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一話 相棒が百歳以上のロリだなんて...



 寒い冬の二月から三月の終わりまではとても早く、忙しく過ぎていった。

しかし、彼には関係のないことだ。

「はぁ~...」

ため息のように一息つきながらズルズルとカップラーメンをすする。誰にも邪魔されないで食べる飯はうまい。そう思いながら総悟は一人黙々と自室のパソコンの前でカップラーメンを食べ続ける。

「喉乾いたな、まぁ緑茶でいいか。」

そういって彼は一階へ降り、冷蔵庫に入っている緑茶を取りに行く...はずだった。

 ガシャン!と後ろで何かが落下する音がした。

「ヒィッ!」

どたどたと猛ダッシュで階段を下りていくが踊り場で足を滑らせ、今度は総悟が大きな音を立てながら階段から落下した。

「いってぇー!」

誰もいないはずの自宅で大きな声を出して転げ回る。

十秒ほど経っただろうか、何かが落下した総悟の部屋から誰かが下りてきた。

「へ...?」

今さっきまで恐怖以外の感情が全くなかった総悟だが今は階段から降りてきたものにくぎ付けになっている。恐怖は微塵もない。

「あの...どちら様でしょうか?」

 傍からみれば不法侵入だろう、しかしいまこの家には総悟しかいない。その総悟もいまは動かない。

「僕かい?僕はフィール、魔法世界から来たんだ。」

目の前の美少女は訳の分からないことを言い出した。総悟の頭の中は今起きていることを整理できていない。

「そ、そうか、フィールっていうのか。でも駄目じゃないか。人の家に勝手に入っちゃ。」

見た目は小学校低学年くらいだろうか、そんな小さな子から驚きの言葉が放たれる。

「何言ってるんだい、僕は少なくとも君の十倍以上は長く生きてるさ。」

総悟が言葉を発するのには少し時間を要した。

待て、今この子魔法世界って言ったのか?それにこんなに小さい子が百歳以上!?ありえんありえん。最近の子供は物凄い冗談を言うな...

 そう思っていた総悟にまずひとつの答えが出た。

「こんな時間に学校に行ってなくていいのかい?」

引きこもりの総悟が言えたことではないが一応聞いてみる。

「それはこちらの台詞だよ総悟君。」

がっかりしたような表情でフィールは総悟に視線を向ける。

おいやめろ、やめてください。なんでこんなに小さい子に引きこもりを指摘されなけらばならんのだ。てかなんで引きこもりって知られてるの。

全く話が進まないのを悟ったのかフィールは続ける。

「最近ニュースで言われているでしょ。日本各地で十五歳以上二十五歳未満の人達が次々と行方不明になっているって。」

そうだった、確かにそんなこと言ってたな。

「え...じゃあお前がその神隠し事件の犯人なのか?」

名前を知られていること、この小さな美少女が百歳以上であること、何一つ疑問は解決はしていないが、話は進む。気にしない辺り総悟の頭の悪さがにじみ出る。

「少し違うよ、彼らは魔法世界に連れていかれただけなの。別に死んだわけじゃないんだよ。」

「はぁ...魔法世界、ねぇ...」

「あっ、信じてないでしょ!?」

ばれたか...でも魔法世界なんて普通誰も信じないでしょ。

「そんでもって、俺をその魔法世界とやらに誘拐するのか?俺は魔法使えるんだろうな。」

「誘拐とは人聞き悪いな、すこーし魔法世界についてきてもらって冒険に行ってもらうだけさ。魔法については向こうで話した方がいいだろう。」

そういわれたら魔法のことについてはもう質問はない。だが...

「むしろ悪いわ!こちとら引きこもりだぞ!冒険なんてできるか!」

そう、引きこもりでビビりな総悟には冒険なんてゲーム以外では精神面でも体力面でも無理なのである。

「まぁ冒険には無理やり行かせはしないさ、ただしその場合、帰られなくなるけどね。」

笑顔でフィールは言う。

小さな容姿もあってか純粋な笑顔に見えるがそうではない。この純粋な笑顔の裏にはどす黒い笑顔があることだろう。

ブラック企業だ。無理なことさせてできないなら帰れないなんて...

無理、俺もう無理、きっとリア充にもなれないままで魔法世界とやらで一生過ごすことになるのか...お父さん、お母さん今までありがとうございました。親孝行できずに申し訳ありません。こんな駄目息子をお許しください。

心の中で総悟は泣きながら両親への別れを告げる。

「どうせ連れて行かないなんて無理ってオチでしょ、ならもういいよ、その魔法世界へとやらでもどこへでも連れて行けばいいさ...」

「よし、準備はいいんだね、いくよー!」

フィールの足元に魔方陣のようなものが浮かび上がっている。

「え、ちょっと待って、そこは仕方ないねとか言って時間くれるもんじゃないの?」

「さて、これから君には白藍(はくあい)の宝玉を手に入れる冒険に行ってもらうために魔法世界についてきてもらうよ。詳しくは向こうについてから話そう。僕のマナが足りるかわからないからね。」

くっそこいつ話聞いてねぇ。...ん?

「ちょ、ちょっと待て。そういう目的って普通先にいうもんじゃないのかよぉ!?少し考えさせてくれよぉ!」

総悟が叫んだころにはもう遅く、魔方陣のようなものから光が発せられ、自宅ではないどこかへと飛び始めているのであろう、目がチカチカするような光の中を進んで行く。

「いやだぁー!まだ心の準備もできてないからぁー!」

村瀬総悟の引きこもり脱却兼、魔法世界の冒険、いやいやにも始まってしまった白藍の宝玉探しのために彼は街を走り回ことになる。


拙い文章ですが書かせていただきました。楽しく読んでいただければ幸いですし、ご指摘いただければ次回から気を付けていこうと思いますので、生暖かい目でみまもっていただきたいです。(作者の意欲は傾きやすいので更新はまばらかもしれません。極力続けて行こうと思います。)


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