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18話:練習後

練習もほとんど終わった頃、アオちゃんは答えが出たのかすっきりした顔で宣言してた。


「私、陸上部に入ろうと思います。だって、ユウと楽しくやっていきたいんですもん。吹奏楽部に入っちゃったら、ユウとの時間、減ってしまいますもんね。中学の時の吹奏楽部も、楽しくやっていたんですけど、それはトロンボーンを吹くのが好きだったと言うよりも、友達とわいわいおしゃべりするのが好きだっただけなんですよ。別に休み中に1人で練習なんてしようと思いませんでしたし。だから、陸上部に入ろうと思います」


ってか、全く練習見てなかったっぽいけど、そんなんで決めてしまっていいんだろうか?

ユウって人がいるから陸上部に入るってのも、まあありなのかな。ユウって人の事大好きみたいだし。

でも、練習についていけるかどうか考えた方がよくないか?


「ヤス君、という訳でこれからは陸上部仲間ですね」


「……いや、俺はまだ入るって決めた訳じゃないですし……」


「いーえ、ヤス君は陸上部に入りたくなります! この指の先端をじっと見つめて下さい」


つられてつい、アオちゃんの人差し指を見てしまう。人差し指は俺にビシッと指している。ドーン!!!! とか言ってココロのスキマを埋めてくれるのだろうか?


「じっと指の先端を見て下さい……あなたはだんだん陸上部に入りたくなってきます……」


「って催眠術かよ! 効かねえよ!」


ちっ、まただよ……ウララ先生といい、アオちゃんといい、調子が狂う。


「ほら、ケン君としゃべってた時みたいな地が出たほうが、生き生きしてますよ」


「……別に、俺はこのままでいいですから……」


「……ありゃ、口調も元に戻っちゃいましたか。うーん、ヤス君との友達への道はまだまだ先が長そうですね。これからじっくり攻めていきますよ、今年の目標です」


そんな事を目標にしなくていいよ!


その後、とりあえず陸上部に入部するならと、アオちゃんに今日の練習内容について説明していた。

俺の絵を見たときは思いっきり笑ってくれた。

……くそっ! 悪かったなヘタクソで!


そういえば、なんでわざわざ俺が説明しなきゃいけなかったんだろう……?

放っときゃよかったな。










そして練習を終えたケン達が戻ってきた。


「ケン、お疲れ!」


「まじ疲れたよ! あのドリルとか言うの、ほんと大変だよ。モモアゲなんて普段しなかったから、普段使わない所の筋肉が張ってる感じがする。明日はぜったい筋肉痛だな」


「俊足のケンでもそんなふうになるんだな。短距離平均以下の俺が入ったら、どうなることか……」


俺じゃ1日と持たない気がする。

野球部の時から走り込みはずっとしてきたのにあんまり速くならなかったんだし。そんなに足が速くなる気がしないな。


「じゃあ、長距離やってみたらどうだ? 確か、体力テストでも持久力は平均以上あっただろ?」


「長距離? 今日、全く練習見てないんだが……んじゃ、明日一応参加してみるか」


確かに長距離なら、足が遅くても何とかなるかもしれない。そりゃ速い方がいいに決まってるが。


「おう、お互い陸上部で頑張っていこうな!」


「まだ決めた訳じゃないから」


「なんだよ、お前ずっとウララセンセと話せたってのに、そんな事言ってんのか? ウララセンセと放課後も過ごせるんだぞ! 陸上部はすごいお得じゃん!」


「いや、俺は別にウララ先生に対してケンみたいに好意を持ってないから」


「当たり前だ! ウララセンセを好きになるなよ! あの人の犬は俺だけで十分だ!」


「そんな変な事を堂々と宣言するな!」


「大体お前はサツキちゃん大好きなんだろ? 桜の木の下で『俺はお前が大好きなのにー』って言ったらしいじゃん?」


「っ!! それをどこで!?」


「サツキちゃんから聞いた」


「その後は!?」


「抱きつこうとしたんだろ? ほんとにシスコンだな、お前は」


「いや、その後!!」


その後もケンに話してくれたら、花見の席で俺がどんな醜態を晒したのかが分かる。教えてくれ! ケン!


「?? いや、知らないが。……ヤス、さらにひどいことしたのか? それは人間としてどうかと思うぞ」


「いや、それが全く覚えてないんだよ……」


くそっ、ケンにも教えてくれてなかったか。ほんとに気になる。


「……ヤス! それは認知しないという事か!? そんなやつはもう人間じゃない!!」


「そんな訳無いだろ!? そんな事はしてない!」


「だって、記憶が無いんだろ? って事は……」


「そんな事してたらサツキが俺に顔もあわせてくれなくなるさ。大体それって、きんーー」


「それ以上言うな! このバカ野郎、こんな場所で言う気か? 気は確かか?」


「あ、いや……」


うわ、陸上部の全員の視線を集めてやがる。視線が痛い。注目を集めるのは嫌いなんだが……しかもいつの間にか長距離の人たちも帰ってきてるし。最悪だ……。


「はい、ヤス君の妹が可愛いのは分かったから、最後に挨拶するまでが練習なの。ちゃんとメリハリつけないと駄目!」


ウララ先生の笑顔が怖い。目がやっぱり笑ってないし。般若に見える……。


「すみません……」


今回のは全面的に俺たちが悪い。平謝りするしかない。


「よろしい。今後、気をつけて下さい。」


そして仮入部1日目が終わった。見てるだけってのは退屈だったな。明日はやはり参加しないと。


そういや、ケンとの言い争いに意識が向いちゃってて、アオちゃんの言ってたユウという人を見損ねた。

まあ、どうでもいいか。


こんにちは、ルーバランです。


初めて、評価をいただけました!ありがとうございます。

今後も精進していきますので読んでいただいているみなさん、よろしくお願いします。


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