別離
あるいは意図された邂逅。
「なっ!!」
俺はイドゥンの凶刃を避け、しかし彼女はなおも追随してくる。
「アナタは私に命を奪われるのよッッ」
「んなことされてたまるかッ!」
追いかけてくる鬼、逃げる俺・・・。
文字通りの《鬼ごっこ》・・・いや、最早ごっこですらない、狂ったチェイスは続く。
ただ逃げるだけじゃ、いずれ捕まる・・・。
そう思った俺は、スッと路地裏に駆け込む。
「逃がさないわよッッッッ!」
夢中で走っていたせいだろうか。
袋小路になっているのに、全く気がついていなかったのだった。
「しまった・・・ッ」
「フフフ・・・。どうせだから、殺すより酷い目に合わせてやるわッッ!!」
「え・・・」
一瞬、《死なないで済む》という安堵が頭をよぎった。
だが。
「さようなら路木ハルト。・・・永遠に」
ドンッ。
背中を乱暴に蹴られ、袋小路の壁にぶつかる。
するとどうだろう、体がめり込み、どんどん吸い込まれていくではないか。
「なっ、何だ・・・ッ!?」
するとイドゥンは、嘲笑いながらもその声に応えた。
「言ったでしょう?アナタを死ぬより酷い目に合わせてやるわ、って」
壁が俺の身体をグイグイと締め付ける。
息ができない・・・!
「さようなら路木ハルト。永遠に」
そして俺は何度も体感したことのある、ある種の感覚に陥った。
落下していくかのような、フワッとした感覚。
気を失う途中の、時間が引き延ばされる感覚だった。
どこか新しくも古い、何か有り、何も無い場所。
「・・・」
無言で、しかし何かを思い、秘める眼差しが、気絶しているハルトに当てられていた。
「・・・アナタ、《もう無い》のね・・・」
その女性の声を姿も知らないまま、ハルトはその時はただ、深く意識の底で眠っていたのだった。
トネリコの繋ぐ宙2 開闢篇はいかがでしたか?
今回の話は最初、アカウント消失や自分の都合などもあり、色々忙しい中での開始となりました。
ともあれ、こうしてひとまず物語を締めることができたのは、ありがたいことです。
ただ、ハルトが前作に比べて気絶ばかりしていたような記憶があります。
こんなに弱かったか?と思いながらも、最後また気絶を使わざるを得ませんでした。
この辺はまだまだ技量不足でしょう。
以後努力していきたい課題の一つです。
読者の皆様には本当にお世話になりました。
この物語は恐らく、次で終わりを迎えます。
それではこの物語の【3】、あるいは現在連載しております『Mr.アリスの《不思議》事件簿』でお会いしましょう。
2016・12/26 あーもんどツリー




