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203話:新人戦、終了

ふう……ようやく起き上がれるぐらいになった。とりあえずいつまでもトラックの内側でぶっ倒れてたら邪魔なので、ランナーの邪魔にならないように外へ出る。

……そういや、結局俺のタイムと順位ってどのくらいだったんだろ?


「ヤス、お疲れさん」


「ありがとケン……疲れた……腰ゼッケン外してくれえ……自分でとるのがつらい」


「へいへい……最後、惜しかったな」


「ああもう、完全な実力不足。ものすごくばててるように見えたゼッケン427番があれだけラストスパート出来るなんて思ってなかったのに」


「確かにな、俺も見てて427の方は抜けると思ってた。ま、564は抜けたんだからよしとしろよ……おし、とれたぞ」


「サンキュ。でも、競り合いで負けたんだぞ……くっそお、めっちゃ悔しい!」


「初めての試合だしな、まだまだこれからだろ」


「……そだな、まだまだこれからだ」


「そうそう。んじゃ、ヤス、お疲れさん!」


「サンクス! ケン!」


ケンとパチン! っとハイタッチを交わす。野球部時代から、勝っても負けても最後はハイタッチで締めてる俺たち。今も変わらない。

んじゃ、サツキの待ってる5000mのスタートの所までいくかあ。


「ヤス兄、お疲れ!」


……っと、サツキ、荷物もってこっちまで来てくれたんか。


「かっこよかったよ。つい笑っちゃったあ」


……なんか変な言葉が聞こえた気がしたんだけど。


「……おいサツキ、今の会話おかしくないか? かっこよくてどうして笑う?」


「だって、私にとってヤス兄って運動音痴のイメージしか無いんだよね。野球でも空振りばっかりだったし、短距離走もそんなに速くないし」


「失礼なやつじゃ」


事実だから言い返せないのが悔しいが。


「そのヤス兄が、他の選手を何人も追い抜いてくんだよ。あっははって笑うしか無いよね」


「いろいろと失礼な奴じゃ」


俺が今まで努力してきた結果だろうが。


「ヤス兄、ほんとお疲れさま。これからもファイトだね!」


「あいよー……って事で、俺の順位とタイム、分かったら教えてくれねえ?」


「えっとね、私のストップウォッチで計ったタイムは17分52秒87。順位は多分33、34位くらいだと思う。ちょっと数えそこねた気がするから分かんない」


「え……18分切れた!? ほんとに!?」


「ほんとほんと」


まじかあ……ちょっと感動……。

切れるとは全然思ってなかったもんなあ。


「ラップタイムはどうだった?」


「ん、えーとね、79、84、84、83、84、84、85、85、90、93、94、84、ラストが41だった」


「途中まではすっごいいい感じのタイムなのにな……94まで落ちたんだなあ」


もうちょっと途中のペースが落ちないように頑張らないとなあ。

……あ、ポンポコさんだ。


「お疲れさま、ヤス」


「ありがと……ほんといろいろとアドバイスありがと……どうやら、18分を切れたみたいっす!」


「おめでとう……ヤスなら出来ると思ってたぞ」


ポンポコさんにはすっげえ期待されてる気がする。

プレッシャーもかかるけど、やっぱり励みだよな。


「3000mから4000mが今後の課題だ、途中落ちないよう頑張ろう……次は17分切りだな」


「ラジャッ!」


やあ、それにしても自分が速くなっていく事が実感できる瞬間って楽しい。


「その前に駅伝があるからな、何キロを走る事になるか分からないが、次の目標はこれだ。頑張っていこう」


駅伝か……先輩たちと一緒に走る訳か……大変そうだあ。


「しかし……やはり一緒に練習する相手が欲しいな」


「そんなもん?」


1人で走るのは飽きるから、確かに欲しいと言えば俺も欲しいけど。


「今日ヤスがいいタイムを出せた理由の1つに、596の選手をペースメーカーにしたというのがある。ペースメーカーがいると、自分1人で走るよりも、ずっといいタイムで走れる。だからこそ今日ヤスは18分切りが出来たと思う」


なるほど……3000mまであの596の選手につき続けたことで、1人で走るよりいい走りが出来たのか。

サンキュー596。


「練習でも同様だろう。一緒に練習する仲間がいれば、ペースメーカーを順番に変えることで速いペースで長い距離を走る練習が出来ると思う」


「ほおほお」


誰か一緒にやってくんねえかな。ケンがもしかして中長距離に転向するかもしれんし、そしたら一緒に練習できるかも。

ヤマピョンもそろそろ、部活来てほしいなあ。


「それでは、しっかりダウンをしてくれ。なんだかんだ言っても試合はすごく疲れるものだからな」


ラジャア。









ふう、ダウン終了。帰りの準備しとこ。

男子5000m決勝が大山高校が出場する最後の種目だったから、これで新人戦は終了。

俺の正式なタイムは17分53秒22、成績は35位だった。

今回は県大会に出場したのは……女子4継、キビ先輩の400mH、100mH、ゴーヤ先輩の400m、ボーちゃん先輩の110mH、400mHの計6種目。

ケンやユッチの失格が無かったらもうちょい県大会に……『たら』『れば』の話はやめとこ。


「ところでサツキ、サツキは試合見てて、どの競技やりたいって思った?」


「私? 見てて面白いなって思ったのは800m、1500mだね。駆け引きもあるし、特に最後のラストスパートが面白いよ」


確かに、最後のラストスパートの瞬間、地力のある選手とない選手の差がさーっと開いていく。

置いてかれた方は空しさを感じるかもしれんが、勝った時はものすごく気分がいいだろう。


「やっぱり中距離は『陸上の格闘技』って言われるだけあるよな」


「うんうん……けど、大山高校は女子で中長距離してる人いないし、それに私リレーもやりたいんだ。だから400、800を専門にやりたいって思ってる」


なるほどなあ……サツキは400、800か。


「頑張れよ。来年のインターハイの目標は兄妹揃って県大会出場!」


「ありがと、頑張る。ヤス兄も頑張ってね」


あいよ。サツキに負けないように俺も頑張ろ。

お、ウララ先生来たな。


「みんな、お疲れ! この後すぐに戻らないといけないの! 申し訳ないんだけどこのまま解散! 話はまた明日! 今日はゆっくり休むこと!」


めちゃ慌ててんなあ……まじ忙しそうだ。


『ウララ先生お疲れ様でした!』


「お疲れ、またね!」


……走って戻ってったウララ先生。1分もいなかったな、それだけ忙しいって事か……お疲れ様です。

うん、次の目標は17分切り、そして駅伝。2つの目標に向けて頑張れ、俺!


おはようございます、ルーバランです。


更新する時間がまちまちになってますので気をつけます。


新人戦、終了です。私も初めての試合はすごく緊張しました。


ペースメーカーっているといないでは大違いです。

練習相手、いるといないでは大違いです。

1人で練習してる人、誰か巻き込んで練習するといいですよ(^^


それでは。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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