表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/442

152話:マッサージ、真っ最中

「ああー、気持ちいい!」


……。


「ここはどうだ?」


「そこ、そこ!」


…………。


「んじゃここは?」


「痛っ! 強くしすぎだよ、もっとやさしくやってよ!」


………………。


「ああ、すまん……このくらいか?」


「ああ、いい感じだよ……すごい気持ちいい」


……………………。


「ふっ……俺の指技は天下一品だからな」


「……あのー」


聞いてくれよう。


「ねえ、ボクも後でやってよお!」


「私も!」


無視しないでよう。


「うーん、これ罰ゲームなんだけど。ユッチとキビ先輩でお互いにやってくれんかな」


「それじゃ私からお願いしてもいいかな。ユッチとキビ先輩の分までやる事を」


「了解っす! ウララ先生!」


完全に無視されてるっす。


「うっ……はふぅ……あうっ……さすがケンちゃんだね。ケンちゃんのマッサージものすごく気持ちいいよ」


「ありがと、サツキちゃん」


「……あの、俺も部屋に入れていただけませんでしょうか?」


『ダメ』


うう、いれてよう。

俺だけ、さっき覗いた罰って事で部屋内に入る事を禁止されてしまった。

ユッチとサツキが部屋内に入ってもいいよって言ってくれるまで俺は女子の部屋に入れない。

さっきから部屋の目の前で正座して反省してんだけど、全然許しちゃくれないよ。

……くそう、ケンの奴楽しそうだなあ。一人だけ女子の部屋ん中に入っちまいやがって。


「ヤス、なんで部屋の前で正座してるんだ?」


「あ、ゴーヤ先輩……反省中です」


ジュースを右手に持ったゴーヤ先輩を前にして、右手を壁に当ててうなだれたポーズ。


「……何を言っているのかよく分からないけど無意味な反省はやめておいたほうがいいのでは? 反省だけなら猿でもできるよ」


……懐かしい、そのフレーズ。


「そんなところでボケっとしてるなら、ロビーに来ないか? そして私とマッサージしよう」


「え、いいんですか?」


やってほしいからうれしいけど……なんでゴーヤ先輩が誘ってくれんだろ?


「……ヤスは何考えてる? 行くのか? 行かないのか?」


「行きます!」


「それじゃほら、立て」


「あい!」


さっと立ち上がり……あれ?


「うわっと!」


「お、おい、ヤス!」


「す、すみません! し、しびれたんですよ……」


足が動かん……正座なんて久々だったし。


ガチャ


「ヤス、ボクも言いすぎたあ。もう入ってきても……」


……ん?


「ヤスう! な、な、なにをやってるんだあっ!!」


な、何のことだ?


「なんでゴーヤ先輩に襲いかかってんだあっ!」


「ち、ちがうって……足がしびれてて立てない」


「ヤスの頭はやっぱりいっつもピンク色かあ! どこでも発情しちゃってえ!!」


「ユッチ、俺の話も」


「うるさいうるさいいっ! もう女子の部屋には入ってくるなあっ!」


聞いて!














「ああうう、どこまでも誤解が深まっていく……」


「ユッチは大丈夫だろ。明日には忘れるんじゃないか?」


「そんなもんですか? ユッチとは夏休み中、まったく口きいてくれなかった時ありましたよ?」


「私が誤解を解いておいてやるから安心しなさい」


ゴーヤ先輩……すっごいいい人だ。


「さて、それじゃあマッサージ始めるか。どっちが先にやる?」


「あ、俺がやりますよ」


「そうか、それじゃよろしく」


「あい」


にぎにぎ、にぎにぎ。


「ううううう」


うにうに、うにうに。


「はうううう」


ふにふに、ふにふに。


「ははひひ、ヤス、くすぐったい。もうちょっとちゃんとやってくれ」


「ラジャッ!」


ぎゅっぎゅっ、ぎゅっぎゅっ!


「ああ、いい感じだぞ。ヤス」


「ありがとうございます……ところで、聞いてもいいですか?」


「ん? なんだ? あーうー♪」


「や、合宿中から俺によくしてくれるんで、なんでかなあって思いまして」


「あーあー、そりゃ合宿前は私もキビもヤスのこと嫌いだったしなあ」


「げ」


なんとなくそう思ってたけど、直接言われるとグサッとくる。


「まあまあ、ヤスだって思うだろ?」


「何をですか?」


「一所懸命走ってる隣でネコミミ付けたバカがのんびりと、ちょっとだけ走ってすぐに帰ってるんだぞ。これだけ聞けばムカつくだろ」


「……否定できませんねえ」


実際俺がそんなやつみたら『なにやってんだか』って思うだろうし。はた目からはそう見えるよなあ。


「そうやって合宿前に女子内で愚痴ったらアオちゃんもポンポコもすごい怒ってな」


……アオちゃん達が怒ってくれるとは。


「一番怒ってたのはユッチだったけどな」


「え!? ユッチですか!?」


アオちゃん、ポンポコさんだけじゃなく、ユッチまで俺をかばってくれるとは思ってなかったな。かなり嬉しい。


「と言うわけで、昨日今日と練習みて、しゃべって、『あ、意外といいやつじゃん』と思った次第だ」


「ありがとうございます」


好かれるって嬉しいもんっすね。


「……ところで、罰ゲームなんだが」


げ、そういやゴーヤ先輩も誰かに命令できるんだったな。……まさか俺にか?


「ヤスはキビに野菜を食わせたくはないか?」


「はえ?」


何の話?


「あのキビの偏食っぷりは嫌なんだよ、弁当の中身とか肉! 肉!! 肉!!! という感じだ。カレーライスでも人参、じゃがいもは食べようとしない。一緒に食べると見てるだけで胸焼けがしてくる」


確かに、この前の昼も全部肉だったな。


「ヤスが料理得意というのはユッチから聞いてるからな。ヤスの任務は『合宿中にキビに野菜を食わせよ』だ。よろしく頼むぞ」


「……むずかし、ってかユッチも得意ですよ?」


「罰ゲームくらったのはヤスだからな。頑張れー」


はう、むずかしすぎ。どうしよっかなあ……。







「……うん、ありがと。マッサージ気持ちよかったぞ、次は私だな」


「あい。お願いしまっす!」


さ、楽しみ楽しみ。


「いくよ……ふんっ!」


「ぐえっ! ……ご、ゴーヤ先輩?」


「せいっ!」


「ぎゃん!! ……ちょ、ちょっと待って?」


「おんどりゃあ!」


「や、やめてー!!! ストップストップ!!」


「まだまだだ、ヤス!!」


……ギブギブ!!! 無理無理!!!















「じゃ、午後練始めよっか!」


ウララせんせえ……おれ、マッサージしてもらったはずなのに……体が痛いっす……。

あけましておめでとうございます!


それにしても、ほかの作者の話ではお正月の話だったりするんですが、私のは夏真っ盛り。

……そんなもんです。


ちなみにゴーヤ先輩の掛け声「おんどりゃあ!」等は妹の趣味。


おんどりゃあ


それでは今年もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ