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161話:合宿4日目スタート

ユッチが誰にどんなカミングアウトされたのかは結局分かんないまま『あるある川柳大会』はお開き。

どんなカミングアウトだったのかは気になるけど、ま、個人のプライバシーに関わりそうだし聞かないのが吉だよな。






合宿4日目……正直最終日まで後3日もつ気がしない。

ミドリちゃんとの早朝練習も走ろうと思っても体が動かなかったもんだから、ミドリちゃんと散歩してた。

走ってる時と散歩してるときじゃ、景色が違って見えるもんだなあ。








朝の集いも終わって朝食。

……ポンポコさん……どんなメニューを言い渡してくるんだ?


「みんな、ちゅうもーく!」


……ウララ先生なんでしょか?


「今日で合宿も4日目ね……体が重くない人、挙手!」


……誰の手もあがんねえなあ。

ってか3日も練習してきて体が重くない方がおかしいな。


「はい、ありがと……了解しました。昨日の練習でも体が動いてない人がほとんどだったたので、今日は午前は軽く流して、午後はフリーにします、午後は練習する人だけ後で私に教えてちょうだい」


……合宿きてんのに、ええの?


「いつも言ってるけど、怪我しては元も子もないからね。特にゴーヤとユッチとケン! あなた達はやりすぎるから、気をつけなさい! ゴーヤは春の大会みたいな結果になりたくないでしょ? あなた達3人は午後は練習しちゃ駄目」


「えええっ!?」


「ユッチ、こっそりやるのも駄目だからね。ミドリちゃんに監視してもらいますから。どんな事でも休むときは休んでやるときはやる、ですよ」


「はあい……」


「ゴーヤもケンも分かった?」


「はい、分かりました……骨身にしみてます」


「はい」


「よし! それじゃ今日も一日、頑張っていきましょう!」


『はい!』


さてと、俺も午後は休ませてもらお……練習も午前だけと思えば気も楽だ。頑張ろー。

……午前練習はなにやんだろ。


「ポンポコさん、ちょっとよい?」


「ん、なんだ?」


「今日のメニュー、何やろう?」


「……初日にメニューを渡したではないか。紙にはなんて書いてある?」


「ええと……クロスカントリー。でも、メニュー変わっちゃってるから」


「確かに、サーキットリレーも富士登山もメニューには書いてなかったな」


2日目はもともと15キロ……3日目は2時間走……なげえ。


「そうだな……せっかく坂道やでこぼこ道が多いのだから、紙の通りクロカンをしてくれ」


「ウエディングケーキ」


「『クロカンブッシュ』だな」


「細胞から新しい命」


「『クローン』だな」


「安田大サーカス」


「『クロちゃんです』」


「ナイスモノマネ! すっごい上手!」


ポンポコさん、最高っす。


「……殴っていいか?」


ごめんなさい、調子に乗りました。


「……まあいい、ところで体の調子はどうだ?」


「重い、午後の練習は休ませてもらおうかと思ってる」


「そうか、それでは1時間で行こう……クロスカントリーは自転車で追えないからな。1人で練習になるが頑張ってくれ」


「了解、しかし……全力で走るメニューが無いけどいいんだろか」


「ヤスが800メートルや1500メートルの選手なら絶対必要だろうな」


「5000メートルなら?」


「今はまだ必要ない……と私は思う」


「なんで? ラストの競り合いになったら、足が速くなっとかないと勝てないじゃん」


「ヤス、私は思うのだが……ラストの競り合いになる前に大差で勝ててしまえば、ラストのスパートの必要は無いのではないだろうか?」


「まあ、そりゃそうだけど……」


「確かに5000メートルでもラスト勝負までもつれてしまう事は多い、しかしラスト100メートルでどれだけタイムを縮められるかと言うと、2、3秒だろう? それより、体力をつけて今まで1周ごと400メートルを90秒でしか走れなかった所を89秒で走れるようになった方がタイムは伸びないか?」


「ふむふむ」


確かに、単純計算で12秒5速くなる訳だ。


「ヤスが5000メートルをしっかり走りきれる地力がついてきたら、スピード練習も取り入れよう。今は下地を作っている段階だからな」


「分かった……ありがと、ポンポコさん」


「あせるなよ、あせってもいい事は無いぞ、出来ることをやっていこう」


ラジャ!













あう、つ、疲れた……だが、クロカン1時間完走! ……2日目は2時間走れたのに。今日は無理そう。

とりあえずストレッチっと……。


「お疲れさま、ヤス」


「あ、ウララ先生、お疲れ様です」


「ヤスは午後の練習、どうするの?」


「ちょっとしんどいので、休ませてもらおうと思ってます」


「うん、分かった」


わざわざひとりひとり回って聞いてんのか。すごいな。


「ところで話があるんだけど」


「何かネタですか?」


「……私って授業とか部活中そんなに変なことばっかり言ってる?」


「ええと……時々。俺はおもろいなあと見てますけど」


授業中いじられたときとか、最初はムカついてたけど、ウララ先生は今、授業でも部活でも試行錯誤してるんだなあと見ている今日この頃。

生徒の興味を惹くためにわざと変なことを言って成功したり失敗したり。

頑張れ2年目教師と心の中で思いつつ、昼食後の5時間目のウララ先生の授業はついつい寝てしまって……ごめんなさい。


「それは今は置いときましょう。後でじっくり聞くからね」


あれ、やぶ蛇!?


「今相談したいことは、先生が生徒相手に愚痴ってちゃ駄目なんだけど、長距離の子達、どうにかなんないかなあ……」


えと、俺に言われても。


「私が長距離にちゃんと練習しろって言っても多分聞かないと思うの。私でも彼らの立場だったら聞かないと思うし」


「え、何でですか?」


「だって私、長距離の練習見れてないもの。長距離の子達にとっては部外者みたいなものでしょ。信頼関係築けてないのよね……」


俺は全然思ってないけど、確かにそうかも。

普段全然部活を見に来ない顧問が、突然ぶらっと練習を見に来て何か言ってきたって、たとえそれがどんないい事言ったとしても「あんたは俺らの何を知ってんの?」って無視するだけだろうなあ。


「結局私1人じゃ短距離と長距離、両方見れてないのが原因なのよね。練習結果聞いてコメント言うくらいしか出来ないから。同じ時間で練習してたら同時に見ること、無理だし」


普段、短距離と長距離だと練習場所が違うからな、確かに同時に見るのは難しいかもしれない。


「ヤス、どうにかならないかな?」


「えと、俺にどうしろと?」


俺自身も長距離メンバーと別に練習しちゃってる身だから、多分俺も部外者扱いにしかならないと思うぞ。

今から信頼関係築こうと思っても『今まで放置してた身で何言ってやがる?』ってなりそうだし。


「私もどうすればいいか思いつかなかった。時間ある時に一緒に考えてくれない?」


「あ、はい」


あ、言っちゃった。


「ありがと、他の子にも練習するかどうか、一応聞いとかないとね。それじゃ」


……考えることになってしまった。

あー、うー……最近安請け合いをしすぎな気がする。

おはようございます、ルーバランです。


ポンポコさんの長距離練習方法に対する考え方、私の考え方なのですが、これに対し、

「そんなことない、長距離でもスピード練習いるだろ」

と思う人もいるかと思います。


まあ、あくまで小説ですので軽く流してください(^^;


それでは!

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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