2話 start
広い空間がそこにはある。
5500人は入れるらしいその講堂は1階席と2階席に分かれている。
この学校のなかで1番大きい施設、講堂だ。そして割としっかりした施設だ。この学校にしては。
毎朝ここにはくることになる。朝礼のために。
そして今日もいつものメンバーでここにきた。
食堂からここまで来るのに多少時間がかかったせいか、時間ぎりぎりにつきた。もう、ほとんどの生徒が席についている。僕たちも空いている席を探して座る。
今日は固まって空いている席があったのでみんなでそこに座った。と、同時に6時半の鐘が鳴った。
鐘の音を聞いて講堂の扉が閉まり始める。閉まりかけの扉から走っている生徒の姿が見えた。そして、扉がしまる。扉が閉まる瞬間、その生徒の見せた顔はまさに絶望だった。
今日は十数名が朝礼に間に合わなかったみたいだ。入学当初はもっといたが、だんだん減ってきた。彼らは、とりあえず「懲罰室」に連れていかれるのだろう。そこで何をされるのか、何をさせられるのか、何を言われるのかはわからない。
ただ、死にはしない。その場所から帰ってきた人がいるのでそれだけはわかる。ただ、その人たちは何があったのか口を開こうとしない。
扉が閉まる瞬間、絶望の顔を見せた彼は、一度、行ったことがあったのだろうか?
そんな思考を遮るように、朝礼は始まった。朝礼自体に大した意味はないと思う。校長が出てきて話をする。毎日、毎日同じ話を。内容は「規則正しく生活し、教師の言うことを聞く。」そんなことだ。
そんな内容のことを、30分間に延ばされ毎日聞かされる。ボーっとしていれば朝礼なんてすぐに終わる。
そして、それは今日もだ。もう15分以上経過している。でも、校長は飽きずに話を続けている。
ぼーっとしていると、入学式事件のことを思い出した。
僕たちがここに連れてこられた事件だ。
1600人。約1600人だ。僕たち1年生の数は。
その日、訳1600人は様々な方法でこの学校に送られた。電車。バス。飛行機。本当にいろいろだ。
そして、全員何処でのったのか記憶にない。全員がだ。
僕は電車だった。この学校には線路がある。校外とつながった線路が。ただ、電車はのこっていない。
その線路の上を僕たちは通ってきた。
遅くなりました