーー

積極性:

あなたは、一所懸命何でもやろうとしますが、実はとても面倒くさがりや。

ーーー


「だからどっちなんだよ……」


この自己分析、本当に役立つんだろうか。


−ーー

思考性:

あなたは物事をとても深く考える性格をしています。しかし、結論はいつも表面的です。

周りの人は悩み抜いた結果がそれかいなとツッコミを入れたくなります。

ーーー


……俺っていろいろ考えてるつもりなんだけど、結局これって悩む意味が無いって事なんかなー……ちょっとこの紙を破りたくなった。


ーーー

情緒の安定:

普段は大人びていて落ち着いているように見えますが、いつもどこかで慌ててます。結局あなたどっちなんですか?

ーーー


「それは俺が聞きたいよ! それを答えるのが自己分析じゃねえの!?」


……なんで機械にまでこんなバカにされた気分にならにゃあかんのだ。腹立つー。


ーーー

社交性:

皆無です。

ーーー


うぜえ、めっちゃうぜえ! もうちょっとオブラートに包むとか、なにかしらあるだろ!

皆無って何さ!? フォローの言葉も何も無し!?


ーーー

慎重さ:

途中まではとても慎重に物事をすすめようとします。ですが、最後の最後になってありえない適当さで物事をすすめ、今までの積み重ねをなにもかもを棒に振る性格をしています。

ーーー


……意味ねえ。なんてダメな人間なんだ、俺。


ーーー

持久力:

いつか身に付く……かもね?

ーーー


何で疑問系!?


ーーー

指導力:

……………ぷっ。

ーーー


機械にまで笑われる俺の指導力。この自己分析を作った野郎をぶん殴りに行きたい。


ーーー

総評:

あなたは自己矛盾を多く抱えて生きています。あれを絶対したい、でもしたくない気持ちでもいっぱい。このような二律背反の考えが常にせめぎあっています。結局あなたはどうしたいのでしょうか?

ーーー


「だから、俺に教えてくれるんじゃなかったのかよ!? 俺に聞いてどうするよお前!?」


ーーー

そんなあなたはどの学問にも向いてると言えますし、どの学問も不向きだとも言えます。よく言えばオールラウンダーですが、私に言わせれば『中途半端!』 または『器用貧乏!』

ーーー


中途半端、器用貧乏と言われるとは……俺は馬鹿にされるの言葉を聞きたいんじゃない。どの学部が向いているかを聞きたいだけなんだ。


ーーー

人に頼るな、自分の道は自分で考えるんだ。

ーーー


「うぜえ! 何でてめえが説教たれるんだよ!」


ーーー

さあ、そんなあなたにはどんな人がいいかを紹介しましょう。

ーーー


……出会い系か? いつから自己分析表は出会い系に変更になったんだ?

そんなもの当たるかと思いつつついついみてしまう、ダメな俺。


ーーー

エントリーナンバー1!

自己矛盾だらけのあなたを全部包み込んでくれる、お姉さん系

あなたの意味不明の言動も笑って受け止めてくれるお姉さんを探してみましょう。

ーーー


……俺の言動、そんなに意味不明?

笑って受け止めてくれるお姉さんなんて……どこかにいないかな。


ーーー

エントリーナンバー2!

あなたの変な所に気がつかない、ちびっ子がいいですよ。

2人揃って好き勝手な発言を繰り返す、お子さまカップルの出来上がりだああ!!!

ーーー


どんなカップルやねん。

ちびっ子ちびっ子……ふと頭に浮かんだのは、ユッチ。

ちびっ子と言われて同級生を思い浮かべんなよ、俺。


ーーー

エントリーナンバー3!

あなたの変人っぷりにずっと前から対面していてもう慣れてしまった幼馴染。

あなたにもし幼馴染がいたら、唯一のチャンスかも。

ーーー


いねえよ、未だに昔からの付き合いがあるのはケンだけだっつーの。ケンがパートナー……おえぇ……。

ってかこの自己分析作ったやつ、妄想しすぎだろ。

幼馴染と結婚することって、現実にどれくらいあるんだろうか。

……あ、サツキを入れたらサツキもずっと前から対面してたって事になるのか?

……考えるのはやめよう。


ーーー

エントリーナンバ−4!

男らしい女性は、豪快にあなたを引っ張っていってくれます。

でも、時には女性も甘えたいもの、そんなときあなたがしっかりリードできたら春到来の予感?

今のあなたには無理ですね。

ーーー


「うるせえ! お前に言われたないわい!」


自己分析表、他にも色々細かな事が書かれていたけど、鞄の中にしまってもうみないようにした。

ムカつくなあ……さっさと部活行こ。


「ヤス、さっきから何1人で騒いでたんだ?」


ケンと廊下を歩いてて、話しかけられた。


「ちょっと自己分析の結果にムカついて。……ケンは自己分析の結果はどうだったんだ?」


「ん? みるか?」


ケンが鞄からささっと自分の自己分析表を出して、俺に渡してくれた。

ええと……何々?


ーーー

総評:

この自己分析から、あなたの性格の傾向はうまく抽出できませんでした。

ーーー


……あれ? これだけ?


「え、まじこの1文だけ?」


「ん? まじだぞ。他に何にも書かれてなかった」


「……自己分析の意味ねえなあ……何の役にも立たんやん」


「それでいいじゃん」


……はえ? 自己分析の結果が出ないって何か悔しくないか?


「俺の性格は俺が決める! 機械なんぞに決められてたまるかっての! こんな紙切れ1枚に俺の何が分かるんだって話だよ。あなたはこの学部学科が向いてますって書かれたからその学部に行きますなんて、そんな事はしたくねえよ」


「……なるほどお」


「ヤスも変な事書かれてたからって気にすんなよ。それよか練習すっぞ練習」


「おー! 分かった!」


うおし、何か腹立ってた気持ちがどっかに吹っ飛んだ。頑張るぞ俺!












……でも、あの自己分析表はとっとこ。

こんばんは、ルーバランです。


屋上で何かを叫ぼうと思いましたが、1話分のネタが思いつかず、断念しました。今後、叫ぶネタが揃ったら、屋上で叫ぶかもしれません。叫びたいネタがありましたら、教えてくださると嬉しいです。


ケン君のセリフ。

『自分自身の性格は自分で決める。機械なんぞに決められたくない』

高校時代の友人のセリフです、今でも思い出します。


それでは。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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