表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トネリコの繋ぐ宙 - 2・続 開闢篇  作者: あーもんどツリー
14 主人公の『 』世界
67/69

悲劇なんかじゃない

前回のタイトルを全否定していく。

「・・・ハルト?」


え、と思った。

記憶が抜け落ちている。

なぜ俺は木の箱の中にいる?

白い布にくるまれ、体が思うように動かない。


「し、死体が動いたァァァァァ!!!」


はぁ?!

死体とは失礼な!!!


と、言いたかったが、声が出ない。

(のど)はカラッカラに(かす)れ、腕はおろか全身の肉という肉は()けて()げ落ちていた。


「・・・ッ・・・ァ」

(みじ)めだった。

何と表現しづらい(はずか)しめだったろう。

これが普段なら泣けただろうが、皮肉にも全身乾いていた。

涙など一滴すら出ない。

唇を噛んでも血すら出ない。

痛かった。ただただ痛かった。


本当に、俺は死んでしまったのか・・・。


ふと、脳裏に璃瑠の姿が映った。

彼女を思ったら、余計に胸の奥がジクジクと、(こら)えきれないくらいに痛んだ。


「ハルト、俺が判るか?!」


声のする方を見る。

中年の男が一人、俺を見て再会を喜んでいるようだった。

しかし、俺にはその人が誰なのか判らなかった。

視界が徐々にだが、ジンワリと歪み始めたのだ。


何だこれ。

懐かしい。

熱くなっていく。

何かがあふれてくる。

こぼれ落ちていく。

したたる。


・・・涙。

それは間違えるはずもない、涙だった。

悲しかったのか、痛みがひどかったのか。

どちらにせよ、涙が流れた。


俺は泣いていた。

延々泣いていた。

その時まだ判らなかった俺の、実の父親の胸の中で、ただただ泣いていたのだった。


嗚咽(おえつ)が落ち着いてきた頃、男は俺に問うてきた。

「俺は路木咲羽大。お前は路木ハルトだよな?」


まだ少し浅く震える息を吸って、脳が勝手に紡ぎ出す言の葉を、息を吐くと共に発する。


俺の口はそして、『そうです』と言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ