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131話:飽きない為の工夫

さて、そろそろ練習だな。


ケン、ユッチ、アオちゃんは短距離、俺は長距離に向かう。


「ヤス、ちょっといいか?」


「ん? ポンポコさん。どうかした?」


「いや、今日はヤスの練習に付き合おうと思ってな」


「え? 短距離の練習はいいの?」


「今日は短距離は休み明けと言う事で、軽めに体を慣らすそうだ。練習内容も聞いたが、そこまでマネージャーが必要そうに感じなかったのでな」


おお、それはありがたい。


「ところで、今日は『時間走』をしないか?」


「時間走?」


なんだそりゃ?


「距離を設定せず、時間を設定して走るのだ。今までの20キロ走れというのはそれに対して『距離走』というものだな」


ふむふむ。


「今までヤスは20キロ走れとか、16キロ走れとか、そのように言われていただろ?」


や、ポンポコさんのメニューだけど。


「そうではなく、『今日は1時間走る』というように設定して走るのが時間走だな……今日は2時間にでもしておこうか」


2時間って……ながっ!!


「ペースは距離走の時同様気にしなくていい。今のヤスに必要な事は多く走って、体を長距離向きの体に変えることだ」


なるほど……でも。


「そんなゆっくり走ってばっかりでいいの? 試合ではもっと速く走るじゃん」


「前にも言ったが、疲れない体を作るのが先決だ。どんなにスピードがあっても、1000メートルしか維持できなかったら、5000メートルでは勝てないぞ」


そうなんかなあ?


「さらに言うなら、体が出来てない上にアスファルトでしか練習場所がないという状況でスピード練習なんぞしたら、100%怪我するぞ。ヤスは体が固いのだろ? 俺は怪我がしたいと言っているようなものだぞ」


「アスファルトで走るのって怪我しやすいの?」


「そうに決まってるではないか」


「何で?」


「単純に考えてみろ、海岸の砂浜を握りこぶし作ってぶん殴るのと、芝生をぶん殴るのと、学校の土のグラウンドをぶん殴るのと、アスファルトをぶん殴るの、どれが一番痛そうだ?」


えーっと……何かボケた方がいいか?

……思いつかん。


「そりゃアスファルトだよな」


「その通りだ。走っているときも同様の衝撃が足にきていると思ってみろ」


「……痛そうだな」


「実際に痛いのだ、だからアスファルトで走ると怪我をしやすいのだな」


ふーむ。


「なので、毎日のようにアスファルトを走るのはお勧めできないのだが……学校周りしか練習場所がないと言うのは本当に辛いな」


うむうむ、かわいそうだな、俺。


「だからせめて今日だけはと思って、私が監視をするからと学校周り以外も走れるよう許可をもらって来たぞ、アスファルトがではないところを見つけたらそこで走ろう」


「え? いいの?」


学校周りをぐるぐる走り続けるのは本当に、本当に飽きたから、それはめちゃくちゃ嬉しい。


「今日練習をしているのは陸上部だけだしな。他の教師に見とがめられる事もない。ウララ先生も了解してくれたぞ」


「ありがと! ポンポコさん!」


「ただ、新学期が始まったら、やはりきちんと監督してくれる先生を見つけるべきだな。知識はなくても先生が見てくれると言うだけでもできることがグンと増える」


確かに。

そう言う意味でも顧問してない先生で、長距離担当の先生が欲しいな。


「今日のところは私は自転車でヤスを追う。自分のペースで走ってくれ」


「あいあいさー」


「……ヤス、今日、死語の話をしていたようだが、『あいあいさー』は死語だからな」


「え!? そんな事ないって! このセリフ、サツキも絶対言うから!」


「……好きにしてくれ」

















そこそこにアップをして、2時間の距離走、スタートだ。

時計をストップウォッチモードに変えて、ポチッとな。


「ヤスの好きな方に向かえばいいぞ」


ほいほい、んじゃ右。


「走りながら、景色を楽しんでみるのもいいぞ」


なるほど……ってか、今日が曇りでよかった。

今までの距離走の時とか、晴ればっかりだったからなあ。

……単純に暑さにやられただけな時もないか?

もう一回右。


「後は、あまり大通りには出ないようにな、信号が多くて止まらなければならない事も多い上、人通りが多かったりすると、ぶつかりそうになって走るどころじゃなくなる。小道でも車通りが多いところは危険だから避けてくれ」


や、俺この辺りの地理そんなに詳しくないんだけど……。

どうやって走れと?

まっすぐまっすぐ。


「夜は逆に大通りの方がいいが」


「……なんで?」


「小道は暗いので、もしヤスが走ってても走っている事に気付かれないぞ。そして車が交差点でいきなり飛び出て来て交通事故だ。大通りなら結構明るいから、よっぽど危険な運転者、酔っぱらいとかだな、以外は交通事故にはならんと思う」


ぽんぽこさん、色々考えてるんだなあ。

えーと……次は左っと。


「前のときのように走りながらボケるなよ」


……走りながら歌ったり、腕振り回したりした事か?

あれは疲れるからもういいよ。

えーと……まっすぐ。


「じゃあ、頑張ろう、ヤス」


はいはーい。












30分経過。


「そんな感じでいいぞ。今はスピードより、走りきる事が大切だ」


うい、了解。













1時間経過。


「走るのに飽きてないか?」


「や、大丈夫」


ぐるぐる回らないだけでも、こんなに飽きがこないものなんだなあ。

後、自転車でポンポコさんが一緒になって走ってくれてるのも大きい。1人で走る時より、全然飽きない。


「そうか、その調子でいこう」


「ういうい」









1時間半経過。


さすがに足が重い。

90分も走り続けるってした事なかったからな。

……ま、本当にゆっくりだったけど。


「ヤス、そろそろ学校に引き返した方がいいぞ」


ういうい、了解。


「じゃ、戻る。それで学校ってどっち?」


「……は?」


「……へ?」


あれ?


「ポンポコさん、覚えてないの?」


「ヤスの好きな方へ行けって言った時点でコースはヤス任せだったからな」


「あれ? それって帰り道は私が覚えておいてやるから好きに走っていいぞって意味じゃなかったの?」


「いや? てっきり私はヤスが……」


「俺はポンポコさんが……」


『…………』





迷子?





「と、とりあえず来た道を引き返そっか?」


「うむ、そうだな」


……帰れるかなあ?












2時間経過……。


「どこだろう? ここ」


もう訳が分からない。


「とりあえず、心配させるといけないから、ウララ先生に連絡入れておく」


携帯、あるんだ。

よかったあ。


「その間にヤス、コンビニかガソリンスタンド、交番あたりを見つけたら聞いてみてくれ」


「了解っす」


えと……、お、あそこにコンビニ発見。

テケテケと。


「いらっしゃいませー」


……おし、都合良く誰もいないし。


「……あの、すみません」


「はい、何でしょう?」


「……ここはどこ?」


「……はい?」
















何とか道筋を教えてもらって、残りの行程は遅くなるといけないからと言う事で2人乗りして帰った。

後でポンポコさんから、


「ヤス、『ここはどこ?』は無いぞ。お前はどこぞの記憶喪失者だ?」


「や、だってしょうがないじゃん!」


「単純に『大山高校までの道筋教えてください』でよいではないか? コンビニからの道筋、教えてくれるぞ」


「…………あ、そっかあ!!」


うわ……めっちゃ恥ずかし。

おはようございます。


私、1人で400mトラックを走ると5周で飽きるんですよね^^;

トレーニングジムに置いてあるランニングマシーンは5分も経たずに飽きます。


と言う訳で、1人で練習するときは見知らぬ土地を開拓したり、景色のきれいな所を走ったり、工夫して走ってました。


ジョギングやウォーキング、全然続かないと言う人、適当に工夫してみてると続くようになるかもしれません^^


それでは。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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