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ヤツの脚はどんだけ健脚なのか、ある世界から壁を隔ててこちら側まで走破したヤツに聞いてみたい。
私を見るなりいきなり追いかけて来たあの鬼はどうやら、別の獲物を見つけて去っていったようだった。
しかし、どれだけ走ったのか。
無我夢中で走り、気が付けば今いるのは《アスガルド》である。
・・・?
そして、何か妙な胸の高鳴りを感じた。
・・・彼が近くに来ている・・・!!
興奮と動揺が同時に襲ってくる。
かなりの確率で逢える、というのと今この辺りにいたら鬼が、というのがぐちゃ混ぜの状態で心を埋めつくした。
彼はどこにいるのか?
彼は鬼に見つかってはいないか?
心配が募る。
居ても立ってもいられない。
先ほどより少し綻びた脚を叱咤し、再び走り出す。
「下がってッ!!」
桜海がハルトと玉藻前をかばうような配置になり、前に出た彼女はメタリックブルーの毒を鬼に吐き突けた。
あとから聞いたのだが、その毒は大型のドラゴンが即死する量の猛毒。
ヒトが喰らえばまず死んでしまうだろう。
が、しかし。
「ジゃまスる゛な゛ら、お゛ま゛エかラコろス!」
と叫びながら走ってきた鬼は、猛毒の雨を突っ切ってこちらに向かってきた。
まずい、本当に死ぬ・・・!!
・・・と、スッと何かがハルトと鬼の間に割って入った。
そこで意識が途絶えてしまった。




