220話:パジャマパーティ開催
今、ちょうどユッチの家に着いた。現在午後15時。
女子3人とドキドキのパジャマパーティ!
頑張って生きていればこんな役得もあるなあ。
「お邪魔しまーす」
とりあえずユッチの家の居間に入ってくつろぐ。
ユッチの居間には4人が並んで座れそうなでっかいソファ。ふかふかのカーペット、ピンク色と白のしましまカーテン、そして観葉植物があって……とても洋風な感じなのに、なぜかど真ん中にコタツが置いてある。んで、パソコンの上にノートパソコン。
……。
「ヤスう、なんで部屋の中をじろじろ見回してるのさあ?」
「この部屋において、コタツが違和感をかもし出していると思うのは俺だけか?」
そりゃ、コタツは置いておきたいとは思う。コタツに入るとどんな人でもごろごろしたい気持ちになるという魔法のアイテムだからな。でも何かが違うと思うのは俺だけか?
「いいじゃんかあ。コタツに入って、ねっころがりながらパソコンにDVD入れて、映画を見るときの幸せな気分がヤスにはわかんないのお?」
ものすごく分かる。とても気持ちがいい。それこそ至福のひとときだな。ついでにお菓子が手に届くところにあったら最高だ。
コタツムリになることの幸せさ、夏でもずっとコタツをだしておきたくなるもんな。
「この前来たときはユッチの家、ちゃんと見れなかったからさ、なんだか見回したくなるんだよ」
「じろじろ見るのはマナー違反だよ。ヤス兄」
ごめんなさい、わかってるけどついやってしまうんです。
「ヤスってボクの家に来たときのこと全然覚えてないのお?」
「うん、風邪ひいてふらふらだったからほとんど覚えてないんだよなあ……」
ものすごくダークな自分になったことだけ覚えてる。
「ヤス兄、すごい発言連発したんだよね」
「そうだよお! あのときのヤス、ひどかったあ! ね、アオちゃん?」
「……………………………………」
く……返事は無しか。アオちゃん、ユッチの家に来るまでもどんどん無口になっていって、最後の方はほとんどしゃべろうとしなかった。今も部屋のすみっこにぽつねんと座って、会話に参加しようとしてこない。
「……えっとお。……ヤスうー」
「ヤス兄、お願い」
こら、ユッチもサツキもそんな捨てられた子犬のような目で俺を見ないでくれ。俺もさっきからアオちゃんに話題をふっては撃沈している様子を2人とも見てるだろおが。
……ええとええと、何かいい話題ないかな?
「あ、そうだ! ユッチ! インターネットを使ってもいいか?」
「え? うん、いいよお。でも何に使うんだあ?」
「この前、ケンから『面白いページがある』って教えてもらったんだよ。『うそこメーカー』って言うページだって。なんか自分の名前を入力すると、その名前に見合った何かが表示されるとかどうとか……今からやってみねえ?」
「うそこメーカー? 初めて聞いたあ」
や、俺も実際にやってみるのは初めて。でも何かしてみてとりあえずこの空気を何とかしたい。
ええと、yahooから『うそこメーカー』って検索してっと……お、出た出た。
「へえ、いろいろあるねえ」
「だな、『四字熟語メーカー』『脳内フェチメーカー』『カレンダーメーカー』……適当にやってみよか」
「ヤス兄ヤス兄、この『コンビ名メーカー』って言うのやろうよ! 『コンドコント』よりいいコンビ名つけてくれるかも!」
……俺としてはコンドコント、かなり改心のコンビ名なんだけどなあ。
「んじゃ、『近藤康明』と『近藤五月』のコンビ名は……」
お、出た出た……『怠慢センチメンタル』
……ええと、どんな反応をすればいいんだろう?
「これのほうがいいよね。私とヤス兄が今度何かやる時のコンビ名は『怠慢センチメンタル』で決まりだね」
「ええ!? それはないだろ」
「ほかの人でもやってみようよ、ユッチ先輩とアオちゃん先輩でやってみません?」
「いいよお! アオちゃんも見てみない!?」
「……そうですね」
お、興味持ってくれたのか。ようやく重い腰を上げてくれた。
「んじゃ、『木野あおい』と……ユッチって名字なんだっけ?」
「河辺だよ? って何でいまだに知らないのさあ!?」
知る機会がなければ知らないものさ。
「んじゃ『河辺ゆう』と『木野あおい』で……」
『母乳審議委員会』
「……」
「……」
「……」
「……」
「……すげえコンビ名だな。母乳審議委員会だって」
「……この変態い!」
痛い痛い! ユッチ殴るな! これ俺が作ったわけじゃないから。このホームページで出ただけだから! 文句はこのホームページ作った人に言ってくれよ。
ユッチが落ち着いたところで、その他全員分の組み合わせをやってみた。
『近藤五月』『木野あおい』……『パンチラ研究所』
「パンチラ研究するのはヤス兄なのにね」
「そうだな……ってちゃうやろ!?」
『近藤康明』『木野あおい』……『エロチックマゾヒスト』
「なんかまたエロイのが出てきた。どっちがMだろうね?」
「……」
やばっ、また無言になっちゃった。
……最初は思い悩んでたのって陸上のことだけだったはずなのに、いつの間にか日常生活全部で思い悩むようになっちゃってる。悪循環が悪循環をうんでるよなあ……。
『近藤五月』『河辺ゆう』……『母乳審議委員会』
「あれ? また同じのだね。すごい偶然」
『近藤康明』『河辺ゆう』……『落第レボリューション』
「い、いやだあ! ヤス、ボクとコンビを組むのは絶対やめてよね!」
「こっちだってお断りだよ! なんだよ『落第レボリューション』って!」
「ヤスがボクに悪い影響を与えるからきっとこんなコンビ名になるんだあ!」
「うわ、人のせいにするのやめろって!」
「だって絶対そうなんだあ!」
うわ、めっちゃムカつく。
「……ふふっ」
お、今少しだけアオちゃんが笑ってくれた。やっぱり笑ってるアオちゃんのほうが絶対にいい。もっと元気になってほしい。
その他にもいろんな『うそこメーカー』で一喜一憂してた。 ちょっとずつアオちゃんが元気になってきたところで、居間でのおしゃべりはここまでにして、ユッチの部屋にあるゲームでもしようってことになった。先にサツキとアオちゃんが立ち上がって2階に上がって行く。パソコンの電源を落として俺も上がろうとしたところで、突然ユッチに呼び止められた。
「ねえねえヤス、今ボクが何考えてるかわかる?」
「……4人でわいわい楽しくあそぼ、だろ?」
「それは全く考えてなかったあ」
ちぇ、違うのか。
「分かってるって。今日はアオちゃんが主役。ゲームをしつつ、アオちゃんの話を聞いて、アオちゃんをみんなで元気付けてあげようだろ?」
「違うよお」
あれ? これも違うの?
「ヤスには料理作っててほしいんだあ」
「……え、俺不参加!?」
それはひどすぎじゃないっすか?
「女の子同士じゃないと話せない話ってあるんだからあ。料理はヤスに任せるからあ! よろしくねえ!」
そういってユッチは俺を置いて2階に上がっていってしまった。
あれ? あれ? なんか間違ってないか?
役得……なんて思ってしまったのは、まだまだ俺が未熟な証拠……。
「しゃあない、やるかあ。えっと、んじゃ冷蔵庫見てと……」
ガチャ。
冷蔵庫を開けた途端、つい呆然と立ち尽くしてしまった。……マジかユッチ、これはないだろ。何もない。見事に何もない。野菜もない、肉もない、魚もない、冷凍食品すらない。あるのは調味料だけというからっぽっぷり。どんな腕利きの料理人でも材料がなかったら料理はできないだろ。
「ユッチ、これは俺に買い物にも行ってこいって意味なのかなあ……」
この状況ってパシリ、むしろ下僕?
……さっきまで楽しい気持ちだったのに、突然心が寂しくなってきました。
こんばんは、ルーバランです。
『ブログのネタなどに……』とあったので、小説のねたにしてみました。
『うそこメーカー』のひとつ、『兜メーカー』で、自分の名前(本名)を入力しました。
『屁』と出ました。
『勇』など、かっこいい字を期待していただけにショックでした。
『うそこメーカー』、携帯からでも遊べるみたいですので是非。リンク張っておきます。
それでは。