118話:LSDってなんだろう?
さて、短距離と長距離に分かれての練習だ。
俺はすでに秘密アイテム『ネコミミ』を装着している……。
1人で練習する口実だからしょうがないんだけどユッチにもアオちゃんにもすっごい馬鹿にされてる……。
どうにか他の方法で1人で練習できんかなあ。
おっと、ポンポコさんにいろいろ教えてもらわなきゃ、わからん用語がたくさんあるし。
「ポンポコさん、ちょっといいすか?」
「ん? なんだ?」
「今日もらったメニューについて教えてほしいんだけど」
「ふむ……何が知りたいんだ?」
「今日の練習内容」
「…………」
ん? なんか変な事いったか?
「ちゃんと読んだのか? ヤス用にわかりやすく作ったつもりなのだが」
「や、全然わからん。むしろ文字が多すぎて読む気がしない」
きっと丁寧に書きすぎてるんだろうなあ。その割に専門用語たっぷり。困ったメニューだ。
「私たち兄弟が何時間もかけて作った作品を……」
ポンポコさん、今日はショック受けてばっかりだな。
「今日のメニューはここに書いてある、読んでみろ」
ポンポコさんが指した部分を見てみると……。
「20km!?」
ありえん! そんなに走れるかよ!?
「別に大したことはないぞ?」
そんな訳あるか! 無理だって!
「体力のないヤスはまず体力をつけるところからはじめないといかん。本来はクロスカントリーと言って、アスファルトではない山道などを走るのが効果的なのだが、この学校の周りにはないからな」
「で、代わりに20km?」
無理だろ。確実に無理だろ。
「タイムは気にするな。一応タイムをとっても構わないが、とにかくゆっくりと、長い距離を走るのだ」
「や、それでも無理だろ! 俺、10kmまでしか走ったことないよ!?」
「その10kmはスピードを上げたのだろ? スピードを上げなくていいと言ってるではないか」
「……スピードを上げないでいて、どんな効果があるのさ?」
「心拍数が高くなりすぎないように一定に保ち、有酸素運動に当たる負荷で走れば,疲れにくい体を作ることができるのだぞ。たった1kmでばてたヤスには必要なトレーニングだ」
……なるほど。
悔しいが、事実だからな。
「このトレーニングはLSDと言われている」
「LSD?」
なんだそれは?
えーっと……
「らき☆すた・大好き?」
「『long slow distance』の略だ……いま、ヤスはいったい何を言ったのだ?」
……ごめんなさい……本当にごめんなさい。
「『長い距離をゆっくりと』だ。今はヤスは知識もほとんどない状態だろ? とりあえず言われたとおり走ってみろ」
まあ、そうだな。
ポンポコさん、知識が豊富そうだし言われたとおりやってみるか。
「では、私は短距離の練習に行くからな。頑張れよ」
「あいあい、ありがとー」
さて、頑張りますか。
そこそこにアップして、スタートだ。
1周820mだから、20kmと言うと……24〜25周か……。
長いなあ。
1周目 てけてけと走る。
2周目 とことこと走る。
3周目 ちょこちょこと走る。
4周目 あきあきと走る。
……まじめに飽きたんだが……このスピードで同じ景色を見続けるのは拷問ではないかい?
飽きないようにいろいろやってみるかあ……。
5周目 腕を振り回しつつ走る。
6周目 鼻歌歌いつつ走る。
7周目 体を揺らしつつ走る。
8周目 大声で歌いつつ走る。
「ヤス! 何をやっている! 遊ぶな!」
ポンポコさん、そう言われても、つまんないんだよ。
何かすること……。思いつかん。一人しりとりでもするか?
……ってか、歌ってたせいかばてた。
歌わなきゃよかった。
9周目 もんもんと走る。
10周目 むんむんと走る。
11周目 ぼーっと走る。
12周目 ぼんのうと走る。
「ヤス! フォームを意識して走らないと意味がないぞ! ダラダラと走るな!」
やば、あんまりにもつまらんからほかごと考えて走ってたらすごい適当なフォームになってたっぽい。
エロイ事ばっか考えてたなあ。
『敵は煩悩寺にあり』……か。
思いついた人、すばらしいな。確かにその通りだ。
13周目 しんどい……いままでの練習の中で一番長いんじゃないか? 走ったことない距離に突入すると、いきなり走れなくなるのか?
14周目 ……やば、体が動かん……どしよ……もう少し小さな声で歌えばよかったかなあ……関係ないな。
15周目 ……も、無理。
「あ、足が重い……」
しんどくて座ってたら、ポンポコさんがやってきた。
「……ヤスは本当に野球部だったのか? それにしてはあまりに運動能力が低い気がするんだが」
「……や、まあ確かに野球部だったけど、引退後はほんとに運動してないし」
サツキとの夜練もその時期は球出しとかしてただけだしなあ。
今部活してないんだから、運動する必要ないだろとか……馬鹿なこといわなきゃよかった。
「まあ、これから当分の間はスピード練習は行わないからな。とにかく距離を走れ。スピードをつけるのは体力を作ってからだ」
「うい……了解」
情けないなあ……俺。
「そういえば……バイトはいいのか? いつもはもう帰ってるはずだが」
「へ?」
ええと、時計は…………現在時刻……12時……。
やば!!!!
「遅刻だ!!」
「……頑張れ」
「じゃね! ポンポコさん!」
「ああ、またな」
……結局、遅刻しました。
ええ、めっちゃ怒られました。
すみません。
……次の日。
「すまん、LSDは普通同じところはぐるぐる回らん。飽きるからな、言うのを忘れていた」
ポンポコさん!! 勘弁して!!
こんばんは、ルーバランです。
LSDの略であれを思いついてしまった瞬間、使おうか使わないか悩みました。結局使ってしまいましたが^^;
アニメは見たことないんですよね。漫画だけ。
漫画はかなり面白かったです。
みんなで同じところをぐるぐる回るのはまだ平気なのですが(一度200mトラック100周を経験したことがあります)私は1人で同じところをぐるぐる回ってるのはつらいです。
1人で練習する場合は、いろんなところを散策するか、1周3km以上あるようなところを回るとそんなに飽きはこないです。
それでは。