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《暁の七日》三日目 嫉妬の日
あくる朝。
久々の晴天に気分も揚がっていた。
ただ、とある騎士を除いて、だが。
インヴィ・グリンズは、この日なぜかムカムカしていた。
というのも、みなが意気揚々としているのが、どうも腹立たしいのである。
普段の彼ならそんなことはなく、むしろ人一倍よい気分になるはずなのだが。
皆、そんな彼の様子が心配でならなかった。
インヴィ自身もなぜ、こんなにも皆に腹が立つのか解らなかった。
ただただ、腹の中のヤカンが汽笛を鳴らすほどにフツフツと、怒りの熱湯を沸騰させていた。
なぜだ?
なぜだ?
なぜ、こんなにも腹が立つのか。
彼の不機嫌はやがて、彼の周りへと伝う。
それはジリジリと、紙に水が染み込む時と同じ伝いかただ。
ゆっくりと時間をかけて不機嫌が移っていく。
見かねた和沙は皆に、こんなことを言った。
「機嫌を良くするな。ウザいから」
そうすると皆がみな、一様に怒り始めた。
「なんだと?」
「黙ってりゃぁ何て口聞きやがる」
「しばいたろか?!」
数秒後、笑い声。
他の誰でもない、和沙のものだった。
「お前ら、元気じゃないかよ」
あ。
呆然として、皆が口を開けたまま、あたかもパソコンのフリーズのごとく静止した。
時間が止まったかのような沈黙。
どっと出る笑い声に、みながしてやられた、と顔を赤らめた。
ただ一人、インヴィだけを除いてだが。




