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異世界王女がやってくる!  作者: 橘麒麟
Ready With a Gun(その力は誰がために)
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マーゴ・ジニエステの「裁きの銃」と田代みゆきの「Bird Land(鳥籠)」 (前編)

みゆきはマーゴの目の前から消え、マーゴが放課後の教室の中、一人取り残されることとなった。


彼女は自分の鞄を教卓の上に置くと、拳銃を取り出した。今も拳銃のトリガーは容易に引けた。カチッと音がなったのを機にマーゴは気を張っていなければならないと思い、用心して教室の扉を開けた。


恐ろしいほどマーゴのまわりは静かだった。


ゆっくりとみゆきを探し、その額に自分の拳銃を突き立てるためマーゴは足を進める。


初めての攻撃を受けたのは意外にすぐだった。

まだ学校の内部構造をよく理解していないマーゴは、避難経路を示す地図が生徒会室にはあるはずだと思い向かっていた時、廊下に設置された掃除用具箱から箒の束が飛んできた。

違う世界の話だったとはいえマーゴは革命運動を最も重要な立場で支えていた身だ、実戦経験も少なくない。それは容易にかわすことができた。

箒の束は校舎の壁に当たってカランコロンと音を立て、動かなくなった。


(さて…これは近場から発する超能力の類かしら。それともあらかじめ設定されていた罠?)


マーゴはまずあのマーケットで自分のようにただ凶器を渡されるものが全てだとは思っていなかったし、魔法や超能力の類がこの世に存在するかもしれないというのは前世の記憶から知っていた。

マーゴの住んでいた世界には魔法が存在したので、やはりこれも、突然ものが動き出すとかいう中で戦闘をするのも慣れだった。


まだなにか、同じ場所から飛んでくるかもしれないという危惧をマーゴはして用具箱の横に身を屈めた。この角度なら同じ場所からものが飛んでくることはない。


ここで一度マーゴは考えを巡らせた。


(私が、私の相手をする立場なら…


まず至近距離で決着のつけられる能力ならここまで沈黙を守ったりしない。

射程距離のある能力を持っていた場合、敵を探そうとする私のそばをついて回らなければならないけれど、それは危険すぎる。私に見つかって仕舞えば終わりだ、私の身体能力はみゆきさんにとって未知数で拳銃を持っているから。それにそれならば追撃可能、箒は動かなくなったりしない。

射程距離のない、あらかじめ設定をして攻撃する能力の場合。私なら相手の予想しない場所へ身を隠しただ、時を待つことを選ぶ。それもよく相手のことが見える場所や罠の発動の音が聞こえる場所に身を隠して。


ブラフはある程度存在するとしても、それがまず一般的な考えだ。まずありうる可能性を洗ってみなければならない。)


マーゴは立ち止まっていても、相手の我慢強さに挑戦をかけることは今できないと思い、またゆっくりと動き始めた。今劣勢にあるのはマーゴの方だ、だから相手が能動的に物体を動かし、裏をかいて仕掛けてくるとしたらマーゴが動き出した時しかない。そう考えて動くしかないと思った。


とりあえずマーゴの動きに合わせてみゆきが攻撃してくることはなかった。


マーゴはガラス張りの渡り廊下へ進む際、今自分の持っている疑問の可能性をある程度解いておかなければならないと思った。


相手からは不可視であるはずの校舎内の壁の側に身を隠して、徐々に徐々に進む。時々周りを見渡して相手が自分を隠れて見ることのできる場所がないか確認した。

自分を襲うものが能動か自動か検証するため、渡り廊下へはまず自分のつま先だけ入れることから始めた。


その時渡り廊下のガラスが全てわれた。


(まず物質の配置をするのは自動か…つま先をちょっと出しただけの私の姿を確認することは不可能だから。それとも能動と自動の同時?能動ならこの時点で私を攻撃してきてもいいはず…それなら…まさか!)


マーゴが渡り廊下の方から後ろを振り向いた時、みゆきが箒を持って飛びかかってきた。みゆきはフルスイングでマーゴの体めがけて箒を振った。


(防御しても後ろへ押される力は変わらない…!)


マーゴは箒による直接的ダメージは拳銃の体でなんとか防御し、受けなかったが渡り廊下の方へ押しやられた。その時、われたガラスの破片が全てマーゴの体めがけて飛んでくる。


渡り廊下、両側にあって開け放たれていた鉄の扉はきっちりと締められた。


(見られてたんじゃない…!自動的に発生する罠から私の位置を確認して、自ら攻撃、特定の場所へ押しやってまた能動的に攻撃…!)


しかしマーゴは向かおうとしてた扉、ガラスの破片、みゆき側の扉。という物体の動いた順序から能動の能力はみゆきの視認できるものしか動かせないということを瞬時に悟った。


マーゴはすぐに今まで行こうとしていた扉の方へ前転し、ガラスの破片を回避することができた。


ガラスの破片の動きには一点集中の攻撃でなければマーゴを仕留めることができない、というみゆきの焦りが見て取れた。それは全てマーゴの飛ばされた場所へとやってくるものだったのだ。


一度決定された物質の動きはみゆき側の扉がしまったことで変更はされない、みゆきは渡り廊下全体にばらばらにガラスの破片を動かすことをしなかったのだ。そうされていたとしたら、自分のダメージを最小限に抑えるためマーゴは吹き飛ばされた場所でじっと耐えたろう。


実戦経験とその場での判断力という点ではマーゴの方が格段に上だった。


マーゴはガラスの破片が掃除の後のように渡り廊下の真ん中へ集められた中、少し考えを整理する時間を与えられた。


まず、みゆきが先走って攻撃を仕掛けてきたことからマーゴには彼女が能動と自動の二つの能力を持っていることが理解された。それにみゆき自身がその能力を活かすためマーゴを動かさなければならないのだから、その能力を駆使したりブラフをかけたりして作り得る決定打は存在しない。


マーゴは理解した。この戦いはマーゴが学園内の地図を手に入れるのが先か、みゆきがそれを阻止しマーゴを仕留めるのが先か。そこにかかっていると。

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