穢れたページ
聞こえるかな諸君。
何を隠そう俺が、この一連の騒動の引き金を引いた張本人。
人々は俺のことを《声》だなんて小洒落た名前で呼んだりもするが、ここにあえて本名を記しておこう。
題名は俺のことをバカにしているな。
ここが《穢れたページ》だとさ。ホントふざけてやがる。
話しを戻すが、俺の名前。
実は、■■■■■って言うんだよ。
・・・え?読めないだぁ?
何を言って・・・、あぁ。そうかそうか。
黒塗りなら読めないよなぁ。
ゴメンゴメン、俺の悪いクセでね。
ついつい誤魔化しちゃうっていうか、悪戯しちゃうっていうか。
俺は遊び半分でやってるんだけどな。
みんな、それがいやだったみたいで俺から離れていったんだ。
寂しかったなぁ・・・、何だって孤独だぜ?
誰も話を聞いてくれない。
相手にさえしてくれない。
常にあまりっこで、相手の都合のいいときだけ利用されるように生きてきた。
誰も、俺を人としてさえ見てくれなかった。
だから俺は決心した。
全員俺が支配して、今度は俺がアイツらをモノ扱いしてやろう、って。
人として扱われない屈辱を味わせてやろうって。
そうさ、このページだってそうだ。
俺のことをどうせ、筆者が描いた空想の産物、その一部のたった少しの、例外とでも思っているんだろう?
モノが何か言えるなら答えてみろよ。
・・・だろうな。紙なんてしゃべることはない。
そこに命は宿ってなどいない。
小説なのだとしたら、そこに記されているのは字と、ライトノベルなら数枚の挿し絵だけなのだ。
ならばこの紙に、俺をバカにしていいなにものもない。
俺をバカにするくらいなら、せいぜい次生まれる時は命をもったものになるがいいさ。
まぁ、例えそうしてもモノ扱いだったろうけどな。
復讐の準備はもう、完了したも同然だ。
あとは【玉座】に座るだけなのだから。
さあ、あと数分で世界全てが俺のモノになる。
王座から見たら人は本当にゴミのようなのか、俺自身のこの眼でしっかりと確かめてやろう。
・・・まぁ、ここは天空じゃあないけどな。
ましてや城でもないけれど。
だけど、真実を知った時の全能感は、酔いしれるほどのものだ。
世界全てを手中に納めた時の全能感は、一体どれほどのものなのだろうか。
背筋が思わず、壮大なスケールに震える。
カチャリ。
鍵は扉の穴にちょうどピッタリ合った。
・・・まさか中枢部へ繋がる大事な扉が、こんな殺風景なところにあるとは誰も思うまい。
ガコン。
鍵をひねり、そして扉を開く。
・・・さぁ、【玉座】までもう少しだ。




