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193話:400、400、400!

「んじゃ俺もアップいってくる」


「ケンちゃん、頑張ってね!」


「ケン、頑張れよ!」


「任されよ! ……といいたいけど、初めてだからどんなもんかさっぱり分からん。ま、俺なりに頑張る」


うん、頑張れ。


「ケン、招集忘れるなよ。30分前までにゼッケンつけたユニフォームもって招集所へ行くんだぞ。んで大山高校、ケンです、ゼッケンは444って言ってゼッケン見せるんだぞ。そのまま400mのスタート地点まで行って、自分が呼ばれるまでアップしつつ待機するんだからな」


「分かってるって。お前は小言の多い(しゅうとめ)か!」


……そんなに口うるさかったか?

まあいいや、ケン、行ってこいや。










男子4×100mリレーは2組目2レーン、47秒32で5着。

まあ、この記録じゃ決勝進出も県大会出場も出来ないだろ。


お、ユッチ&キビ先輩。


「ユッチ、キビ先輩、お疲れ様っ! 県大会出場おめでとっ!」


「ヤス、ありがと」


「ヤス、ありがとお!」


「ってかユッチめっちゃ速いなあ……びっくりした」


きっと練習で見てる時は男子も一緒になってやってるからあんまり際立ってるように見えなかったんだな。


「ありがとお……でもボクとアオちゃんのところで上手くバトンパスできなかったあ……ちゃんとできてれば決勝に出れたのに。すっごい悔しいい」


地団駄を踏みそうな勢いだ。負けん気の強さはユッチが陸上部ナンバーワンだよな。


「まま、県大会出場は決定してんだから! 反省前に喜んどこうよ」


「ううん……そうかなあ」


「そうだよ! ユッチすごかったし!」


「えへへえ……ありがとお」


……よし、笑った。


「それと、アオちゃんも粘ってたな。4レーンの高校に抜かれるかって一瞬思ったけど、ギリギリ踏ん張ってた」


「うん、アオちゃん先輩かっこ良かった」


「今日走る前に妹が応援にくるんだって張り切ってたあ」


ああ、妹のミドリちゃん、来てるのか。それで緊張が少しほぐれたのかな?


「……っと、そう言えばアオちゃんとゴーヤ先輩は?」


「アオちゃんもゴーヤ先輩も、9時40分から400mがあるもん。すぐにそっちの招集に行ったよお」


……そう言われれば。

9時15分頃に走って、9時40分にすぐに試合って……短距離ってめっちゃ忙しいんやなあ。


「キビ先輩、確かゴーヤ先輩って1組目じゃありませんでした?」


「そうだよ。休む時間がほとんどないんだよね」


うわ、大変。


「女子でも男子でもそう言う人結構いるよ? 特にメンバー少ないうちみたいな高校だと。前に走り高跳びとマイルに出場してる人いて、走り高跳び1回飛んだ後、マイル走って、そのまま走り高跳びの競技してるとこに戻ってまた飛んでた」


それはきつすぎだろ。

まあでも……条件は一緒って事っすね。


「ヤス兄、男子リレー終わったよ」


「お、男子リレーは県行けそう?」


「……全然だ、23校中19位だ」


残念。


「すぐゴーヤ走るよ! さっきみたいに応援してよ」


「ういっす」







予選のゴーヤ先輩は62秒52というタイムだった。

着順は2位だったので既に準決勝に通過決定。


「ゴーヤ先輩……まだ全力じゃないよな」


ラスト流して走ってたし。


「そうだな、インハイ予選の時に既に61秒台を出している、今回は60秒台を狙うと言っていたぞ」


おお、調整してないのにそれだけのタイムが出るっていうのは、それだけ自信があるんか。

まじ準決勝、決勝に期待っすな。


次はアオちゃんの番……。


「ユッチ、アオちゃんは準決勝行けそうなの?」


「走ってみなくちゃ分かんないよお……でも、まだちょっと難しいかなあ」


「そっか」


「初試合、いいタイム出して欲しいよねえ」


「そうだな……と出てきた」


アオちゃんは8レーン、大外だ。

前にゴーヤ先輩から8レーンは追う目標がいないから走りにくくて嫌なんだって聞いたけど、アオちゃんはどうだろ?


「位置について……………………ヨーイ」


パン!


……スタートが明らかに出遅れたな。


「アオちゃん、ずっと練習はしてるんだけど、まだスタート苦手なんだあ。でもこっからだよ。頑張れえ、アオちゃん!!」


そうだな、400mもあるんだ。

スタートの出遅れは取り戻せるだろ。


「ファイトお! アオちゃん!」


『ファイトー! アオちゃん!』


「ファイトお! アオちゃん!」


『ファイトー! アオちゃん!』


ユッチの声に続けて全員が声を揃えて応援をする。

100mを通過。……7レーンの人に並ばれた。3、4、5、6と言った内側レーンの選手もどんどんと迫ってくる。


「負けんな! ついてけアオちゃん!」


「頑張れえ!」


……お、安定してきた。7レーンの人に追いつかれてから、突き放されずにずっとついてってる。

……200m通過。今俺たちの目の前を走ってる。


「アオちゃん、頑張れ!」


「アオちゃん先輩、ファイトです!」


お……7レーンの人のスピードが落ちてきた。アオちゃんのが外側走ってるのにはなされない。

このコーナーで3、4、5、6レーンの選手達はタタタッと抜いてった。アイツらとはまだレベルが違う。


「おねえちゃん、がんばってー!!」


残り100m。

300m地点近くの応援席にミドリちゃんが声張り上げてる。

ここまで聞こえるってすごい大きな応援だ。

後100、きっつそうだけど……頑張れ!


……。


「5着か……」


多分準決勝は無理だろう。


「アオちゃんすごく頑張ってたあ。最後までスピードも落ちなかったもん」


「……お、速報でた」


タイム……67秒38。

アオちゃんにとってこのタイムがいいのか悪いのかはよく分かんないけど、アオちゃんの勝負は冬を越した春だな。

お疲れっす、アオちゃん。








女子の400が終わって次は男子……8組目、とうとうケンの番だ。

あの野郎、黒のユニフォーム、めっちゃ似合ってるやん。

ケンのあれだけ真剣な顔は久々だ。いっつもああいう顔をしてたらきっとモテるだろうに。

……全選手の紹介が終わって、今からスタートだ。


「位置について……………………ヨーイ」


パン! パアン!


「ん……なんだ?」


「フライングがあったみたいだな。その場合はピストルを2回ならすのだ」


フライングか……ってケンか。


「一度フライングするとビビってスタートミスりやすくなるって聞くけど……」


ケンならきっと大丈夫だ。

2度目のスタート……。


「位置について……………………ヨーイ」


パン!


おし、今度はちゃんとスタートできた。


「ケン、ファイトー!!」


お……速い、すっげえ速い。

2レーンに既に追いついた。


「速いな……ケン」


200m通過。3レーンの選手にも追いついた。

現在の順位は……きっと2位か3位だ。


「負けんな、ケン! そのまま突っ走れ!」


「ケンちゃん、頑張って!!」


300m通過。

ぐっと足をつきだして、全然スピードが衰えない。

5レーンの選手が前にいて、徐々に追いついてきた。ラスト20で並んだか!?

そのままゴール。

ラストは俺の目だと追いついたように見えたけど……よく分からん。


……1位か2位って事だな……。


「ケンはいいな、あれだけのスピードで走りながら、まだまだ走れそうじゃないか。ラストスパートも落ちなかった。短距離より800m、1500mの方が向いているんじゃないか?」


「……ポンポコさん、確かケンって100志望だった気がするんだけど」


「向いてる種目に転向していくのはいい事だと思うが?」


まあ、そりゃそうだけどな。

……お、速報が出た。


……あれ?


「なあポンポコさん、ケンのタイムでてないんだけど。んで『ハヤカワ ケン』の右側にDNFって表示されてるんだけど」


「……DNFはDid Not Finishの略で失格の意味だ。ケンは何をやったのだ?」


……俺に聞かれても知らんがな。






……戻ってきたケンに聞いたら、思いっきり走ってたら2レーンに入り込んでしまったらしい。

コースアウトで失格とか。

黄色い旗をあげた人が近寄ってきて突然失格言い渡されたんだと。


ちなみにポンポコさんの時計だと、51秒9。審判の人に聞いたら、ラストは5レーンの選手追い抜いてて、写真判定では52秒01で通過してたって言ってた。

さらに言うと、52秒01、有力選手が体力温存して走ってるってのもあるんだけど予選タイムではナンバーワンだったりした。

……ケンの初試合は幻のタイムとなった。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
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ええじゃないか
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