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121話:ヤスvsトイレ

今日は8月7日木曜日。


昨日一昨日はユッチの家で大変お世話になった。

ダークな部分しか見せてなかったけど、ちゃんと感謝してるんだぞ。


服の替え、5着も準備してもらって、消化にいいおかゆにすりりんご、ヨーグルト等々……ありがとうございます。ユッチのお姉さん、お義兄さん。

そして、暴走してしまってごめんなさい、ユッチ、アオちゃん。


ユッチ達がある程度立ち直ってから聞いた話なんだけど、ユッチのお姉さんとお義兄さんが入って来た瞬間、愚痴がぴたっと止まって無口になってたそうだ。

確かに黙った記憶が残ってる。


「なんでおねえちゃんがいる間は愚痴らないんだよお!?」


「や、親しい人以外にまで愚痴って聞かせちゃ駄目じゃね?」


「ああ、ヤス君の中で私とユッチ、いつの間にか『親しい人』に昇格してたんですね」


はっきり聞くな、恥ずかしいから。


「だ、だ、だからって、ボクへの愚痴をボクに聞かせるなあ!!!」


……ごめんなさい。


「ユッチ、照れなくてもいいですよ」


「照れてないい!!」


あ、逃げた。





……サツキ、父さん、母さんからもそれぞれ電話が来てた。

すごい心配してくれてたのは口調から分かったんだけど、留守電の最後に必ず


「暴走しないでね、ヤス兄」


と入ってたのは……俺、どんだけ行動パターンが読まれてるんだろう……。


今は自分の家、昨日の朝に父さんが迎えに来てくれた。

午前、会社を休んで来てくれてありがとう。










今日は1日のんびりと過ごすのだ。

部活もバイトも、熱はひいたけどぶり返すのが怖いから念のため休ませてもらった。


ケンが色々手を回してくれたみたいで、バイトの代わりが見つかってよかった。












朝6時、いつも通りに起床、朝ご飯の準備開始……?


あれ? 何かシャーシャー音がどっかからするんだけど……気のせいか?

ま、いいか。準備準備。


準備完了!

あー、ちょっとトイレに行きたくなってきたな。朝から行ってなかったもんな。


「トイレトイレっと」


……?

何かシャーシャーと言う音がどんどん大きくなっている気がするんだが……?


「うおい!? なんでこの辺水浸し!?」


まずいだろ!?

家中水浸しになるじゃん!


水が流れてる元は……トイレかよ!?


「まじ!? 勘弁してよ!?」


俺んとこのトイレ、きちんと下まで下げとかないと、水がだだ漏れになるからな……。

もしかしてそれが原因か!?

ドアを慌てて開けた。


「うおいっ!!」


なんか、金属のパイプと、白の陶器の部分の接続部分から水が噴出してる!!

シャーシャーの音の正体はこれかあ!?


「ってか、これどうやって止めればいいのさ!?」


……ええと、とりあえず上の蓋を開けてみるか。


「わ、わからん……」


生まれてこのかた、トイレが壊れた事なんてないっす。

トイレの構造なんて知る訳ないに決まってるじゃないっすか。


「きょーうもあーさからりっぱなうんちー……できないー!!!」


どどどどど、どうしよう!? 歌ってる場合じゃないだろ!!

ええと、とりあえず吹き出してる部分を押さえ込んじまえば出てこなくなるよな。

そうすりゃ万事解決だろ!!


「よしっ! とりあえずテープ!!」


居間からテープを取ってくる。





……水に濡れて、ひっつかない。


「駄目じゃん! 次! タオル!」


タオルをまきまくって押さえてみる。

お、収まった……これで一件落着か?




……あ、あれ?


どんどんしみ込んで、結局だだ漏れに……。


「やっぱ駄目じゃん! 次! 力ずく!」


手で無理矢理押さえ込んでみる。


お? 止まった。この力ずく作戦。意外と有効?


このままそーっと離してみる。


シャーーーーーー……。


駄目だ! 出てしまう! 慌てて押さえ直す。


……お、止まった。


再挑戦、そーっと離してみよう。


シャーーーーーー……。


えっと……。押さえ続けないと止まらない?


もう一度押さえてみる。


お、止まった。

ええと、つまり俺はこのままずっとこうしてないと駄目と言う訳かなあ?


……トイレ、したいのに。このままじゃできない。

床、びしょびしょのまんまだし、どうしよう?











……おや? 押さえ方が緩くなったか? 何かまた水が漏れて来たんだが……。


シュポン!!


「へ?」


ドバアアアアアアアアア!!!


「どえええええええ!?」


パイプが、パイプが抜けたあ!!!

どうすりゃいいの!?


はめ直そうとしても、水圧で入ってくんない!!


「そ、そうだ! 俺の指で!」


水の出口を押さえてしまえば!


「ぶはあっ!?」


俺は馬鹿か!?

水の出口狭めたら、勢い増すの当たり前じゃん!!

うわあ……全身びしょぬれだあ……。


「……あ、おはよ、ヤス兄? 何遊んでるの?」


「サツキか!? おはよ! 水が止まんないんだよ!! どうにかなんない!?」


「……水もしたたるいい男? ヤス兄には似合わないね」


「いいから! 寝ぼけてないで教えて!?」


「……私も知らない。お父さんかお母さん呼んでくるね」


「お願いします!!」


というかなんで俺、さっさと父さん起こさなかったんだろ?








寝ぼけまなこの母さんが降りて来た。


「おはよ! 母さん! これどうにかして!」


おはよとあいさつした後、かあさんは目をぱちくりさせた。


さすがにこの惨状は……。


ふらふらと居間に何かを取りに行ったっぽいんだけど……。

取ってきたのはマイナスドライバー。


……それでなにすんの?


母さんはパイプの下の方にマイナスドライバーを持ってって、キュッとひとひねり。


……。


……。


……。


……。


止まりました……。


母さん、ありがとう。嬉しそうにVサインだしてる。


ってかここ1時間くらいの俺の苦労は一体……。


「ヤス兄、また風邪引くよ? 落ち込んでないで先着替えたら?」


「……そだね、そうするよ」
















……結局、母さんによると水道のパイプが腐食してたので、それが原因で漏れたみたいです。

俺が今日1日中家にいるので、対応お願いされました。


後、床の水の処理もしなきゃなあ。

……1日ぼーっとできると思ったのに。

おはようございます、ルーバランです。


愚痴は親しい人にしか言いませんよね。


誰かに愚痴られたら

「あ、こいつは俺の事を信用してるんだな」

と思って、温かい目で見守ってやってください。


「きょーうもあーさから りっぱな……」

……汚くてすみません。

『トイレのうた』から借りました。



それでは。

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