そうして謎は解けるか?
ハルトと桜海は水門財閥跡を後にし、再び『トールの山』へ向かうことにした。
数日の野宿、何回かの狩猟を経て、二人はようやっと地図の目的地周辺までたどり着いた。
「この辺みたいだな・・・」
「・・・うん」
反応が鈍いようにも見えるだろうが、しかしこればかりは仕方がない。
何せ、それらしきものが何一つなかったのだから。
「どうやら校長先生は、また謎を『例え』にしたらしいな・・・」
『例え』。いわゆる暗号である。
「トール・・・山・・・T・H・O・R・・・」
ダメだ。全然解らない。これではお使いの正体にたどり着けない。
「トール、っていう読み方じゃない・・・?」
桜海がそんなことをつぶやく。
・・・!
「読み方・・・!!」
そうだ、読み方が違えば意味合いも変わってくる。
トールじゃなかったら何だ・・・?
ゾー?ドナール?・・・違う。
「『ソー』・・・か?」
「え?」
「そうだよ、『ソー』だ!!」
「・・・シャレ?」
「違う」
・・・説明中・・・
「・・・じゃあ、それかもですね」
ハルトは、『ソー』という読み方に至った根拠を話すと、桜海は思ったより早くそれを呑み込んで理解した。さすが成績トップの秀才。
「だといいんだけどなぁ・・・。何だって、あの校長が出してきた謎だし?」
「ですよね・・・」
ちなみに、ソーというのはトールの英語読みである。詳しく記しはしないが有名なアメコミヒーローにもその名を見る。
《アスガルド》上空。
モフモフした影が一つ、深い青の空に浮かんでいた。
命を受け、ハルトを捜す玉藻前である。
「路木ハルト・・・わちきから逃げられると思うてはおらんかえ?」
見つけたら、その場で首を頂こう。
久方ぶりの生き血や新鮮な肉・・・。
想像するだけで、最早野生の本能が抑えられない。
「待っておれ・・・っ!!」




