藤の町から新規六名、異世界入りするそうです
マーゴたち四人は、イッテシマッタ男爵なる者の所属する謎の組織がいるかもしれないという廃病院へ来ていた。目撃情報は鏡花のものと、みゆきのものである。
悠だけ、慣れないのでかすかにする血の匂いや薬剤の匂いに鼻を覆った。
「わっ!こ、これ血だよね…」
意外にも、一番怯えた表情を見せていたのは悠だった。彼女は、前に鏡花と晶子が始末した犬の死骸を見て驚いたのである。
昔食堂だった広い部屋へ、廃墟の奥へと進み辿り着いたが一向に誰かが姿を現わす様子がない。晶子を連れ去った後、ここがアジトというわけでもないので要はないのだろうか。ただ、マーゴが今ここに存在することは注目されてもいいはずだ。
四人にとって組織の消息がつかめない今、接触の糸口はマーゴの存在のみである。しばらく部屋の周りを探検していると、人影が二つ四人も使用した入り口の方に見えた。
マーゴを襲った美希という少女と、傷ついた美希を救ったという緑である。
「あ。あれ、深谷さんと渋谷さん…」
まず、みゆきが二人の正体を認識した。悠も二人を知っている風で、その正体はどちらも同級生なのだと、マーゴと鏡花に説明する。
「また、学校での襲撃には飽き足らず来たんですの?今度はお仲間まで連れて。」
「違うわよ。あんたらを追ってきたんじゃない。男爵、見なかった?それか少年。」
どうやら美希たちも同じく組織への接触を図るためにやって来たらしい。これで美希が組織のため、マーゴを狙っていることが明らかになった。推測された通りだ。
「あなたたちこそ彼らの居場所を知りませんこと?」
「ここにいないはずは、ないんだけどね…メフィストフェレス!これ一体どういうこと?」
美希が呼びかけると白狐のメフィストフェレスが突然姿を現す。
「なにあれ、狐…?お化け!?」
悠が驚いた。
「メフィストフェレスはマーケットの支配人ですわ。お化けというより、神様に近いかしら…」
「いやあ、旦那様方はちょっとした、別の場所へ行ってしまわれたので次の満月まで会うことはできないんでさあ…ちっこい方の旦那様が厄介ものでしてな。あっしらのマーケットを潰そうと動いてらっしゃるんですわあ。そいや綺麗なお嬢様もいらっしゃいましたな。」
晶子のことだ。
「そこで、あっしから皆さんに提案なんですよ。もしも…皆さんが、厄介者三人組をちょちょいとやっつけてくれる約束をしてくれるのなら。向こうへ連れていけないこともないんです。王女様の銃で三人撃ちぬけば済む話ですよ。」
「少し、双方相談する時間を下さいな…」
少しメフィストフェレスから離れた場所で、六人の少女は固まった。
「こちらの目的はメフィストフェレスの言っていた御嬢さんという方の奪還です。悠と…みゆきは実質無能力者なので同伴しない方向で検討していますわ。そちらの、深谷緑さんは能力者ですわよね?そちらがメフィストフェレスの条件を飲むのであれば私、こちらの大倉鏡花さん、あなたたち二人で行くことになります。」
「あ!お嬢様方ー!お手伝いもらえるのであれば、能力のプレゼント付きですぜー!」
「あの地獄耳の狐…いいわよ。こっちの、緑は行くかわかんないけどあたしはマーケット潰されちゃ困るの。で、そっちの二人は行くの?能力のプレゼント付きだって言われてるけど。」
「私たちも行くよ。ここまで来ちゃったんだし、ね、みゆき?」
「うん…自分は前まで能力者だったらしいし、色々知ってみたいよ。」
マーゴたちの方ははすんなり、全員行くことが決まった。
「私も行きます!私、皆さんの傷癒せますから…どこへ飛ばされるか分からないんですし…」
「まあここに残っても手持ち無沙汰。能力なんて持ってしまったのだから、普通には暮らせませんわね。行ってみるまで危険度も何も分かりませんわ。とりあえず行ってみることで決まり、でよろしくて?」
全員、頷く。
「めふー!やっちゃってくださいなー!」
「お早い決断ですなー!今すぐにー!ちなみに契約違反者はこっちの世界には帰しませんぜー!」
こっちの世界、と聞いて驚いたのはマーゴだけでない。あ。とか、少し待ってくださいと言う前に全員姿を消した。




