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1話 独裁国家のいつもの6人の朝

 聞きなれた学校のベルがなる。重みのある音が、体に響く。

 広大な敷地のこの学校の真ん中にある時計塔からなる朝5時をしらせる鐘だ。全寮制のこの学校はこの鐘から1日が始まる。早朝の暗い光が鉄格子をはめられた窓から射しこんでくる。壁には鉄格子が影になった部分を除きのそ光がうつる。気力、やる気を削り取るように。ここでの生活が始まって2週間、朝5時起きにも体がなれてしまったようだ。ギシギシときしむベットから体を起こし降りる。ぼろいベットだが寝心地は悪くない。

 起きると小さい部屋が見渡せる。いや、見渡すほどの広さはないのだが___。大きさは4畳よりちょっと大きいといったところだ。この部屋で一番場所をとっているのはベットだ、2段ベット。そう、ここの住人は僕だけじゃない。そんなことを考えていると上から健全にチャラチャラした若者の声が降りかかる。

「おきたか、榊?」

ルームメイトの佐久間凜斗さくまりんとだ。

返事を返す。

「うん。おはよう。早く準備をすませてしまおう。」

準備といっても制服に着替えるだけだ。朝の朝礼に向かうために。

「準備ができたみたいだし、そろそろ行こうか」

部屋をでるきっかけを僕が声をかけることで、作る。

ちなみにだがこの部屋には機械らしい機械がほとんどない。時計すらもない、PCやTV、スマホなんてもってのほかだ。それはもう、外との情報を断ち切るように。

部屋を出る。人の流れに乗って、その道をすすむ。大勢の囚人が並んで歩く海外の映画のシーンを思い出した。早く朝礼にいかなくてはいけない。朝礼は6時半だが、それまでに朝食もあるし、なによりこの学校は広い。朝礼のある講堂まではこの寮からかなりの距離がある。そのうえ5千人がぞろぞろ動くわけだからかなり混んで、さらに遅くなる。遅刻はできない。遅刻をすると罰が与えられる。その罰はそれはもう辛いらしい。

そんな話を思い出していると、講堂と寮の中間あたりにある施設、食堂についた。

この食堂もやはりデカい。まぁこの人数なのだから、当然と言ったら当然なのだが。

食事の時間はこの学校生活での数少ない自由時間だ。ここで、いつもあつまるメンバーがいる。

僕と凛斗とあと4名。

そのなかの3名はいつも先にきている。今日も例のように、いつも僕たちが食事をとっている食堂の一番奥から一つ手前の一番左の席にいた。

「榊くん、こっちよ」

声をかけてくれたのは、嶺石深怜奈みねいしみれな

黒髪ロングで黒縁メガネの少し…いや、かなりクールそうな女の子だ。

メニューがかなり質素なバイキングスタイルの朝食なので自分の分をとってから3人の場所へむかう。

「みねいし~。今日もクールだなぁw胸もwww」

凛斗くんが嶺石さんをからかう。

嶺石さんフォークを子供のようにグーで握りながらが凜斗君を睨み付けて

「今日のメインディッシュはトマトかしら?」

という。どう考えても殺意のこもった発言だ。

これが毎回の流れである。嶺石さんのセリフだけは毎回変わるから、まぁわりと楽しみだったりする。

席につくと、

「今日のれいちゃんのセリフはいつもよりバイオレンスだったね~w、しかも遠回しにバイオレンス。いいね~。」

れいちゃんとは嶺石さんのことで、解説している少女、幼女?いやギリギリ少女が雪乃龍ゆきのりゅうだ。

見た目小6か中1だが、りっぱな高校生である。らしい。

髪型はいつもとかわらない。すこし赤の入った茶髪で、ショートカット。女の子の髪型っていうのがよくわからないけどツインテールと言っていいのかな?

小さなツインテールがついている。真黒なリボンの髪飾りといっしょに。

「りくっちとりんと、おっは~」

龍の挨拶を追うようにもう一人の挨拶が聞こえた。

「うん。りく君と凜斗君おはよう」

2人に挨拶を返す。

「おはよう」

この胸に目が行ってしまいそうになり少女が山谷めぐむやまたにめぐむだ。

綺麗な金髪のショート、よりちょっと長い髪。サイドに三つ編みが一つついている。

彼女曰くこの三つ編みがトレードマークらしい。

この3人の少女がいつも最初にここにいる3人。この3人はルームメイトらしい。

この学校、男子は2人、女子は3人で1つの部屋だ。

だけど、例外がある。

僕たち5人で食事をとっていると、その例外が朝食をもって現れた。

いつも通り、遅れて。

一宮式いちみやしきこの少年だ。彼は1人部屋なのだ、理由はみんななんとなく察している。ちょっと怖いかんじの美形のイケメン。

口と態度はちょっと悪い。でも、僕たちとは仲良くしてくれる。理由は入学式事件だろう。入学式にあったできごと。その始まりの事件を1年生は入学式事件と言っている。女の子3人ともこの入学式事件で知り合った。

何にしろこれでいつもの6人があつまった。

「みんなあつまってるみたいだね~」

式くんがいう。

「おうよ!遅れてくるのはいつもしきだけだぜ~」

凛斗くんが返す。さらに式君が続ける。

「まぁまぁw俺はみんなより食事が早いしね。」

それは事実で、いつも、先に食べ始める僕たちと同時に式君が食べ終わる。

「早食いは体に良くないぞ」

と嶺石さんが忠告。それに山谷さんが

「うん。うん。」

と、相槌を打つ。

「気をつけるよ~~」

と反省する様子もなく式君は微笑みながら答える。

こんな会話や、この学校についての噂、近況などを話していると楽しい朝食の時間は終わってしまった。

食べ終えて残った食器を片付けて6人で講堂へと向かった。




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