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192話:女子4継

まもなく9時、自分の出番でもないのになんだかドキドキしてきた。

俺とサツキとポンポコさんはバックストレートのはじっこ、第2走者から第3走者がバトンを渡す場所辺りの応援席に座って、4継の大山高校の出番を待っている。


「ただいまより静岡県東部高等学校新人陸上競技選手権大会を開始します。ただいまのグラウンドの状況をお知らせします。気温25度、湿度65%、東北の風0.4m」


アナウンスの声……地味に始まるもんなんだなあ。


「ただいまより女子4×100mの予選開始です」


まずは1組目。

うちの高校は3組目だからもうちょい先だな。


ユッチ達は決勝まで出られるんかな。

……ユッチもアオちゃんも、もちろんゴーヤ先輩もキビ先輩も毎日頑張ってたし、決勝進出してほしい。






……2組目まで終了。

今までのトップチームのタイムは49秒66。49秒台をたたき出したのはこの高校1校だけだ。足が速いってのももちろんだけど、その高校、やっぱりバトンパスがすごくスムーズだ。つええなあ。

んで決勝には1着を除いた上位5チームまで出場できるわけだけど、現在の4番手は52秒66、5番手のタイムは53秒04。

決勝進出するには52秒65を出せばかなり安全圏、そして最低でも53秒03を出さなければならないって事だな。


「おはよっ、もうアオちゃん達走っちゃったか!?」


「おはよっすケン。まだ走ってないぞ、ちょうどこれから走る。けどギリギリだ」


「ほんとにすまん……昨日なかなか寝られなくってさ、やっと寝れたと思ったら気付いたら朝だった。そして遅刻した」


まあ、そういう事もあるけど。


「それでアオちゃん達何レーン? 一応確認だけど……どういう走順だった?」


「7レーン、んで1走がキビ先輩で、2走がユッチ、3走がアオちゃん、4走がゴーヤ先輩だ。目の前でアオちゃんが走ってるだろ? もうコースに入ってるぞ」


アオちゃんが目の前で軽くタタッと走ってる。


「あ、ほんとやな……アオちゃん、頑張れよ!」


お、こっちに気付いた。ちょっと表情が硬いけど笑って手振ってきてくれてる……昨日までガチガチに緊張してたけど、緊張はちょっと解けたかな。


「ヤス兄、ビデオ撮らなくていいの?」


あ、そだそだ忘れてた。キビ先輩にビデオの撮影頼まれてたんだ。準備準備。


「予選第3組、第1レーンを空けまして、第2レーン、伊東工業。第3レーン、富士見北。第4レーン、伏見。第5レーン、富士宮東、第6レーンを空けまして、第7レーン、大山、第8レーン、三島南の計6チームの出場です」


……計6チームか。まずはキビ先輩……頑張れ。


「位置について……ヨーイ」


パン!


ピストルが鳴る。と同時に一斉に第1走者がスタートを切る。

おし! キビ先輩もいいスタート切った!


「キービ、ファイト!」


『キービ、ファイト!』


「キービ、ファイト!」


『キービ、ファイト!』


ケンの掛け声の後に全員でハモって大声で叫ぶ。

キビ先輩、上体をぐっと起こして足あげて……めっちゃ綺麗。

おし、キビ先輩が8レーンの人との差をぐんぐん詰めてる。そのまま行け!


キビ先輩がユッチに近づいてきた。

ユッチが前傾姿勢になりながらキビ先輩の走りを見つめる……今ユッチも走りだした。


……おし! すごいい感じでバトンパス出来た! 詰まったり、無駄な減速もなく、スピードに乗った状態でのバトンパス。


「ユッチ、ファイト!」


『ユッチ、ファイト!』


「ユッチ、ファイト!」


『ユッチ、ファイト!』


ユッチがピッチを上げて走る。

他の走者よりも足の回転がメチャクチャ速い。

言い過ぎじゃなく真面目に他の走者が1歩踏み出す間に2歩足を動かしてるみたいに見える。

……はええ……試合で走るの初めてみたけど、ユッチってこんなに速かったんか。

8レーンの走者は既に追い越して、2、3レーンのメンツとはどんどん差を広げてる……5レーンの走者とは中々差が開かないな。

5レーンの走者も強いな。


「ユッチ負けんな! 頑張れ!」


「ユッチ先輩ラストファイト!」


「ユッチーー!!」


第3走者、アオちゃんが待つ。

アオちゃんがスタート。まだユッチ結構離れてる気がするんだけど……。

ユッチ速い、グングン追いついてく……けどやっぱりアオちゃんのスタートが少し速い。そのままだとリレーゾーンを超えるんじゃねえか? 


「アオちゃんヤバい!」


ケンが叫んだ、聞こえるか?

聞こえたのかどうかは分からないけど、アオちゃんがちょっと減速した。


「はいっ!」


ユッチが左手で持ったバトンを差し出す。


「はいっ!」


アオちゃんが少し手を後ろにやり、右手で受け取る。

おし、ギリギリリレーゾーン内!


審判も……おし、全員白旗!

確か白旗はOKだったって事だよな。


「アオちゃん、ファイト!」


『アオちゃん、ファイト!』


「アオちゃん、ファイト!」


『アオちゃん、ファイト!』


アオちゃんはやっぱりまだ経験が短いからそこまで速くないな。

……内側走ってる5レーンの走者がグングン迫ってくる……ち、追いつかれた。

そのままスーッと追い越してく。


4レーンの選手にも追いつかれそう……。


「アオちゃん頑張れ!」


「アオちゃん先輩、あと少しです!」


「アオちゃん、負けんなー!」


第4走者、ゴーヤ先輩。

……アオちゃんがかなり近づいてきてからスタート。

あれだけスタートが遅いとスピードにのれないんじゃないか?

……お、かなりスムーズにバトンパスできたな。さすがゴーヤ先輩。

第4レーンとほぼ同時にバトンパス、何とか第4レーンの選手には抜かれずにバトンパスできたな。

……現在2着争い。


『ゴーヤ! ゴーヤ! ゴーヤ! ゴーヤ! ゴーヤ! ゴーヤ! ゴーヤ! ゴーヤ!』


ラスト勝負! 争ってる4レーンの高校も確実にエースが4走を走ってる……今どっちが勝ってるのかここからじゃ全然分からない。

……ゴーヤ先輩、頑張れ!


『ラスト! ゴーヤー!』


4レーンの高校とほぼ同時にゴールイン。


「……なあ、どっちが勝った?」


「わからんかった、こっからじゃ遠すぎてわかんねえよ」


だよな……放送を待つしかないな。







「ただ今行われた4×100mリレー第3組の速報です」


お、待ってました。


「1着、第5レーン、富士宮東。タイム、50秒75」


まあ、ここはダントツだったから置いとこう。


「2着」


……どっちだ?


「第4レーン、伏見。52秒77」


うわ、負けた。


「3着、第4レーン、大山。52秒80」


……うわ、差はたった0.03秒かい……。


「以下の順位は、電光掲示板をご覧ください」


「ポンポコさん、決勝進出は?」


「残念ながら無理だった。先ほどの伏見高校がプラス5の5番目の順位だ。大山高校はプラス6番目だったな」


「そっか」


……って事は4継の順位は9位って事か。


「県出場って何位までだっけ?」


「12位までだ」


「そか、県大会出場出来たんじゃん! オッケーじゃんね」


「そうだな、県大会で伏見高校に勝ついいタイムを出せばいい」


だよな……それじゃ頑張った選手達に……すぅー。


「いいぞいいぞ、キービ!」


『いいぞいいぞ、キービ!』


「いいぞいいぞ、ユッチ!」


『いいぞいいぞ、ユッチ!』


「いいぞいいぞ、アオちゃん!」


『いいぞいいぞ、アオちゃん!』


「いいぞいいぞ、ゴーヤ!」


『いいぞいいぞ、ゴーヤ!』


「いいぞいいぞ、大山!」


『いいぞいいぞ、大山!』


まずはリレー、お疲れっす!


こんにちは、ルーバランです。


私もケン君みたいに前日緊張で全然寝られなくて、ようやく寝付けたのが朝の3時とか4時で、起きたら遅刻確定と言う経験があります。


結構寝られなくなりますよね? 自分だけでしょうか?


それでは。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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