142話:合宿1日目、短距離と
所長さんに挨拶して、シーツを受け取って、それぞれの部屋に行く。
陸上部員は現在全部で19人。
2年生男子7人女子2人、1年生男子7人女子3人。
人数を上手に分割するために、部屋割りは2年男子、1年男子、女子、という部屋割りになってる。
ヤマピョンが休んだので1年男子の部屋は俺、ケン、マルちゃん、ノンキ、キングとジャックの6人だ。
……なんとなく、ケン以外とはしゃべらん気がするなあ……。
んじゃ、荷物置いて、服を着替えてレッツラゴー。
集合場所ではウララ先生がもういる。
早いな……一番で来たつもりだったのに。
「あ、ヤス君ヤス君」
「はい、何ですか?」
「今日の午前、短距離と練習しない?」
「はえ?」
何で?
「今日の午前の短距離の練習、走るフォームを直すため練習なのよ」
ほうほう。
「もちろん、長距離と短距離じゃ走るフォームは違う所もあるけど、共通部分も結構あるし」
ふむふむ。
「例えばヤス君! あなたの腕振り!」
「はい? 何か変ですか?」
普通に振ってるつもりなんだが。
「横に振っちゃ駄目だよ? 振るなら縦に振らないと」
「なんでですか?」
「横に振ったら腕の運動の方向が横向きになるでしょ? 走る方向はまっすぐじゃない? 運動方向は一緒にした方が楽になるんだよ」
……なるほど、横方向に振ると運動の力が横に逃げるのね。
「他にも直した方が良いなって思うとこ、たくさんあるのよ」
げ、そんなにあるんか。
「フォームがよくなれば、スピードも上がるし、疲れにくくなるから。やってみない?」
「あい、やります」
「決定! 午前、あんまり距離走れなくなるから、その分午後でたくさん走ってね」
あう、やっぱり距離は走るべきなのね。
さてと、女子のメンバーが揃ってやってきた。
ってか男子来るの遅いなー。来てるのケンともう1人短距離の先輩だけなんだけど。
「……って何でサツキが運動する格好でいるんだ?」
「え? だってみんなが練習してる間、ボケーッとしてるなんて暇じゃん」
「いやいや、またマネさんやるのかと思ってた」
「マネージャーはあれはあれで面白いけど、私はやっぱり見てるよりやる方が好きなんだよね」
まあそだな。サツキは何でもやりたがるし。
「と言う訳で参加? 靴は?」
「一昨日お父さんとお母さんからお金もらって、昨日ポンポコ先輩とユッチ先輩と買いにいったの」
「いつの間に……」
ってか合宿のためだけに買いにいったの?
……あ、だからサツキの荷物、あんなに多かったのか。靴とかシャツとか、練習するために必要なもんが大量に入ってたのね。
「それにアオちゃん先輩の妹さん、ミドリちゃんって名前なんだけど、がポンポコ先輩の手伝いをするから。そんなにマネージャーばっかりいらないでしょ?」
アオちゃんの妹がミドリちゃんか……。
アカちゃんとかいたら、戦隊ものになりそ。
「ま、そうかもな」
「来年は私も大山高校陸上部にいるんだし、今から参加しても良いかなって」
「もうそこまで決まってるの!? テニスは?」
「大山高校ソフトテニス部ないじゃん」
「や、硬式テニスはあるぞ?」
「うーん、それはそうなんだけど……クロちゃんサキちゃんが、大山高校受験しないんだよね。2人とも私立で推薦もらえそうだって」
ソフトテニスの推薦かな。それならサツキももらえるんじゃん?
「ふむふむ、それで?」
「キリもマイマイもミキミキも大山高校受験しないんだよね」
「んで?」
「他の3年生の部活の友達も大山高校受験しないんだよね」
「だから何さ?」
「テニス部入っても友達いないわけだし、それじゃもういっかなって」
「あ、そう言う事か」
何となくわかる気もする。
「『あいつら以外の連中と甲子園にいく気には、たぶん……なれねえと思うからな』って気分」
サツキはテニスだし甲子園じゃないけどな。
「ケンの家にあったっけ? その漫画」
「そうそう、ケンちゃんちで読んだ。あの人はかっこよすぎだね」
「だな! あれはかっこ良かった。サツキもそんな仲間と巡り会えたって幸せっすよ」
「そうだね……クロちゃん達とテニスをしてきたいって気持ちもあるんだけど、大山高校にも行きたいし。テニスするならあのメンバーでって思ってたから、できないなら次はまた新しい部活をってね!」
……でも、大山高校なんて、別にそんな特色ある学校じゃないぞ?
飛び抜けた進学校でもないし、部活がすごい訳でもないし。
「サツキは大山高校でいいの?」
東海大会までいってんだ。クロちゃんとかと一緒に私学を受ける道もあるだろうに。
「大山高校がいいの! ポンポコ先輩もユッチ先輩もアオちゃん先輩もいるし! ……ま、ヤス兄もいるし」
こら! 最後の一言余分だぞ!
まあでも……サツキが来てくれるってのは嬉しい!
「じゃ、来年から一緒に登校しよな!」
「そだね、ヤス兄! また来年から一緒に登校だね!」
うん、楽しみ楽しみ!
よし、やる気も出てきた所で、練習頑張ろ。
おはようございます、ルーバランです。
昨日、『ネット小説ランキング』を覗きにいきましたら、『小説家になろう』は今後登録拒否するとの事でした。
現在登録しているものも順次削除していくそうです。
昨日、私も登録削除してきました。
私自身『ネット小説ランキング』から『小説家になろう』の存在を知ったので、ネット小説ランキングから『小説家になろう』を知った方、結構いるんじゃないかと思ってます。
この措置は寂しいですが、仕方ないですね。
『ネット小説ランキング』さん、今までありがとうございます。
サツキの
『あいつら以外の……』はあだち充先生の名作『ラフ』という漫画の一言。
この一言のために昨日本屋に行って、該当の漫画を見つけて立ち読みし、さらについついはまって買って帰ってきた自分って……。
それでは今後ともよろしくお願いします!