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206話:酔っぱらい

今日は9月19日金曜日。

……ありゃ。


「……しもた」


「どしたの? ヤス兄?」


もう夜中の23時なのに、珍しくサツキが起きてる……明日起こすのはめんどくさそうだなあ。

父さんと母さんは今日は既に帰ってきてるけど、もう寝てる。明日、土曜日はちゃんと休みが取れたんだって嬉しそうに話してた。

父さんと母さん、明日は新婚気分に戻って2人でデートしてきますと俺とサツキに宣言してました……ごちそうさまです。

俺は英語スピーチコンテストがあり、サツキもスピーチコンテストの観戦に来るので、俺たちのことは気にせず新婚さんになって楽しく過ごしてきてと伝えといた。

明日は明日で、陸上の大会とはまた違った緊張感がある……今日、寝れるかな?


「歯ブラシが切れてる。新しいのにかえようと思ったのに」


「ありゃりゃ。やっちゃったね、ヤス兄」


「スーパーもう締まってるし……仕方ないなあ、コンビニ行くかあ」


こう言う時は24時間コンビニエンスストアは便利だ。


「私も一緒に行こっかな」


「ん? 歯ブラシ買いに行くだけだぞ? 大体もうパジャマなんだから、着替え直すのめんどくさいだろ?」


そう言う俺ももうパジャマなので着替え直さないといけないんだが。


「大丈夫大丈夫、30秒で着替えてくるから」


そう言って2階に着替えにいってしまった。

……なんでそんなに着いてきたいんだろ?


「お待たせヤス兄! ……何でヤス兄、まだ着替えてないの?」


「サツキが早すぎなだけ! どんな早着替えだよ」


今30秒も無かったぞ。


「私の芸の1つ。隠し芸でやってがっかりされた芸の1つだね」


「何で?」


「男子の目の前でやったら、何も見えなかったってがっかりされた」


「そんな事しなくていいから! ってかするな!」


まったく、世の男共にサツキの肌を見せてたまるかってんだ。








と言う訳で、サツキと2人で24時間年中無休のコンビニエンスストアへ。


「真夜中に子供達だけで外に出るってなにか悪い事してるみたいでドキドキするんだよね」


「だから着いてきたかったの?」


「そうだよ。冒険してるみたいじゃん」


「家から5分のコンビニ行くだけで大冒険な上にドキドキできるって幸せやなあ」


「現実に戻すような事言わないでよ、ヤス兄」


ドキドキって言うなら、未成年の深夜徘徊で捕まるかもって思うとすごくドキドキするな……。

……ものすごくリアルだったので、考えるのはやめよう。


コンビニ着。

コンビニの前では不良がたむろ……してないな。

代わりに背広来たおっちゃんが1人コンビニの自動ドアの前を千鳥足で歩いてる。


「ハイホー、ハイホー、しごーとが好きー……んな訳ねーだろ! ばっかやろお……」


酔ってますなあ……んで、自動ドアの前でふらふらされると邪魔で仕方が無いんですが。

まあ、避けて入ろ。


「こらあ、そこの坊主の兄ちゃん」


……なんで俺、声をかけられるんだろう?


「お前なあ……未成年者誘拐だぞ。どんなに人生が嫌になってもだな、犯罪に手を出しちゃいかんだろ」


……俺とサツキが歩いてるとそんな風に見えるんすか。ちょっとショックです。

もういいや、ほっといてコンビニ入ろ。


「ちょっと待ちいや。人が話しとんのに無視するってどういうつもりや? 俺がお前ぐらいの20代後半の頃はだな、もっとしゃきっとしとったぞ」


「……サツキ、俺どうしたらいいの?」


酔っぱらいの撃退法を誰か教えてください。

ってか20代後半って……慣れたけどさ、一応言わせてくれ。俺まだ10代後半です。


「とりあえず私がヤス兄の歯ブラシ買ってくるよ。緑でいい?」


「ん。それでよろしく」


サツキがコンビニに入ってく。店内は店員さん以外誰もいないっぽいし、大丈夫だろ。


「あんちゃんなあ、あんなかわいい子にお兄って呼ばせるってどういう神経しとんのや」


……うざっ。


「おい、聞いとんのか?」


「聞いてますよ……」


聞きたくないけど、聞こえてくる。勘弁してくれ。


「いいか、犯罪に手を出すのはいかんぞ。俺がお前ぐらいの頃は暴走族に向かってうっせえ! って言ってヤツラを横から蹴り飛ばして、クラッシュさせた事もあるけどな。そんなもんだ、すげえだろ」


こら、それ犯罪だろ。自慢すんな。


「何しやがるって言ってきたけどな、思いっきりぶん殴ってやったらシッポ巻いて逃げた」


それも犯罪だろ。暴行罪、暴行罪。


「痛かったと思うなあ。俺の力はそこらの空手家よりすげえからな」


……空手家なめんな。


「俺がその気になりゃあな、世の中のチンピラどもを黙らせるなんて余裕なんだよ。会社のくそ上司だって、一瞬で潰せるんさ」


「はあ……すごいっすね。んじゃやりゃいいじゃないっすか」


どうでもいい、解放してくれ。


「でもな、上司を潰すって人間としてどうよ、と思う訳だ。どんな野郎でも人間にはちがいねえしなあ。俺が若い頃は気に入らない上司とは徹底的に戦ってやったんだけどな。あっはっは!」


……う、うぜえ。サツキ、早く戻ってきてくれ。そんな所でお菓子を物色してないでくれ。


「お前もな、俺みたいに出来る人間になれよ。今のまんまじゃ全然なんだからな」


……あなたが出来る人間には見えません。


「はあ、そうっすね、頑張りますよ」


「『そうっすね』じゃねえだろ! もっと別に言う事あるだろ」


……何を言えと。


「……俺、今でも色々できますよ」


「何若造が偉そうな事言ってんだ!」


……他の事言えって言ったんやん。


「いやあ、俺全然だめですから」


「なんだよ、そのネガテブな発言は! もっとポジテブに生きろよ!」


……殴っていいっすか?


「……出来る人になれるように頑張りますよ」


「お前なあ、頑張るって言うだけなら誰でも言えんだよ。もっとちゃんと言えよ。これだから近頃の若いもんは使えねえんだよ」


ええと……おやじ狩りというものをやってみたくなりました。

カッターねえかな。包丁でもいいや。


「……んじゃ何やりゃいいんすか?」


「答えを求めようとするな! 自分で考えないと駄目だろ」


本気でサツキ、戻ってきて。万札で歯ブラシとおかし買わなくてもいいやん。小銭あるやん。


「世界が笑顔でいっぱいになる事が出来るようにするっす」


「そんな抽象的な答えはいらねえんだよ! 目上への敬語もなってねえし。俺の部下にはそんな部下は全くいらねえなあ」


あんたの部下にはなる気は全くありません。


「……まずは言葉遣い、直そうと思います」


「ちっちぇえなあ。もっとでっかい事考えらんないのかよ。壮大な事考えないと人間ちっちゃくなるぞ」


お願い、女性店員さんと談笑してなくていいから、弱い兄貴を助けてくれ。


「おい、聞いてんのか?」


「聞いてますよ」


「嘘だな、聞いてんのか?」


……聞いてるって言ってますやん。


「聞いてますってば」


「本当の事言えよ。怒んねえから」


「だから聞いてますってば」


「何で嘘をつくかなあ……もう1回聞くぞ、聞いてんのか?」


「……聞いてません。これでいいですか?」


「聞けよ!」


…………なんだろう、このモヤモヤとした感情。これが殺意ってものなんだろうか。


「ヤス兄、お待たせー」


「待ったぞ、本気で待った」


「……だからな、俺が若い頃は、聞いてんのか? おい、聞いてんのか?」


……帰ろう。







「ヤス兄、面白かったねー。ヤス兄とあの変なおじさん見てて店員さんと盛り上がっちゃった」


「俺は全然面白くなかった。絶対酒には飲まれないようにする」


……酒は飲んでも飲まれるな……名言だなあ。

そう、しみじみ思った秋の夜。

おはようございます、ルーバランです。


酒飲むと延々と説教や自分の自慢し始める人、いますよね。

最近こういう人と飲んで、何言っても全否定されました。ちょっとしんどかったです。

自分が否定されるようなことばっかり言ってただけかもしれないですが(^^


そして次の日、何も覚えていないと言うおまけつき。その人とまた飲みにいくと同じ説教開始と言うエンドレス。


まだ未成年の方も成年の方も、酒には気をつけてください。


それでは。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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