177話:初めてのバイト代
今日は8月30日。夏休みも後2日だ。今日も午前中部活で1時間半走ってきて、午後からバイト。
そのバイトも今ようやく終わった。
「お疲れっしたー!」
「おお、お疲れさん。お前らは今日で最後のバイトだったかな?」
「そうです、明日のシフトには入ってません」
「明日は8月最後、お前らに取っては夏休み最後の日か。明日も入るか?」
「無理っす! 宿題が真面目にヤバいです! 全然終わってません!」
……ケン、合宿終わってからのこの数日間、全く宿題に手を付けてないな。
今年は絶対手伝わないぞ。毎年手伝ってひどい目にあってきたんだからな。
「俺も明日は無理です、すみません」
明日は久々に家族で過ごす時間。先週先々週と日曜日は家族で過ごせてない。
明日はのんびりと家で家族で過ごしたい。申し訳ないが休ませてもらお。
「残念……お前らが入ると俺が楽できたのに」
……先輩、正直っすね。
「まあいっか、他の奴に入ってもらうし。これが給与明細な。バイト代は銀行に振り込んであるから」
「ありがとうございます! それではまた会う日まで」
「おう! また来年、よろしくな!」
……ごめんなさい、来年は結構です。
「ヤス、給料どんくらいいった?」
「ええと……11万円」
すげえ! お年玉でもこんな数字見た事無いし。こんなに手元に入ってきていいんだろか。
「ケンは?」
「ん? 教えねえ」
「おい! 人に聞いといてそれは無いだろ!」
「冗談だよ。えっとだな……13万円」
……すげえ。俺より2万も多いじゃん。
「……ケン、めっちゃ稼いだな」
「今年の夏休みはバイト三昧だったしな」
「確かに。部活以外の時間ってほとんどバイトだったんじゃなかったか? 去年一昨年は家で遊んだり、どっか遊びにいった記憶があるんだけど、今年はほとんどないんだけど」
「だな、俺なんかヤスがぶっ倒れたときに代わりにシフトに入ったら、他の人からも頼まれちゃってさ。18日連続出勤というのを経験したぞ」
「……そりゃすごい」
毎日バイトし続けて、18日目っていうのはどんな気分になるんだろう?
「座りっぱなしのバイトはもういいや。忙しくても動き回ってるバイトがいい」
それならファミレスのホールがいいんじゃね?
土日のランチの時間はいつもてんてこ舞いになってる気がする。
「ところで、ヤスはバイト代は何に使うんだ?」
「言わなかったか? 携帯代だ」
「いやいや、11万あるだろ? ヤスの携帯代なんて月に2000円いかないんじゃなかったか?」
「……ああ……お前の嫌がらせメールが無くなったら一気に2000円以下になったよ」
最初の月が1万円越えしたのは全てケンのせいだったって事だ。
「俺何にも聞こえなーい」
「聞けよ!」
「分かった、聞くことにする。だがヤスの言葉は右の耳から入って左の耳へ出て行く」
「頭に残せよ!」
「今、俺は見ざる言わざる聞かざる」
「見ろ、言え、きゅけ!」
「……きゅけ?」
「かんだ……」
くそう、しまらねえなあ。
「まあ……携帯代に関してはごめん」
「よし、それでいい」
まったく、最初っから謝っておけばいい物を。
「んじゃ、過去の話は水に流すとして……ええと、何の話だった?」
「ヤスのバイト代の使い道」
「んー、やっぱりサツキと遊びに行くのに使う。映画に行ったり、ボーリング行ったり、サファリパーク行ったり……クリスマスは今までよりいいもんプレゼントできそうだし、スケート遊びにも行けるし、来年の夏休みに海にいくのに使ってもいいよな」
おお、11万あればいろんなところ行き放題ではないですか。
「……ヤス、駄目学生と言っていいか?」
「なんでやねん!」
「自分をよく見せようって言葉だったら『バイト代は一所懸命働いてくれてる親にあげるんだ』とか『バイト代は貯金して、大学入学のための学費の足しにする』とか言うもんだぞ。バイト代は全て遊びに使いますって駄目学生じゃん」
別にバイト代を全部遊びに使うつもりは無いんだが。
「自分をよく見せようとは思わんが……まあ親に何かプレゼントっていうのはやりたいな、今日はこの金使ってごちそうにしよ。ケンも来るか?」
「お、ごちそうさま」
ん、後で適当にメニュー考えよ。
「結局ヤスのバイト代はサツキちゃんへ貢ぐ金に全部消えてくのか?」
……その言い方はやめてくれ。何か俺がサツキの金づるみたいじゃんか。ほぼ確実にサツキと遊ぶ金で11万も使わねえぞ。
「それ以外には部活の靴。5月に買ったのにもう結構いたんできてるんだよな。この辺とかそろそろ穴開きそう……底もすごいすり減ってきてるんよ」
「ああ、それはあるな。俺も結構ぼろぼろになってきたからそろそろ新しい靴買おうって思ってたんだよ。ついでに新人戦のためのスパイクも買っときたいし」
……そういや俺、新人戦についていまだに何にも聞いてない。今度ウララ先生かポンポコさんに聞いとこ。
「んじゃまたユッチに頼むか」
「ポンポコさんもついてきてもらった方がいいんじゃん? 長距離はポンポコさんのが詳しいだろ」
そだな。
「んじゃ、また今度靴買いに行こか」
「オッケ」
ふう……なんだかんだ言って初めてのバイト、何とか無事終わってよかったあ。
おはようございます、ルーバランです。
バイトの話、ほとんど何も無いままバイト終わっちゃいました……ちょっと失敗。
ところで、ケン君は18日連続と言っていましたが、私の連続バイトは2週間連続が最高です。
後半になってくるとバイトに入った瞬間から疲れた気分、バイト先で流れてた音楽が頭の中でいつも流れるようになりました。
もっと長く働くとどうなるんでしょう?
それでは今後ともよろしくです。




