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13話:体力測定

4月9日、水曜の課題テストは何とかこなせた。英語の出来はあまりよくなく、返ってくるのがちょっと怖いが、国語と数学はそこそこ出来たと思える。3教科の合計も平均は越えるんじゃないかな。

ケンは春休みの間に勉強した事が全て抜け落ちてしまったのか、ボロボロだったと言っていた。

そんな状態でほぼテストが毎月ある高校生活を乗り切っていけるのだろうか?


今日は4月10日木曜日、身体測定と体力テストがある。俺は中2で成長期は終わったようで、それ以来背も伸びてないから、身体測定にはあまり興味がない。さっさと身体測定をすませ、体力テストの計測に行く。

受験勉強のせいで、体がなまってないか心配だ……。


身体測定の時はクラス全員でぞろぞろと動いていたが、体力テストは出席番号順に前後の人と組んで、好きな所から行っていい。

俺は鉄道好きと言っていた小太りの生徒、加藤守<カトウ マモル>と一緒に適当に回る事になった。


「僕、運動苦手なんだよ」


加藤が、俺に話しかけてきた。

もう入学式から4日目だが、席は前後なのに加藤と話した事はなかったな。

いつもケンといたし、そもそも加藤と会話しようとなんてしてなかったから。


「小学校の時から太っててね、小6になっても逆上がりできなかったのは僕だけだったから、けっこうからかわれたよ」


とりあえず、適当に聞き流す。


「ヤスは、結構運動得意そうだよね」


加藤、お前もか! 何でみんなヤスって呼ぶ!?

……もうこのクラスで近藤とか呼ばれるのは、諦めたほうがいいかもしれない……。

本名、ちゃんと覚えている人いるかな。


「……俺は、普通だよ」


俺は、めんどくさそうに答える。

早々に会話を打ち切りたかったし。


「えー、そんなふうには見えないよ。結構筋肉もついてるみたいだし、中学のときスポーツやってたでしょ」


加藤は気にせず話しかけてくる。


「……中学は野球部」


「へー、野球やってたんだね。中学ではどこ守ってたの? 高校でもやっぱり野球部に入るの?」


「……俺の話なんてもういいだろ、さっさと体力テストすますぞ」


俺は加藤を置いて、先に歩き出す。


「あっ! 待ってよ!」


後から追いかけてくるが、ほうっておく。

中学のときの事はあまり話したくない。


「まずは、50m走にするか」


独り言をつぶやいて、そこへ行く。


ちなみに、体力テストにはこんなんがある。


握力

上体起こし(腹筋)

長座体前屈

反復横跳び

シャトルラン

50m走

立ち幅跳び

ハンドボール投げ


昔は立ち幅跳びじゃなくて走り幅跳びだったり、懸垂があったりといろいろ変わったらしいが、まあそんな事はどうでもいいか。


50mに行くと、ちょうどケンがスタートするとこだった。他に4人が並んでる。

他のみんなはクラウチングスタートの格好してるのに、なんであいつだけ普通に立ってるんだ?


「位置について…………ヨーイ」


バン! と銃声がして、一斉に走り出す。

やっぱりケンは速い。一人だけ飛び出ていて、他を完全に引き離してゴールした。


「記録、6秒3!!」


おお、すげえ! 去年よりもタイムがいいじゃん、あいつの運動神経ってよすぎだよ。


「おしっ、自己ベスト更新! あっ、室井センセ! 俺の華麗なる走り、見てましたか〜!?」


そこですぐ室井先生を見つけるお前が異常だよ! 室井先生は100mは離れてるぞ、何で見つけることができんだよ!


次は俺の番か……。


俺はクラウチングスタートの構えをする。


「位置について…………ヨーイ」


バン!

一歩目を踏み込んだら、スタートで少し足を滑らしてしまった。おかげで他の人たちより少し遅れてスタートになってしまう。

慌てて体制を立ち直らせたが、ちょっと追いつけないぐらい離されてしまった。

結局スタートの遅れを取り戻せないままゴール……。

やっぱり練習した事ないからケンみたいに立ってスタートしたほうが速かったかもしれない。


俺のタイムは7秒5。平均より遅い。文化部の人も合わせての平均なので、運動部の中ではかなり遅い部類になりそうだ。

加藤は8秒9。……さすがに遅すぎないか?


その後もケンは好記録をたたき出していった。毎回毎回ケンが何かするたびに周りがどよめく。

しかもどこにいても室井先生に大声で報告してた。ケン、室井先生を気に入り過ぎだ! ちょっとは自重しろ! さっき室井先生をみかけたが、苦笑いされてたぞ!


俺はその後は可もなく不可もなく。

握力、ハンドボールは野球をやっていたから、クラスメイト達の記録よりよかったが、なんせ、化け物級の記録をもつケンがいる。

俺の記録なんて全く目立たない。

その中でも、俺は長座体前屈がひどかった。俺が体が硬いのは分かっていたが、30cmってあり得ないだろ。


加藤は相変わらずひどい記録のオンパレードだったが、長座体前屈だけが異常によかった。

お前はタコか! ってつっこみたいくらい体が柔らかくて、足を開いて体を倒すと、ペタンと床に体がついた。

時々出来る人がいるのを見かけるが、まさか運動音痴の加藤がそんな事できるなんて思わなかった。


「僕さ、昔から体だけは柔らかかったんだ。友達がそれ見てびっくりするのが楽しくて、硬くしたくないから毎日風呂に入った後、ストレッチして体伸ばしてるんだ」


「……そ、そうか……」


友達を驚かす、毎日の習慣としてストレッチを欠かさないというのは偉いんだが、理由がなんか変だ。

……やりたくなる動機なんて高尚な物じゃなくても全然構わないけどな。むしろ不純な動機のヤツほど強くなったりするもんだ。


「ヤスは体硬すぎだよね、今からでも遅くないから、ちゃんとストレッチしよーよ。体硬いと、色々困るよ。」


「まあ、考えとく……」


無難に返事しといて、会話を打ち切る。


最後の種目はシャトルランにした。これでばてて、他の種目に影響が出ないようにするためだ。

俺は後少し、後少しと頑張っていると、108回まで行く事ができた。周りの人よりちょっと(本当にちょっとだったが)いい記録で、満足だ。


俺の後に加藤が始めたが、真っ先にリタイアしてた。おい、まだ30回しかしてないぞ! どんだけ体力無いんだお前!


「もう、無理……」


他の人たちが涼しい顔をしながらまだ続けているのに、息もたえだえになりながら、俺の隣に倒れ込んだ。


「あう、きつ、すぎ、るよ、……」


きついならしゃべるなよ!! 黙って息整えるのに集中しろよ!


「こん、なんで……うんど、うぶ……はいって……やってけ、るの、かな……?」


今はそんな事どうでもいいし。それよりも……


「まずは息整えろ。しゃべってたらきついぞ。息整うまではしゃべるな、黙ってろ。……経験者が多い部活になると、未経験者が一緒に練習するのは大変だ。だから高校から何か始めたいなら、未経験者が多い部活に入るのがいいと思う。……後、お前は体が柔らかいから、怪我をしにくい。だから、多少きつめの練習しても、壊れにくいからなんとかやっていけると思う。それか弓道部なら、あまり走らなくていいから何とかなると思うが」


「ああ、そうな、んだ、……ヤス、ありが、と。……でも、しっかり、うんどう、した、いから、きゅうどうは、やめと、くよ」


「だからしゃべるなって」


「うん……」


つい、変な事口走ってしまった。加藤がどの部活に入ろうが、知った事じゃないんだが。

きっとぜーぜー言いながらしゃべってる加藤がうっとうしかっただけだろう。

弓道部は駄目か……本当になんで、運動部に入りたいなんて思ったんだろうね。






総合評価というものがある、AからEの5段階評価で、Aが一番上で、Eが一番下だ。

俺は何とかぎりぎりのB判定をゲット。学年全体ではほぼど真ん中みたいだ。

当然ながら、ケンはA判定をゲットしてた。学年内でもトップをとったらしい。


加藤はE判定。長座体前屈だけがよかったが、ほかがあまりにも悪すぎた。

これから運動部に入るとなると、かなりきつい思いをするかもしれないが、頑張れとしか言いようがない。


こんにちは、ルーバランです。


体力測定、もうずいぶん前にやったので、ほとんど覚えてないんですよね。

ケン君の足は速すぎ?それとも俊足という割には遅い?線引きが難しいです……。


前回の部活紹介、

ジャンプ→2つ

サンデー→2つ

チャンピオン→1つ

青年誌→2つ

少女漫画→2つ

映画→1つ

の計10個をいろいろなとこから取り入れました。


どうなんでしょうね?パロディにすると、知っている人しか分からずついていけなくなりますし、自重した方がいいですかね?

でも、パロディは好きなので、時々は入れたいです。


今後ともよろしくお願いします。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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