169話:恥ずかしい思い出話
結局、ユッチがポンポコさんを倒し、アオちゃんvsケンはアオちゃんが勝利。ゴーヤ先輩vsキビ先輩はキビ先輩がゴーヤ先輩を破って、タイムアップ。
3回戦は倒した数が3対2で俺らの勝ちと言う事になった。
「それでは、結果発表!」
キビ先輩の司会。
何かすんごい嬉しそう。
「結果はジャジーズの勝ち!」
俺、久々にこういう勝負で勝てたなあ。高校入って以来じゃないか?
「パーマンズの面々は過去の恥ずかしい話を暴露していってもらいましょう!」
サツキとケンの事はほとんど知ってるからな。
個人的にはゴーヤ先輩とユッチの恥ずかしい話が楽しみだ。
「それじゃまずは俺から!」
ケンからかあ……。
「実は……俺の最初のキスの相手はヤスです……」
「おいケン! 何故それを言う! そもそもあれはノーカンだろ!? 忘れるんじゃなかったのかよ!?」
あの時は俺よりケンのが悲惨だったけど。
「んー、何となく。というか俺の恥ずかしい思い出でヤスが絡んでないのが無いんだが」
「だからって最大級のを暴露すんなよ!?」
「いや? それより俺は中学1年の」
「言うな!」
あれもケンのが悲惨だったろうが。
お互いに忘れたい事件をどこまでも引っ張ってくるな。
「シチュエーション聞きたいよね。私も知らないんだよ」
そりゃサツキにもしゃべってないし。
「まあ、それぐらいよくある事だ。気にするな」
ゴーヤ先輩、確実にそんなシチュエーションは無いと思います。
「次は私が言う!」
……次はサツキかあ。どんなの言うんだろ?
「私が小学4年の夏休み……ヤス兄とケンちゃんとボーリングに行って」
だからケンもサツキも何故俺を絡める?
「ヤス兄だっけ? 『カーブ投げてやる!』 って言って投げようとしたらすっぽ抜けて後ろに転がして」
ええ、ええ、ありましたよ。そう言う事も。
「ジュース飲んでた私がよけようとしてびっくりしてスポーンとジュース投げちゃったんだよね」
「あったなあ……」
「……何でサツキもケンも懐かしい顔なんだ?」
「お隣さんのカップルっぽい2人にぶっかけちゃったんだよねえ」
「あったなあ……」
「忘れようよ、その話」
「向こうの女の人が『ヨースケ、大丈夫!?』って言ってたの聞いたヤス兄が慌てて何か言おうとして『ヨースケさん、スケスケっすね! よー透けて見えるっすよ! 彼女もスケッスケ! このスッケベエ!』って……」
……俺、昔から変わってねえなあ。
「それさあ、サツキの恥ずかしい話じゃないじゃん」
俺の恥ずかしい話やん。
「そんな事無いよ? ヤス兄のセリフ聞いたみんながつい彼女の方見ちゃってさあ……つい私『あれ? 何か入ってない?』って声が出ちゃったもん。恥ずかしかったあ……」
「いやいや!? それ俺のせい!?」
確かに引き金は全部俺だけど。
「ケンちゃんが何かフォローしようとして、激怒されたんだよね?」
「『大丈夫っす! 揉めば大きくなるって言いますよ! 彼氏に揉んでもらってください!』 だったかな? ……慌ててたとはいえ、めっちゃセクハラ発言してたなあ」
「んで、その2人が彼氏彼女じゃなくて『ただの姉弟だ!!』って怒られて、慌てて3人で逃げたんだよな」
「あれからそこのボーリング場行ってないね」
「……行けねえって」
「……そ、その姉弟もその事件がきっかけで一層仲良しになったかもしれないですよ? 大丈夫ですよ?」
「フォローありがと、アオちゃん」
ってかあの姉の方の人、なんで弟とのお出かけでわざわざ……邪推は止めよ。
ふう……なんか……自分が罰ゲーム食らった方がましだった気がする。
ケンとサツキで2つ分ばらされたんだけど。
「次は私がいこうかな」
「ええ!? またボクトリい!? いやだあ、ゴーヤ先輩、ボクに先にやらせてくださいい!」
「ん、それならいいぞ? 何か言ってくれ?」
「ほんとですか? ありがとうございます! えっと……えっとええとお……」
考えとこうよ、ユッチ。
「やっぱり先に私が言おう。ユッチはその間何か考えておく事」
「あうう……」
御愁傷様、ユッチ。
「ええとだな、駅のホームにいた人を友達だと思って『おっはよう!』と頭どついたら、見た事無い人だった」
「まあ、よくあることだよな。ヤス」
「ああ、そう言う話、よく聞くなあ」
「そうなんだよ。ここで『間違えてしまってごめんなさい』って言ってしまえばよくある話ですんだんだけど、ついつい何とかごまかそうとしちゃってだな」
何かなさそうな話になってきた。
「駅のホームにいた人全員に『おっはよう!』と頭をどついてみた。ほとんどの人はノリがよくて『おっはよう』と返してくれたぞ?」
……豪快だなあ、ゴーヤ先輩。
「だが、最後の人に『おっはよう』とした時、白い目で見られてな。飛び跳ねてた自分が急に恥ずかしくなった」
ま、まあその人はきっと虫歯かなんかで機嫌が悪かったんすよ。
「ゴーヤあ……なんでその話なの? 桜の木の下のエピソードは無いの?」
「それを言わせるなら、キビの真夏の海岸の話を暴露してやるぞ」
「私勝ったじゃない! 何で暴露されなきゃいけないの!?」
「では、私がどの話を言おうが別にいいではないか?」
「それはそうだけど……」
ゴーヤ先輩のが一枚上手だな。
しかし……気になるなあ……どんな話なんだろ。
「さあユッチ、ラストだな」
ゴーヤ先輩、役目が終わったと言う感じで清々しいっすね。
さて、ユッチはどんな話するんだろう?。
「ええと……ボク…………」
……ユッチ?
「ボク……」
……ユッチ、そんな泣きそうな顔になるなよ。
「ユッチ、思いつかなかったり、言いたくない事は言わなくていいですよ? あくまでみんな『あれはあれで思い出だなあ』って思えるようになったからしゃべってるだけですから」
「ええ……でもお」
「ユッチ、これはただの遊びですよ? そんな必死にならなくて大丈夫ですって。昨日転んじゃったあくらいの話でいいんですよ?」
「……うん……ごめんなさい……」
気にすんなユッチ……こっちこそ悪のりしすぎたな。
まあ……ケンとかサツキの思い出がすさまじかったもんなあ。同レベルの恥ずかしい話披露って中々出来ない.
……何かしんみりしちゃったなあ。しょうがないけど。
「それじゃ代打? ヤス君いきましょうか?」
「何でだよ!? 俺勝ったよ!?」
「しょうもないネタの宝庫はヤス君と相場が決まってますよ」
それは偏見だ。そんな偏見の目で見ないでください。
しかし……このまましんみり終わるのはなんか後々気まずいし、ここはユッチがとっつきやすそうなネタを考えるべきか?
「ええと…………………………幼稚園の頃の将来の夢はピーマンマンでしたが、小学校1年生の頃の将来の夢はサンタクロースでした」
「ヤス君、何でサンタクロースなんですか?」
「だって配るプレゼントで1年中遊べそうじゃん!」
トナカイに乗って空も飛んでみたいし。煙突から入るって言うのもわくわくしそうじゃん。
「ユッチは小学生の頃は将来何になりたかったですか?」
「ボク? ボクは小学生のときはもりのパンやさんだったなあ」
「何でパンやさん?」
「おねえちゃんとおにいちゃんとパン焼くのが好きだったから」
今回のおにいちゃんは実兄の方か? 義兄の方か?
「まあ、そこまでは分かるけど、何で森?」
「そういうタイトルの絵本があって、ボク、その絵本が大好きだったんだあ……今考えるとちょっと恥ずかしいね」
うん、子供の頃って絵本とかに影響うけるよな。
「ほらユッチ。今言えたじゃないですか。そんなに悩まなくてもそんな話でいいんですよ?」
「あ、そっかあ! わかった、ありがとお!」
はふぅ……。
なんとかユッチが笑ってくれてよかった。
おはようございます、ルーバランです。
ヤス君のボーリングのボールを後ろに吹っ飛ばす。
サツキちゃんのジュースをぶん投げちゃう。
ゴーヤ先輩の人を間違えて頭どつく。
ここまで、やった事あったりします(^^
他所様に迷惑かけまくりですね。気をつけよ。
それでは今後ともよろしくお願いします。