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106話:サツキの中総体県大会、イダテン

さ、次もイダさんのサーブだ。

今度の後衛はクロちゃんだ。思いっきり返してやれ!


「だっ!」


うん、やっぱりサーブはたいしたことない。

いけっ、クロちゃん!


「でやっ!」


おし、ナイスレシーブ!

相手の前衛、テンマさんの真正面に突き刺さるようなレシーブをクロちゃんが返す。

かなりのスピードだ。


「ふごっ!」


「…………ぷっ」


くくくっ、わ、笑っちゃだめなんだが……。


ぽん、ぽん……。

ボールが転がる。


うずくまっているが大丈夫だろうか?


「は、鼻がツーンとするよー!!」


「テンマちゃん、よけなさい!」


……めっちゃ大丈夫そうだな。


今のはクロちゃんのレシーブが前衛のテンマちゃんの真正面に返された。

真正面ってのは意外と取りにくく、しかもクロちゃんのレシーブにかなりのスピードがあったもんだから、よけきれず顔面にボールがペシッ! と当たったわけだ。


しかし、『ふごっ!』か……言ってしまうのもわかるが、面白すぎ……。


「うん、痛いの治ったよ! 再開しよっか!」


「いや! テンマちゃん! 危ないから! その顔でやらないで! 不気味すぎるよ!」


「え? 何のこと?」


「気づいてよ! ダラダラだよ! 流れてるよ!」


「え……ダラダラ? イダちゃんそんな事言わないでよ」


「何で顔が赤くなるの!? 鼻血! 鼻血!! 鼻血!!!」


「鼻血? 誰が?」


「テンマちゃんだよ! 監督! ティッシュティッシュ!」


お、監督、さっと立ち上がったな。迅速な監督だ。


「ティッシュがもったいないからその顔でやれ!」


いや! それはないだろ! ほんとに今にもぽたぽた落ちそうだから! テニスコートに血の雨が降るから!


「いやです!」


「ええ? 私大丈夫だよ? 早く始めようよ」


な、なんてアバウトな子だ。テンマちゃん。


「テンマちゃんがよくても私がいやなの!」


イダさんは普通な子みたいだなあ……大変だな、イダさん。

ってかサツキ、ウケすぎ。そっちのコートで一人腹抱えてうずくまってるのは変だぞ。







ようやく鼻にティッシュを詰め込んで、試合再開だ。


「鼻が詰まって動きにくいよう」


「鼻血が止まるまで我慢しなさい!」


うん、頑張れ。鼻血なんて早けりゃ5分あれば止まるだろ。


「えと、試合再開しますよ?」


困ってるなあ、審判。あんまりこういうこと、なさそうだもんな。


「ワンオール、サーバー、テンマ」


そか、次はテンマちゃんのサーブか。

イダさんを見る限り、テンマちゃんもあんまりサーブがうまくないんじゃないかと勝手に思ってるんだけど。


「おし、いくよ! 必殺! ツイストサーブ!」


お、すげえ。 テンマちゃんツイストサーブが打てるのか。


「ふりゃ!」


すかっ。


「ふぉ、フォールト」


「ありゃ? 失敗失敗」


……ええと、県大会レベルでからぶる人ってほとんどいないと思うんだけど。

ほんとにツイストサーブがうてるのか?


「テンマちゃん、ツイストサーブはやめよ?」


「ええ、大丈夫だよ、見ててよ!」


イダさん、頑張れ。しかし、ああいうのほほんとした子はどう扱えばいいんだろうなあ?

ってかやっぱりツイストサーブなんて打てないんじゃないの?


「次こそ! ツイストサーブ!」


パシッ!


お、今度は当てた。


パサッ……。


「だ、ダブルフォールト。 ワン・ツー」


てか、さっきのボール、あんまり回転がかかってなかったように見えたんだけど……。

ツイストサーブってすごい回転が必要じゃなかったっけ?


「ふっ、まだまだだね」


「それはテンマちゃんのことだよ!」


うん、そのとおり。イダさんナイスツッコミ。


「よし、次はスカッドサーブに挑戦しようかな」


「お願いだから、普通にサーブして!」


「ええ? もう、しょうがないなあ。イダちゃん、わがままだよ」


「こっちのセリフだよ……」


ええと、頑張れ。イダさん。












さて、ワン・ツーから、もう一回テンマちゃんのサーブだ。

ってか、普通のサーブってどんなサーブ?


「ふりゃ!」


あ、ほんとに普通。普通のフラットサーブか。スピードもそこまで速くもなく。

レシーブはクロちゃんだ。


「でやっ!」


おしっ、いいコースに返したぞ。

相手チームは走るのが速いからな。足元に打てば打ちづらいだろ。


「えいっ!」


お、テンマちゃん、返したな。相手チーム、やっぱり返すことだけは上手?

しかし、返った先には前衛に突っ込んできたクロちゃんが待ち構えてる。

いけ、クロちゃん!


「でやっ!」


ナイススマッシュだ!端っこに打ったし、今度こそとれんだろ!


「えいっ!」


くぅ、テンマちゃん、ぼけてるけど足が速い、後さっきに比べて反応もいいな。

……正面が苦手?


ふわっと打ち上げた。

こっちのコートの後ろに落ちる。


クロちゃんが前衛にあがるのを見て、後衛に下がっていたサツキの真正面だ。


「せやっ!」


急角度の球が相手コートに返る。

ただ、なんとなく追いつかれるような……。


「うわっ!?」


お? 回転をかけてたのか、サツキ。

途中でボールが別の方向に跳ねて、テンマちゃんのフォームが崩れた。


「えいっ!」


変なフォームのまま、無理矢理打った。

ほわわわん、とボールが浮き上がったのだが、こっちのコートに戻ってくるか? ぎりぎりのところだが……。


あ、ネットに当たった。どっちに入る?


「向こうに入らんかーーーっ!!」


……ぽてん。


叫んだテンマちゃんのコートに落ちた。


「あれえ? おかしいね。イダちゃん、気合を入れて叫ぶと相手コートに落ちるんじゃなかったっけ?」


「それ漫画だから! お願い! 恥ずかしいから叫ばないで!」


「なんか恥ずかしい? イダテンって応援されるほうが恥ずかしいよ?」


「それも恥ずかしいけど! テンマちゃんの叫びも恥ずかしいから!」


「もう、さっきからイダちゃんわがままだよ!」


「どっちがよ……」


頑張れ、イダちゃん。


「……ええと、ワン・スリー。サーバー、イダ」


頑張れ、審判。








さてさて、イダちゃんのサーブだ。


「イダちゃん、鼻血止まってきたよ。ティッシュとってもいい?」


「もうちょっとつけてなさい! また出てくるかもしれないから!」


「うぅ、かっこ悪いよう」


イダちゃんとテンマちゃん、なんか姉と妹みたいだ。


「まじめにいくよ! だっ!」


うん、そんなにスピードの出てないフラットサーブだ。

レシーバーはサツキ。また回転かけて返してやれ!


「せやっ!」


今度は別の打ち方をしたっぽいな。スライスか?

バウンドした後、跳ぶ方向が変わったけど、イダちゃんは跳ぶ方向がわかってたのか、そこで待ち構えてた。


「だっ!」


クロちゃんの頭上を越えようとする球だ。が、ちょっと低そうだけど届くか?


「クロちゃん! 無理しないで!」


「いや、これならいけるよ!」


パシーンとスマッシュを打つ。

テンマちゃんの方向か。


「テンマちゃん! アウト!」


「ふぇ?」


イダちゃんの叫びに反応してか、ぽこん、と中途半端なスイングになった。

うん、確かにさっきのはアウトっぽいな。

またちょっと高めだけど、クロちゃんなら届く。もう一回行け! クロちゃん!


「でやっ!」


さっきの中途半端なスイングの後、ポケッと見てしまってるテンマちゃんの方向に、またとぶ。


「ぶへっ!」


しゅぽんっ!


…………ぶっ。


わ、笑うな俺。我慢しろ。

また鼻に当たったテンマちゃんは鼻を押さえてうずくまってる。

ね、狙ってるのか? クロちゃん。


「イダちゃん、鼻痛いよー」


「だからよけなさい! 今のは絶対アウトだったよ!」


確かによければ確実にコートの外だったな。


「いたわってよー。鼻痛いんだよ」


まだ鼻押さえてる。よっぽど痛かったのか?


「ほら! うずくまってないで、さっさとたちなさい」


手を貸してあげるイダちゃん。


「ありがと、イダちゃん」


手をとるテンマちゃん。


「ってネチョ? 何このぬるぬるした手は……」


「どうかしたのイダちゃん?」


「テンマちゃん! 顔! 顔!!」


「顔がどうかした? かわいい?」


「赤い! 鼻血! 鼻血!! また出てる!」


「うえぇ? またあ?」


「ティッシュはどうしたの!?」


「あれ? どこだろ?」


ああ、さっきしゅぽんって吹っ飛んだからな。

コートのどっかに落ちてんじゃないか?


「ってことはこのヌチャヌチャしたのって……」


「ああ、きっと鼻血だねえ。後、ちょっと鼻水も出ちゃったかな?」


「汚いから! 何でそんなの私の手につけるの!?」


「手を出してくれたんだもん!」


「拭いてから手をとってよ!」


「ええ? 服で拭くの? しょうがないなあ」


「ごめん! 私が悪かったから私の服で拭かないで! ああ! 服が鼻血でー!!!」


「ありがと、イダちゃん。もう大丈夫だね。じゃ、起こして」


「大丈夫じゃないから! 鼻血がぽたぽたたれてきてるから! 先生! 早く、ティッシュティッシュ!」


「さっきコートに落ちたのがあるぞ。それを使えば?」


「汚いですから! 新しいのくださいよ!」


「紙は大切に使わないとだめだぞ」


「そうかもしれませんけど! 鼻血がコートにたれるー!!!」


苦労人だな。

頑張れ、イダちゃん。
















ええ、あんまりにも大騒ぎするから、鼻血が止まるまでゲームを中断することになった。

サツキも笑えてしょうがないみたいだったし、ちょうどいいか。


ようやく鼻血が止まって再開だ。

イダちゃんの汚れた服がちょっとかわいそう。


「え、えと、ゲーム、ゲームカウント0−1?」


……忘れたのか? 頑張れ、審判。

おはようございます。


顔面にボールを食らって……はまさに昨日私がテニスしてて経験しました^^硬式でしたが。


そういえば、久々にパロッた気がします。

「向こうに入らんかーーー!!」

ああやって叫んで自分のところに落ちたらきっとすごく恥ずかしい。


ところで新しいPC、なんか変換がやっぱり変。


めっちゃだいじょうぶそうだ→めっちゃだ異常武装だ


どんな武装をしてるんだ?とちょっと思いました。


それでは。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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