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195話:ユッチ、100、準決

ユッチの100m準決勝がもうすぐ始まる。

ユッチの応援のためにホームストレート側の応援席に陣取る。

ユッチは1組6レーン。


「ヤス、ユッチの応援が終わったら、合間を見て走っておけよ」


「……へ?」


ポンポコさんに突然話を振られてびっくり。


「へ? じゃないだろう? ヤスも明日は試合なのだぞ。試合前日に練習しないと言うのはありえないだろう?」


「そういうもんなの?」


「そういうもんなのだ」


そりゃそうか。野球でも試合前日普通に練習してたし。

そう考えりゃ前日に練習しないってのは変だな。


「まだこの後キビ先輩、ボーちゃん先輩、ゴーヤ先輩って続くから応援しないと」


「全員の試合が終わってから練習を開始してもいいが、帰るのが遅くなるぞ」


「……」


どうしよっかなあ……早めに家に帰って夕飯の準備したいし。


「女子100が終わった後、男子100と男子3000m障害が挟まれて1時間ぐらいの余裕はある」


「急げばキビ先輩の100mハードルの決勝に間に合う訳か……試合前日はどんな練習がいいもんなの?」


「そうだな……さすがに今日まで激しく練習をして疲れをためてしまっては駄目だな」


……試合2日前に90分走るメニューを考えといて……。

試合2日前なら試合当日までに疲れが取れるからいいのか。


「いつも通りジョグ、ストレッチをした後、今日は軽く30分ジョグをして、1000mを流しで走ってみよう。練習量が少ないからと言って、ダウンをしないと言うのは駄目だからな」


確かにそれくらいのメニューなら1時間ちょいで戻って来れるから、キビ先輩の100mH決勝に間に合うな。

……けど。


「俺、1000m走なんて今までやった事ないぞ」


どれくらいのペースで走ればいいのか分かりません。


「明日5000mを走る時のペースか、少し遅い程度でいいと思う」


「ごめん、明日どれくらいのペースで走ればいいか知らないっす」


「教えてなかったか? 明日、ヤスの目標は18分20秒だ。だから今日は3分40秒から45秒くらいで走ってみよう」


……今初めてしりました。ええと……400m換算なら88秒から90秒くらいか。


「ってか俺、夏休み前は22分近くかかってるんだけど」


3分以上もタイムを縮めるなんて出来んのか?


「今のヤスなら出来るぞ。実は18分切りも出来るのではないかと思っているしな」


「……ほんと?」


「ヤス、ヤスが信じられなくても私は信じてる。私を信じろ」


……嬉しいけど、プレッシャーっす。

でもそういってもらえるなら、絶対切れるよう頑張ります。







「ただいまより女子100mの準決勝開始です」


……お、ユッチが出てきた。

女子100m準決勝は3組2着+2。2着以内に入れば確実だけど、ユッチの予選タイムは1組目の中では4番目だった。

決勝に残るには2人抜かなきゃいけないって事だ。


「ユッチ、頑張れよー!!」


……あれ? 聞こえてねえのかな? 予選の時はこっちに気付いて手振ってくれたのに。


「なあアオちゃん、ユッチ、何かすっごい緊張してね?」


「そうですね。色々あるんですよ」


「……色々って何さ。事情は知っているけど、私からは話せませんってにおいがぷんぷんするっすよ」


隠すような事なのか?


「それはそうですね。確かに私、事情は知ってますけどユッチのプライバシーですし。知りたければユッチ本人から聞いてください」


「……そんな言えないような話なんか?」


「さあ、どうでしょう? こう言う時って、『知ってしまったらもう後戻りは出来ません、事情を知らなければ平凡で楽しい生活が送れます……事情を知ってしまったら山あり谷ありの苦しく険しい道のりが待ってます……本当に聞いてしまってもいいのですか?』と言って悶々と悩ませるのが王道ですか?」


「そんな事しなくていいから! そんな大層な話なんかい!」


「よくある話です、きっと聞いても山も谷もないです」


「それならそんな前振りいらなくね!?」


「悩むヤス君の姿を見てみたくて」


「見ようとしなくていいから!」


「ヤス、アオちゃん、きちんと応援しないか。試合が始まるぞ」


……ポンポコさん、失礼しました。今はユッチの応援に集中しよう。


「位置について」


ユッチがスタートブロックに足をのせ、タータントラックに手をつき、クラウチングスタートの体勢に入る。


「…………………ヨーイ」


パン!


一斉にスタート。ユッチも綺麗なスタートを切る。


「ユッチ! ファイトー!」


「ユッチ先輩、ファイトです!」


……予選の時よりフォームが変な気がする。何か動きが固い気が……。


「負けんなユッチ!」


精一杯みんなで声援を送ったけど、ユッチのフォームは固いまま……そのまま、フォームを立て直せないままゴールしてしまった。

着順は6位。この時点でどう頑張っても決勝進出は不可能な成績。

後はタイム差で県大会進出が出来るかどうかなんだけど……6位じゃ厳しいよな。

タイムは……13秒66か。

予選の時は向かい風、今回は追い風だったのに、予選の時より0.24秒遅くなってる。


「……ユッチ、結局なんだったんだろ」


「ユッチ先輩、ガチガチだったね」


だなあ……。


「100mって怖いな。気持ちがぶれてたり、スタート失敗したり……ちょこっとミスるだけで立て直せないやん」


5000mや10000mみたいな長い距離ならミスっても途中でリカバリーできるのに。


「そうだね、それにトップより遅れたって言っても1秒も差がないんだもんね」


1組目のトップの選手は12秒73。

ほんとにコンマ何秒を争う競技なんだな……。







……3組目まで終了。ユッチの順位は24人中19位。

県大会進出、出来なかったかあ。


「ユッチ先輩、落ち込んでないかな? すっごい意気込んでたのに」


だなあ……戻ってきたときなんて声をかければいいんだろう。


「ヤス兄、ヤス兄も明日試合なんだよ。気にしすぎててもどうしようもないんだから。自分の事をまず頑張ってよ。応援してるから」


あいよ。んじゃ、ユッチの事は考えるのやめて、練習行ってきますか。

おはようございます、ルーバランです。


バレンタインの話が今日は並ぶんだろうと思ってますが、自分の話はそんなの関係ねえ、の状態です。


ところでそろそろ200話です。何かいい企画ないかなと思ってますが……やって欲しいというものあれば教えていただけますと嬉しいです。

全く思いつかなければ、100話のときのように普通の話になるかもです。


それでは。

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