159話:川柳、考え中
「さてユッチ、詩とはどんなもの言うか知ってますか?」
「ええと……知らない」
俺も知らん……短い話?
「韻を踏んだり、形式にのっとって書かれ、感動等を伝える文学作品ですね。古い時代では漢詩の事だけを指して『詩』と言ってたんですよ。最近では韻を踏んでなくても雰囲気が詩みたいだと『詩』と言うようにもなりました。これを『自由詩』と言います」
ほうほう、そうなのか。
「韻を踏むと言えば漢詩ですよね。ではユッチ、形式にのっとって書かれる日本で一番短い詩とは何でしょう?」
なんかどっかのクイズ番組みたい。
「えと……ええとお……」
「ユッチ、教えてやろか?」
「ヤス! 絶対言わないでよ! ボクが答えるんだからあ!」
「はいはい」
「えっとお……ここまででかかってるんだよお! 分かってるのに……のどまででかかってるのに、もぞもぞするう」
実はそう言うときは出てこない事の方が多かったりするんだよな。
結局その後に誰かが言うのを聞いて「そうそうそれ!」となる事が多かったり。
「ええとお……」
「ユッチ、ヒントやろか?」
「……なにさあ? オーディエンス? テレフォン? フィフティフィフティ?」
「……ミリオネアじゃないし。大体4択問題じゃないじゃん」
「それじゃあなんだあ?」
「ヒントその1、昔からある奴だな」
「そうですね、室町時代頃からだったと思います」
あ、意外と最近。
百人一首とかさらに昔からだから、これももっと昔からあるもんだと思ってた。
「む、室町時代の事なんて忘れたよお……」
「んじゃヒントその2、有名なのと言えば『奥の細道』だよな」
「そうですね、どんなのがあるかは知ってますか?」
「『夏草や兵どもが夢の跡』とか……あとは『古池や蛙飛びこむ水の音』」
「おしいです、『古池や』の方は奥の細道で詠んだ物じゃないんですよ」
残念、そうだったんか。
「2人で話してないでよお! ボクにも教えてよお!」
「今、ヤス君が言ったじゃないですか。分かりませんでした?」
「5、7、5で詠むやつだよね! 何かもやもやと浮き上がってはくるんだけど……分かんないやあ」
「答えは『俳句』ですよ」
「あ、そうそう! 俳句俳句! ああ、何かすっきりしたあ」
ユッチ、ほんとに分かってたんかい。
「5、7、5だけじゃなくて季語と言いまして季節に関わる物も入れないと俳句になりませんけどね。入らなかったら『川柳』になっちゃいますから」
「俳句と川柳じゃどう違うのさあ?」
「分かりやすいのは季語があるかないかですね。他にも川柳の場合は面白みを持たせるものだったり、風刺している物が多いです」
「風刺?」
「世間のありえないようなほんとの話を皮肉って詠むんですよ」
「例えばどんなのがあるの?」
意外と食いついてるなユッチ。
「ユッチは新聞は読みますか?」
「読むよ。漫画のとこ」
ユッチ、それは読むとは言わない。
「……ええと……読売新聞にですね、『よみうり時事川柳』というものが掲載されてるんですよ。それが社会風刺してて、そうなんだあっておもえますよ」
そうなんだあ、知らなかったあ……。
「俺が知ってるのは『サラリーマン川柳』ってやつ」
「あ、それボクも知ってるう! あれは面白いよね!」
「だよな……会社に入るとあんな感じなんかなあ」
社会人の本音っぽいのがポロリと読めて面白い。
「そだ! 今日は川柳の日って事にしとこお! それなら勉強する!」
「あ、あれ? 私は『俳句』をやろうと思ってたんですが」
「アオちゃん、まあユッチが勉強やるって言いだしたんだからよしだと思っとこ」
それが本当に勉強かどうかは知らんけど。
「せっかくいろいろ集めたんですが……それで創作した物を『おーいお茶』に投稿しようと思ってましたのに」
……そこまで考えてたのか。ちょっとびっくり。
と言う訳で、川柳大会を開催。
参加者はゴーヤ先輩、キビ先輩、アオちゃん、ユッチ、ポンポコさん、ケン、サツキ、ミドリちゃん、俺……起きてるの女子ばっかやん。
「ユッチ、『テーマ』は何にする?」
ケン、何が言いたいんだ?
「『テーマ』? なんかいるの?」
「例えば、よみうり時事川柳なら時事問題について詠むだろ? サラリーマン川柳ならサラリーマンの立場で詠んでるじゃん。他にもネットでは『足クサ川柳』とかあって、足のニオイに関する内容を詠むのとかがある」
そんなのまであるのか。
足クサ川柳……『臭うねと 誰かが言うと 俺を見る』……。
……自分で想像して悲しくなりました。
「ちなみに探してみると色々あるぞ……えっとだな……」
あ、今携帯で調べてんのね。
「『マネー川柳』『おむすび川柳』『男と女のフォト川柳』『生活習慣川柳』『ビール川柳』『身近な怒りの川柳』『おそうじ川柳』『大掃除川柳コンテスト』『憩い川柳』……『オタク川柳』なんてのもあるぞ」
めちゃくちゃ多いな。川柳読むのって流行ってるんだろうか。
「あ、いくつかは応募期間終わっちゃってんなあ……もう発表されちゃってんのもいくつかあるなあ」
「そうなんか」
「お、『高校生川柳』なんてのもあるぞ、福岡大学と静岡理工科大学とキャンパスNowってところが別々でやってるっぽい」
へえ、そんなにいろんなところがやってんのか……まだ探すと他にもありそ。
「と言う訳でユッチ、『テーマ』を決めようじゃん?」
「ええと……それじゃあ『あるある川柳』! 日頃の生活でさあ、『そういうひといるよね』、『それあるよね』、『やっちゃうよね』って事を言うんだあ!」
……なるほど。
「よし、んじゃそれでやろか。みんなもOKっすか?」
『了解!!』
はいほー、そんじゃ考えよ。
できるだけ他の人とかぶらないように……。
おはようございます、ルーバランです。
『あるある川柳』、募集です。
送っていただけたら是非載せたいので、教えてくださいm(_ _)m
それでは今後ともよろしくお願いします。