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16話:仮入部

4月14日月曜日、今日から仮入部期間だ。これから一週間、それぞれが好きな部活を見学する。


今日の授業はまともに進行した。さすがに毎回あんな質問会が起きてたら、授業が進まなくて困る。

授業も終わり、放課後になった。見学に行くためにケンを誘う。


「ケン、見学に行こう」


「おう、まずは陸上部からだからな、運動する用の服、持ってきた?」


「一応。でも、まずは見てからね。まだ練習するか分からないよ」


「はいはい、わかってるよ」


俺たちはしゃべりながら、陸上部の部室に向かう。部室前に着いて、


「こんにちは、陸上部の見学にきたんですが」


ケンがはっきりとした声でドア越しに呼びかける。


「はいよー」


中から返事が聞こえてきた。ドアが開くと、先輩達が中で着替えている。

開けてくれたのは、2年生の先輩かな?


「んーと、陸上部の見学でいいのかな?」


「はい、そうです」


ケンが答える。ケンがこれだけ普通に対応してるのを見るのは久々だな。


「おー、よろしく。来てくれて歓迎するよ。どうする? 今日からいきなり練習に参加してみる? それとも今日は見学しておくだけにする?」


「今日から参加したいと思っているんですが、いいですか?」


「もちろん。そっちの1年生も、参加していく?」


先輩が俺に質問してきた。


「いえ……、俺は今日は見学でお願いします……」


ぼそぼそと小さな声で返事をしておく。ケンと一緒にいようが、初対面の人には警戒が解けない。


「そうか。じゃ、しっかり見学していってくれ」


「はい……」


俺は着替えないので、陸上部の人たちが着替え終わるのを外で待つ。

やがて、練習時間になったのかぞろぞろと部室内から出てくる。

練習の時は全員が違ったTシャツと短パンを来ているみたいだ。短パンじゃなくてハーフパンツを履いている人もそこそこいる。


「ヤス、お待たせ。他にも1年生が何人か来てるみたい」


「ふーん……」


「興味無い顔してるな、部活に入れば他のやつとも話しなきゃなんなくなるし、今のうちにしゃべっとけって」


「俺はお前がいればそれでいい」


「うわ、きもいって! 鳥肌立ったぞ今……」


「冗談だよ、でもさっきのは言い方がまずいけど、他の人と仲良くなる気はないんだけどな」


「……そろそろ部活始まるな、行くか!」


「あいよ」


何か言いたそうにしていたが、飲み込んでくれたようだ。

ほんとにケンっていいやつだよ……。
















集合場所に行くと、総勢30人弱の人がいた。室井先生、もといウララ先生の姿もある。


ウララ先生ってのは当然、室井先生の事。

室井先生なんて、今日「室井先生」と呼んでも無視しやがった。ウララ先生って呼ばないと反応してくれない……なんでウララ先生って呼ばれたいんだよ!? 呼ぶほうも恥ずかしいよ、ウララ先生って。

ウララ先生が、率先してあだ名で呼ぶし、呼ばれようとする上、ケンが全員のあだ名を既に覚えて、あだ名で会話してるからクラスのみんなもそうしようかって気持ちになったみたいだ。

当然ながら、木野あおいさんもアオちゃんって呼んでるし、加藤守もマルちゃんって呼んでる。もうこれからは全員本名で呼ばなくなるんだろう。

そんな風に呼びたくなかったのに、ケンが作ったあのクラスの雰囲気にどんどん流されている。ケンにいいように操られている気がしないでもない。

おっと、意識がそれてしまった。


2、3年生と1年生で分かれて集まっているようだ。

俺たちは1年生グループの中に混ざる。

1年生の中には、俺と一緒で制服のままの人も何人か見かける。


俺たちが来た時点で全員集合したみたいで、顧問のウララ先生が1年生のグループに話し始める。


「1年生のみなさん、こんにちは。顧問の室井春乃と言います。クラスでウララってあだ名を付けられたので、ウララ先生もしくは親しみを込めてウララちゃんと呼んで下さいね」


自分でつけてたじゃん! 俺たちがつけたみたいに言わないで下さいよ。先生はもう23でしょ! さすがにちゃんをつけるのは無いと思います。


「今日練習に参加する人は、2、3年生の所に移動して、先輩の指示に従って。特に短距離と中長距離で練習が分かれるので、自分がどっちに参加するかは考えてね。見学だけの人は、今日の所は邪魔にならないように、隅っこに移動して見学してください」


そう言うと、ウララ先生は2、3年のグループに移動していった。新入生の指導の仕方や、今日の練習について話しているようだ。

意外だ、陸上やらなさそうなのに、きちんと指導をしてるように見える。もしかして、陸上経験があるのかな?


「ヤス、俺は練習にいくからまた後でな」


「ああ、頑張ってこいよ」


俺はヤスを見送った。

さて、言われた通り隅っこに移動するか。











ウララ先生も今日の練習についての確認をしたら、こっちにやってきた。


「ウララ先生って陸上経験あるんですか?」


隅っこに集まっている1年生の見学してるメンバーの誰かが聞いた。ちゃんとウララ先生って言ってるよ。この学校の人たちってほんとノリがいいな。


「え? うん、高校の時までは陸上で短距離をやってたよ」


「そうなんですか!?」


誰かがびっくりしてた。おれもびっくりだ。普通は女性のスポーツ選手の胸ってちい……げふんげふん……ごめんなさい。本当にごめんなさい。


「本当よ、一応県大会入賞、東海大会出場の実績持ってる」


げ、すごすぎ。大山高校みたいな県立の高校で東海大会に出場できたら、自慢していいレベルになるんじゃないかな。


「じゃ、しゃべるだけじゃなくて、ちゃんと見学してね」


俺たちに一応釘を刺してきた。

ウララ先生は練習の様子を見ながら、俺たちに説明をしてくれるようだ。


まあ、一応聞いておきますかね。

こんにちは、ルーバランです。

やっと陸上部が出てきました。


進行が遅すぎですね。気をつけます。

今、オリンピックでも陸上やってますし、時間がある人は見てみませんか?


今後ともよろしくお願いします。もしよろしければ、批評、感想何でも結構なのでお聞かせください。

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カカの天下
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ええじゃないか
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