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215話:『頑張れ』って言わないで

今日は10月7日火曜日。新人戦県大会から2日たった。


新人戦県大会はあれから、個人個人が善戦をしたけれど、残念ながら大山高校から東海大会に出場できた人はいなかった。個人で出場していた、ゴーヤ先輩、キビ先輩、ボーちゃん先輩はいずれも準決勝までは勝ち進んだけれども、決勝進出はならず、準決勝で涙を飲む結果となった。特にゴーヤ先輩はあと一人、あとたった0.1秒速ければ決勝進出できたというぎりぎりのラインまでいっていただけに、悔しさもひとしおだろう……。










「120分!」


ふう、今日の本練習、終了。後は筋トレとダウン。

県大会のときから、気持ちを入れ替えて、一つ一つの練習をただこなすのではなく、意味を考えて練習するように切り替えた。その分、充実はしてるけど、意識を切り替えただけで、いつもより練習がきっついきっつい。

お、新人戦も終わって、春まで大会がないけど今日も短距離、まだ練習やってんなあ……頑張ってるな。


「アオちゃん! ユッチ! 頑張れー!」


「うん! ありがとお! ヤスも頑張れえ!」


うん、ユッチ元気やな。

……俺もあと少し、頑張りますかあ。







練習も終わり、ケンとサツキと帰ってるところ。今日はユッチとアオちゃんも一緒。

ガタゴトと電車に揺られながら、サツキの中学校の話で盛り上がってた。


「……あの、ヤス君。お願いがあるんですけど」


「ん? 何?」


出来ることならやってやんぞ。


「申し訳ないんですが……『頑張れ』って言わないでくれませんか? これから私も言わないようにしますので……」


「……えと、何で?」


「そうだよお、何でそんな事言うのさあ?」


応援すんなって言われるとちょっとへこむんだけど。

俺の応援、そんなに嫌か?


「……私、頑張ってないですか? これでも頑張ってるつもりなんですよ」


「……えと、アオちゃんは十分頑張ってるよ、うん」


「うん、ボクもアオちゃん頑張ってると思うよお」


「じゃあ、これ以上、私に何を頑張れって言うんですか……」


「……えと」


そんな追いつめるつもりで言ってた訳じゃ全然ないんだけど……、でも、アオちゃんの目が本気ですって訴えてる。


「ごめんなさい。いやな奴って思ってくれて構いませんので。よろしくお願いします」


「……」


何となく気まずい空気が流れた……。

そのあと、何もしゃべらないまま、ユッチとアオちゃんとは電車を降りて分かれた。






帰り道、サツキともケンとも何もしゃべらないままノロノロと歩いて、ようやく家についた。

簡単に夕飯を作って、サツキとケンと3人で居間で食べてる時にようやく、おずおずと聞けた。


「……なあケン、『頑張れ』って言っちゃいけないのかなあ」


「さあ、人それぞれだと思うが……最近アオちゃん、練習についていけてない自分にいらだってるから。新人戦が終わってから『私が足引っ張ってるんです』って時々つぶやいてる」


ケンも何かしゃべりたかったのか、すぐに返事してくれた。

そうなのか……思い詰めてるな、アオちゃん。

でもな……。


「確かに俺もさ、『頑張れ』って言われると『もう頑張ってるよ!』って叫びたくなる時もある。『もっと頑張れよ!』って言われた瞬間は『うっさい、死ね!』って、そいつをぶっ殺すって思った時もある。けどさ……じゃあなんて声かけりゃいいんだろう? 『そんな頑張ろうとしなくていいよ』とか?」


「ええ? 私、頑張ろうとしてる時に『頑張んなくていいよ』って言われるのは嫌だよ。何か水をさされた気分」


まあなあ……俺も嫌。

『頑張んなくていいよ』って言われると『俺、期待されてないんかなあ』って思ってしまったり。被害妄想が激しいとは思うんだけど。


「頑張った後の人には、『頑張ったね、お疲れ!』でいい気がするんだけどさ。まだアオちゃん、頑張ってる途中だもんな」


「それじゃ『頑張ってるよね』とかどう? ヤス兄」


「何か上から目線が気がするのは気のせいか? 俺、同年代からそんな風に言われたら、『お前は何様だ!』って叫ぶぞ」


「俺、『何様だ』って怒られたら、『俺様だ!』って言い返すぞ」


それ言ったら、相手は逆上する気がする。


「私は『お子様だよ!』って開き直る」


おお、それ言われたら相手はお子様ならしょうがないって……思わないか、思わないな。


「ヤス兄は?」


「えっと、えっと……『こんなの、お互い様だ!』って言ってやる!」


「結構まともな返答だね、ケンちゃん」


「神様だ! とかボケると思ってたのにな、サツキちゃん」


神様、仏様、稲尾様……その辺りは恐れ多くてそんな事言えません。 


「ヤス兄、他には?」


ええ? まだ考えんの?


「『そんな怒っちゃってえ、ご苦労様』とにやりと笑いながら」


「殴られるね」


「結婚してたら、『私、奥様よ。おほほ』って笑う」


「おほほなんて笑う奥様いねえよ」


「ギャンブルしてたら『へっへっへ、いかさまさ』って言う」


「捕まるぞ」


「俺が女子だったら『私、お嬢様ですわよ、おーっほっほっほ!』って高笑いするんだが」


「なんか『お嬢様』と言うより『女王様』だな」


「サツキには『お兄様とお呼び!』って言うんだけどなあ」


「分かった、これから『貴様』って呼ぶ事にするね」


「ごめんなさい! これからもヤス兄って呼んでください!」


「ヤス……サツキちゃんに頭が上がんねえなあ……御愁傷様」


……もういいよ、この話。


「ケン、結局何の話だったっけ?」


「頑張れって言わないでって話。なんだかんだ言っても頑張れって無責任な言葉だからな。どこかで愚痴をはければすっきりするんだろうけど」


「聞くぐらいだったら俺、いくらでもするんだけど。ケンもするだろ?」


「したいけどな。アオちゃんが俺らに話してくれるかはまた別」


「まあ、アオちゃんって自分からは中々弱音を吐かなそうかも」


「今は何もしないってのが一番なのかもな」


そうなのかなあ……頑張ってる人を無視するのって嫌だけど……それがいいのかな。

しょうがない、明日からそうするか。

こんばんは、ルーバランです。


『頑張れ』という言葉、皆様はどう感じますか?

私もわかりません。







日曜日、書き溜めようかなあと後書きで書いてましたが、フリーゲームにはまって1日中フリーゲームしてました。『偽りの神話』ってゲームなんですけど、やってみたらめっちゃ面白かったです。


おかげで全然かけてないです(TT


頑張って更新していきますが、更新できてない日がありましたら、『あのやろう、遊んでやがんな』と馬鹿にしててください。


それでは。

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