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163話:お買い物

そだそだ、プロポーズのセリフをしゃべるつもりじゃなかったんだ。


「と言う訳でユッチ、料理に協力して? ユッチの料理の腕前なら大丈夫」


「そ、そうかなあ?」


「イケルイケル。ユッチの料理上手いもん」


「へへ、それじゃ協力してあげるよお」


ちょっと照れてるユッチ、はにかんだ顔が結構可愛い……なんかお父さんになった気分だ。

よし、ユッチの協力ゲット。

おしおし、後は……。








「ヤス兄、なんで『料理を作ろう』が『プロポーズ』の話に変わるのさ?」


「俺もわかんね」


かなりの無茶振りをされた気がする。


「サツキも協力してや、サツキがいれば100人力だし」


「いいけど、レシピはあるの? 調理道具はあるの?」


「調理道具はある、アウトドアだけど。レシピは無い、レシピ見ないで作れるもんを探さんと駄目だなあ」


「夕飯ドタキャンして大丈夫なの?」


「ドタキャンじゃないらしいぞ、もともと今日は野外でみんなで食べようって企画だって」


ウララ先生談。

ちなみにレストランのドタキャンは前日午後15時まで。

野外炊事・お弁当の食数変更は3日前まで。申し込みはお早めに。


「そうだっけ?」


「昼食の時、ウララ先生が言ってたじゃん」


ウララ先生、いろいろ企画考えてて……引率者って大変だあ。


「夕飯楽しみだなあ。やっぱ企画って大事だよな」


「そだね、つまんない企画はいらないけどね」


「まあな……だが、企画は企画をしていかないと企画にならない」


「言いたい事は分かるけど、普通の人はわからないよ? ヤス兄」


さすが、どんな風に言ってもサツキには伝わる。ツーカー兄妹だな。


「企画は失敗しなけりゃ面白くならない、最初っから全部上手く行くなんてありえないもんな。と言う訳で俺はどんどん挑戦してどんどん失敗したいと思うんだが」


そんな事やるなと怒る大人は最低じゃ。


「自分で失敗したいって言わなきゃいい言葉なのにねーヤス兄」


あう、ミスった。

挑戦したいで止めときゃよかった。


「そう言えばヤス兄。材料は?」


「今ユッチがウララ先生に聞きに行ってる」


「ふーん……そうなんだ」


お、ちょうど戻ってきた。


「ウララ先生、今日の16時から買い物に行く予定だったんだって。作ってくれるなら任せた! って頼まれたあ。お金ももらってきたよお」


……あれ? ウララ先生丸投げっすか?


「ヤス兄、参加者のはずなのに企画者の仲間入りになったね」


だなあ、そんなつもりじゃなかったんだが。

うーん……アウトドアメニューで野菜食うって何があるんだろ。


「アウトドアの定番だったらやっぱりバーベキューだよねえ?」


「鉄板使うんなら焼きそばでもいいよな」


「カレーもあるよね」


「魚に枝ぶすっとさして、塩焼きもいいよねえ」


ああ、それめっちゃ上手い。


「ってかここで言っててもしょうがなくないか? 買い物行こ、買い物」


「そうだね、ヤス兄」








ジャージ姿の3人衆。

バスにゆられてスーパー着。


「キビ先輩じゃないけど、アウトドアならやっぱりメインは肉だよなあ」


「そだねえ、魚でもいいけど焼けるのに時間がかかりそうだあ」


そだな。


「ヤス兄ヤス兄、安い安い」


サツキ、なんか俺が安物みたいな言い方止めてくれ。


「ほらエビ! エビ! エビでげそ!」


イカ娘を知っている人はどのくらいいるかなあ。


「エビの串焼きにでもする?」


「イカも安いでゲソ」


イカ娘がイカ食ったら共食いやん。


「イカとエビがあるんだったら、パエリアとか良さげじゃね?」


「それ、いい! でも鍋が無くないかあ?」


「フライパンで代用すりゃいいじゃん、ついでにパエリアはサツキが得意だぞ」


「照れるでゲソ。そんな事ないでゲソ」


まだその口調かい。

まあいいや、放置放置。


「1品目はサツキの作ったパエリアで。2品目はどうする?」


「主食が決まったんだから、次は主菜だよねえ?」


まあ、パエリアだけでも十分いけるけど。


「肉を食べなイカ? 鶏肉が安いでゲソ」


「……焼き鳥か?」


「いいんじゃないかなあ。それで肉の間にネギとかタマネギとか挟んでおけば、キビ先輩も野菜食べるんじゃない?」


「そんな簡単にいくのか? カレーでも人参食べないらしいじゃん」


「それじゃあツクネにしようよ、こっそり混ぜるのさあ」


ふむ、子供相手によくやる戦術だな。

嫌いな物はみじん切りにしてハンバーグに混ぜるとか。


「ボクも最近それでピーマン好きになったんだよ」


そなのか……。

子供相手にとか思ってごめん、ユッチ。


「俺は『グリーンマントのピーマンマン』を読んだ時、ピーマン大好きになったぞ」


「ヤス、子供だあ!」


うわ、ユッチに言われたくねえ。


「ユッチ、ピーマンマンを知らんだろ? めっちゃかっこいいんだぞ。風邪引いた時にピーマンマンがやってきて,バイキンマンをやっつけてくれるんだぞ!」


「ヤス兄はピーマンマン体操大好きだったゲソ。将来の夢はピーマンマンだったんでゲソ」


「サツキ、言うなよ! 保育園時代の話だ!」


「大丈夫だよお! ボクの幼稚園時代の将来の夢は赤ちゃんマンだったよ?」


……仲間がいた! さすがユッチ!












ふう、買い物終了。

……重い、重すぎる……。


「ヤス兄、頑張れー」


「次の電柱までだあ!」


……21人分の荷物って多すぎだろ?

『ジャンケン負けた人全部持とう!』 なんて提案しなけりゃよかった……。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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