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つかの間の安穏
あれから数日後、ハルト一行は《アスガルド》の奥地、とある丘の上にいた。
「わちきを飼うというなら、・・・」
・・・ポンッ。
すこし煙が起こったかと思うと、次の瞬間にはハルトの眼に映っていたのは。
「どうかの、これで少しは《ぺっと》っぽいじゃろ?」
小さな鼻、クリクリとした瞳、そしてフワフワの耳・・・。
リアル妖狐娘はリアル『幼』狐娘に変貌していたのだ。
「改めて、わちきは玉藻前というモンじゃ」
美人妖狐が狐耳ロリータに。
それは、ハルトのマニア精神をくすぐるには十分過ぎたのだろう。
興奮のあまり既に彼は卒倒し、桜海にひざ枕されている。
こんなんで、旅が続けられるのだろうか?
一方、《アルヴヘイム》を後にした《鬼》は、次なる標的を定めたようだった。
おもむろに歩みだし、ユラユラと上体を揺らしながら、まるで死体のようにさ迷っていた。
「・・・?」
何か、気配がする。
生きているそれではないように感じた鬼は、そちらへ向かって狂った動きで走る。
そこにいたのはまさに死体だった。
だが、自我をもって動いている。
墓から這い出した、あの女性の死体だ。
「つギはあ゛な゛タ?」




