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170話:5日目、雨

「なあ、今日女子に話しかけようとしたら、なんかすんごい変な顔されたんだけど……」


「ああ、それ僕も」


……ノンキ、マルちゃん。それきっと俺のせいです、きっとノンキとマルちゃんが絡……気持ち悪くなってきた。考えるの止めよ。

まあいいや、しーらねっと。お休みー。








5日目、朝。

玄関の前でミドリちゃんと立ち尽くしてる。


「……雨だなあ」


「雨ですね」


「……ザザブリだなあ」


「ザザブリですね」


「……走っていいんかなあ」


「風邪引きませんか?」


だよなあ。小雨なら行こうかとも思うんだけど、さすがにこれだけ強いと……。


「……こういうのをたらいをひっくり返したような雨って言うんだろうなあ」


「バケツじゃないですか?」


それだとバケツがなかった時代は困らねえ?

……どうでもいいかあ。


「ミドリちゃん、今日、短距離ってタータン……ええと……ゴムゴムの陸上競技場に行くって言ってなかった?」


「ええ、言ってましたよ?」


「練習、出来んのかなあ?」


「この雨じゃ無理じゃないですか?」


「だよなあ」


「ですねえ」


結局早朝練習は軽く体操して終わり。

何か拍子抜けだなあ……。









「みんな、注目!」


朝食の時間になって、ウララ先生がみんなに呼びかける。


「5日目、残念ながら大雨になってしまいました。天気予報によると1日中大雨との事です。これだけの雨が降ってしまうと、さすがに外で練習は出来ないです」


だよなあ……。


「試合が差し迫ってなかったら練習してもいいんだけど、9月13日、14日が新人戦だからね。今外で練習して風邪ひいたら絶対に影響が残るし」


……風邪引くとそんなに影響が残るのか。

そういや俺、新人戦に関して何にも聞いてないんだけど……ええんか?


「体育館とか空いているところ探してみたんだけど、どこも予約されちゃってた」


まあ、夏休みだしいろんな団体が合宿にきてるもんなあ。


「今日はどこかの教室借りて、筋トレですね」


げ、筋トレかあ。


「午前も午後も筋トレだけなのは悲しいので、今日も午前練習、午後は練習無しにします」


そっか、了解。


「練習時間になったら、勉強してる教室に全員集合する事!」


『はい!』





うーん……今日の天気じゃ洗濯しても乾かんよなあ。

後1日だし、洗濯しなくても何とか持つから、今日はもう洗濯するのは止めるか。

……家帰った時、すんごいにおいそう。

お、あそこで立ち話してんのはゴーヤ先輩とウララ先生ではないですか。


「はあ、失敗したなあ。今日こんな大雨になるんだったら、昨日の午後まで練習して今日は完全休養の方がよかったかなあ」


何か重めの話。こそっと聞いてよ。


「昨日の午前の時点で動けてなかったですよ? 間違ってないですよ」


「ありがと……うーん……昨日の時点で降水確率見たら20%だったんだけどなあ」


そうなのか、20%なら今日練習しようと思うよなあ。


「ごめん、タータントラックで練習できないまんまになっちゃって」


「大丈夫ですよ。タータントラックじゃないと練習できない訳じゃありませんし。何より毎週土曜日タータンで練習してるじゃないですか」


「……そだったね」


「いつもウララ先生言ってるじゃないですか。『練習なんてどこでもできる。大事なのは強くなりたいっていう気持ち』って」


ほお。


「そうだっけ? 私が言ったのは『強い気持ちがあっても、その生徒が磨けば光る原石でも朱に交われば赤くなって錆びるよねー』としか……」


おい。


「いえ、その後『逆にそこらへんに転がってる石でも頑張って磨けば、すごい光るんだよ』って言ってくれたじゃないですか」


おお。


「ああ、でも『磨いてくれる人が愚鈍者だと、結局割れちゃうけどね』って言わなかった?」


こら。……磨いてくれる人ってのは指導者の事だよな。


「いえいえ、その最後に『私は指導者としては初心者です。でも、私も努力して、みんなを綺麗に磨いてみせるから! 一緒に頑張りましょう!』って言ってくれましたよ?」


おおおお。


「あれ? 言い終わった後にぼそっと『割っちゃったらごめん』って言ったよ」


こらこら。


「……何でさっきからオチをつけるんですか?」


「何か盗み聞きしてる人がいるから」


……バレてた?


「ええ? ヤスにもウララ先生のよさを分かってもらいましょうよ」


ゴーヤ先輩にもバレてた?


「そんな美化されたら恥ずかしいじゃない。大体私まだ何にも実績残してないし」


いやいや、恥ずかしがらなくて結構です。


「そんな事ないですよ? 去年、一昨年は県大会0人でしたけど、今年は3人行きましたし」


おお? 標準が分からないから、すごいのかすごくないのか分からない。

……しかし、これ、どうやって出て行けばいいんだろう。


「ヤス、そこで聞いてないで、こっちきたらどうだ?」


ゴーヤ先輩、ありがとうございます! 出に行きにくかったです。

テケテケとしゃべってるところに寄って行く。


「ごめんね。指導者としては、生徒に弱みを見せると不安がるからせめて生徒の前ではしっかりしてなくちゃ駄目なんだけどね。人間が出来てないよ」


いやあ、上が頑張ってるって思うだけで、下も頑張るもんですよ?

ウララ先生が頑張ってるって思うから、ゴーヤ先輩含む女子メンバーはそれに答えようと思ってるんだから。


「まあまあ、私の愚痴はここで終わり! 午前の筋トレ、頑張っていきましょ!」


『はい!』








ふう、筋トレ終了!

練習は後は明日の午前だけだ! 頑張ろ!

おはようございます、ルーバランです。


友達にユータ(男)って人がいるんですが、

「ユータってさあ」

と言おうとしたところ

「ユッチってさあ」

と言ってしまった……頭がこの作品の事でいっぱいになってますね(^^;


それでは!

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カカの天下
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