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153話:ユッチのおべんきょ、前準備

午後の練習は軽く、とポンポコさんに言われ、今日は昨日の半分の時間、1時間のクロスカントリー。

……あんまり軽くないっすよ。ポンポコさん。


「明日しっかりやるからな。今日は軽めにしておこう」


「……まじですか?」


体がマジしんどいです。


「弱音を吐くな。全国大会出場が目標なのだろう?」


「……いつの間にか、どんどん目標が高くなってない?」


「気のせいだ。私がうそをついたと思ってるのか?」


「いえいえ! そんなことないよ!」


ちょっと目が怖かったっす、ポンポコさん。
















さて、練習も終わってキビ先輩にどうやって野菜を食べさせようか考えてたら、いつの間にか夕食の時間。

……やっぱりキビ先輩と一緒に食べんと好みがわからんからなあ。


「キビ先輩、一緒に飯食ってもいいですか?」


「ん、いいよ? 珍しいね」


おし、成功。






『いただきます!』


食事を開始したんだが……キビ先輩。今日はほんとに肉だけですね。せめて米くらい食べましょーよ。


「なに? 君もゴーヤみたいに何か言うつもり?」


「いやいや! そんなことないですよ!」


「大体さあ、ライオンだってトラだって豹だってチーターだって肉しか食べないんだから、私が肉食べてたっておかしくないでしょ?」


いや、動物も野菜の成分食べてますよ。

内臓の部分とか、生肉を食うことで、生きていくのに必要な野菜の成分があるって話です。

キビ先輩も生肉を……豚肉生で食べたらお腹壊すな。


「疲れてるときって肉食べたくなるでしょ?」


疲れてるとこってりした肉は俺は食べたくなくなるんですが。


「肉は体にいいよね? ウララ先生も食べ過ぎろって言ってたし」


俺的には食べ過ぎたら逆効果だと思うんですが。


「ヤス君。誤解してるようだけど、別に、私肉しか食べないわけじゃないよ? 卵も魚もしっかりたべてるよ?」


ええと、基礎食品群と言うものがありまして、今キビ先輩が言ったのは全部第1群の『たんぱく質』に分類されるんですが。


「……ほらヤス君、君もしゃべってよ。私だけしゃべってるじゃない」


「あ、すみません」


「それに手が動いてないよ。私に見とれるのもいいけど、君も食べなよ」


「あ、はい」


見とれてたというよりも、珍しいものをしげしげと観察してたと言うほうが適切だけど……言わぬが花だよな。










キビ先輩と夕飯も食べた。


あれだけ『肉』って感じだと、どうやって野菜を食わせたらいいかすごく悩むんだが。

……どうしよ……。





……思い浮かばん、明日考えよ。






風呂も入って今日もまた勉強タイム。

相変わらずみんなぐっすりお休みの時間だ。


……起きてんの、俺たち除くと2、3人しかいないじゃん。

ま、これなら騒いでもいいだろう。


「ヤス君、やりますよ。ユッチへの呼びかけよろしくお願いします」


「了解、アオちゃん!」


ゴーヤ先輩がちょっと話してくれたみたいで、とりあえずユッチの俺に対する怒りは少し収まったみたい。

……まだ女子部屋に入ることは許してくれないけど。

……ま、今はいいや。ユッチ起こそ。


「ユッチ、起きろ!」


「はいい! おにいちゃん! ごめんなさい!」


……は?


「……あ、あれえ? や、ヤス? お、おにいちゃんは?」


しらん。ユッチはいっつも義兄に起こされてるわけか。


「なんだよおヤス、今は昼寝の時間なんだから起こすなよお!」


こらユッチ、そんな堂々と『昼寝の時間』って言うなよ。


「ユッチ、今は何の時間でしょう?」


「昼寝の時間でしょ? アオちゃん」


こらこら、それなら部屋で寝たほうがましじゃん。


「違いますよ、一応はおべんきょの時間ですよ」


「みんな寝てるんだから昼寝の時間でいいじゃん!」


まあ、確かにみんな寝てるけど。


「ユッチ、お願いですから見てくださいよ。せっかく昨日この時間全部使って考えたんですから」


「……しょうがないなあ、面白くなかったら寝るからあ」


くう、何で上から目線なんだよ。ユッチ。


「ありがとうございます。それではポンポコさん、ヤス、アオちゃんの3人で送る、『劇団ポコポンお勉強講座』を始めます!」


「劇団ポコポン? 何それえ?」


「なんとなくです」


そこツッコミいれるところじゃない、ユッチ。……俺もいれたかったけど。


「ところで、ユッチ。血液型なんでしたっけ?」


「ボク? ボクはO型だよお?」


そうなんだ、ユッチはO型か。


「アオちゃんはAB型だよね! ……えっとポンポコとヤスの血液型聞いたことあったっけ?」


「いや? 教えたことないぞ。俺は」


「待って! 当てて見せるからあ!」


……血液型当てか。血液型ごとに性格が違うっていうやつだろ。

意外と当たってる気がするんだよな。


「えっと……その細かいとこまでうるさい性格はA型だろお!」


細かいところまでうるさいってなんだ。全国のA型の人に謝れ。

ちゃんと気が回ると言え。


「ま、とりあえず秘密」


「それだけ前振りして、秘密ってなんだよお。 気になるから教えてよお」


まま、すぐわかるから。


「ちなみにケンは何型だと思う?」


「ケン? ケンはABだろお? あれだけすごく変なんだからABに決まってるよお」


その発言も全国のAB型に謝れ。


「ユッチ? それは私がすごく変だって言いたいんですか?」


「え? そ、そんなことないよお! だ、大丈夫だよ。アオちゃんはそんなに変じゃないよ? ちょっとだけだよ!」


ユッチ、全然フォローになってない。


「ケンはAだ」


「うそお!? 変な人がAだったっけ?」


「さっきから失言が多いぞ、ユッチ。そんなんでは政治家にはなれないぞ」


「あんな人たちになりたくないからいい!」


……今一瞬、ユッチはしゃべらないほうがいいのではと思ってしまった。


「と言うわけで今からこの3人で劇をやりますから。ポンポコさんがお母さん役、アオちゃんがお父さん役、ヤスが子供役です」


「ヤスが子供なの!? このでっかいのが子供かあ……」


「ユッチ、うっさい!」


ミスキャストだと自分でも思ってるよ!


「ついでにポンポコさんがお父さんで、アオちゃんがお母さんのが合ってないかなあ?」


それは俺も思った。

でも、これのがいいんだってさ。


「では、ポンポコさん。始めましょうか」


「うむ」


それでは、始まり始まりー。


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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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