108話:サツキの中総体県大会、1回戦終盤
その後、テンマちゃんの発言に振り回されつつも、何とかスリーオールにまで持ち込んだサツキ&クロちゃん。
ってかサツキもクロちゃんもつられすぎ。何でわざわざ反応するんだ?
や、確かに時々本当に言ったとおりのコース狙ったり、ロブ打ったりするけど、いつもどおりの反応を見せれば追いつけるのに。
それよりすごいのがイダちゃんかな。
テンマちゃんの天真爛漫なプレイのサポートをどこまでもやっている。
うん、すごい。
今、7ゲーム目だ。
現在ファイブ・スリーで負けてる。
次はイダちゃんのサーブ、レシーバーはクロちゃんだ。
「だっ!」
そんなにスピードのないサーブだ。
クロちゃんなら軽く返せる。
「くっ!?」
イ、イダちゃん、ここへきてスピンサーブなんて打ってきやがった。
今までずっとフラットサーブしか見てないもんだから、クロちゃんの反応が遅れた。
「へっへー! 決めてやるから! ふりゃ!」
すぱん!
待ち構えてたテンマちゃんのスマッシュが決まる。
「シックス・スリー」
やばいな……マッチポイントだ。
次にポイントを取られたら負けてしまう。
「サツキ! 負けんな!」
「ヤス兄に言われなくたって! 負けないんだから!」
よし、まだまだあきらめていない。
イダちゃんのサーブは続く。
今度のレシーバーはサツキだ。
「これで決めちゃうから! だっ!」
今度もまたバウンドの後、別方向にはねた。最後の最後まで隠し玉をとっておくとは、やるなあ、イダちゃん。
サツキ、返せ!
「せいっ!」
レシーブに関しては、サツキだってイダちゃんに負けちゃいない。
イダちゃんのバックの方向へ返球した。
イダちゃん、わざわざフォアに回り込んで返してきた。
足が速いとそんな芸当もできるのか。
「だっ!」
イダちゃんも無理なく返す、
と、ここでサツキが前に出てきた。
「せいっ!」
今イダちゃんがいる方向とは、まったく反対の方向へ返す。
……さすがのイダちゃんも追いつけない。
「おしっ! ナイスだサツキ!」
「ありがと! ケンちゃんのアドバイスが効いたね!」
ん? それはどう意味だ?
「やっぱり相手がヤス兄だと思うと違うね! 思い切りの良さが出てくる!」
何で!? 何で俺だと思うと思いっきり打てるの!?
はあ……ちなみに、今のプレーはイダちゃんがちょっとミスったな。
□□□□イ□
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
□□テ□□□
――――――
□□□□□□
□□□□□□
□□□□ク□
□サ□□□□
□□□□□□
こんな感じからイダちゃんがサーブを打って、
□□□□イ□
□□□□□□
□□□□□●
□□□□□↑
□□テ□↑□
――――↑―
□□□↑□□
□□□↑□□
□□↑□ク□
□サ□□□□
□□□□□□
サツキはイダちゃんのバック方向に返す。
バックで返せばいいのに、足が速いもんだからわざわざ回り込んで
□□□□□□
□□□□□□イ
□□□□□↓
□□□□↓□
□□テ□↓□
―――↓□―
□□□↓□□
□□●□□□
□□□□ク□
□サ□□□□
□□□□□□
こんな球を返した。
すかさずサツキが、前に出て
●□□□□□
↑□□□□□イ
↑□□□□□
↑□□□□□
□↑テ□□□
―↑――――
□↑□□□□
□サ□□□□
□□□□ク□
□□□□□□
□□□□□□
まったく反対方向に打つ。
さすがのイダちゃんもここまで離れたらとることはできんな。
「フォー・シックス」
こっからはサツキのサーブだ。
相手のレシーバーはテンマちゃん。
今まで散々振り回されたんだ。おもいっきり仕返しをしてやれ!
「ヤス兄の顔面にぶつけるつもりで……」
……おいサツキ、何不穏当なこと言ってやがる。
「せいっ!」
フラットサーブだ。
サツキにしては珍しく、コントロールより勢い重視っぽい球を打ったな。
テンマちゃんがレシーブする。
「えいっ!」
相手チームはクロちゃんの豪速球サーブを返してるからな。
サツキのサーブはそんなに速いと感じないだろう。
「せいっ!」
前に出ながら、サツキが返す。
テンマちゃんも同様に前に出てきた。
「秘技! ボレー!」
や、ボレーって秘技じゃないし。
「ふりゃ!」
げ、ネットに当たって入った。
こんなところでコードボールかよ!?
追いつけ! クロちゃん!
「ていっ!」
ぎりぎりクロちゃんが追いついた。
コートの奥に歩点と落ちる。
相手チームはイダちゃんもテンマちゃんも2人して前に出てきてたから、なんとかポイントをゲット。
……し、心臓に悪すぎる。
今のはマジで負けたかと思った。
「シックス・ファイブ」
次はイダちゃんがレシーバーだ。
めったなことではサービスエースはとれない。
「……あれはヤス兄、どへたくそなヤス兄」
おいサツキ! その暗示はなんだ!? たとえ気休めでもむかつくぞ!
「せいっ!」
今度はスピンサーブか。
いろいろ混ぜてうつな、サツキは。
バウンドで方向が変わるけど、それもちゃんと予測して打つイダちゃん。
「だっ!」
イダちゃんの球はサツキのフォアの方向へ。
打ちごろの球だ。いけっ!
「せいっ!」
テンマちゃんとサイドの隙間を狙った球。
テンマちゃんが反応しきれてない。
イダちゃんが走って走ってバックで返球する。よ、よく追いつくよなあ。
「だっ!」
返したけど、イダちゃんはそのままコート外だ。
今はコート内にテンマちゃん1人しかいない。
ボールはクロちゃんの前に。
クロちゃん、決めてやれ!
「やっ!」
スパーン! と相手コート内にスマッシュを打つ。
あのコースならさすがのテンマちゃんでも……追いつかないな。
よし、ワンポイントゲット。
「デュース」
ようやくデュースにまで持ち込んだな。
こっからだぞ。気を抜くなよ、サツキ! クロちゃん!