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半人半魔  作者: 上向龍翔
9/11

犠牲者

登校する美桜と重吾が会話をする。


「鋭剣…今日も警察署にいるって。さっき連絡が来た」


美桜がそう言うと重吾はそうかと言った。


校内はざわついていた。


鋭剣がいないと悪魔はどうするのか。


自分達は殺されるのか。


今日は帰ろうか。


などの会話で持ちきりだった。


〜警察署〜


鋭剣は落ち着かない様子でいた。


悪魔はいつ来るか分からない。


もし学校に現れればみんなが危ない。


もしここに現れれば自分はみんなのそばに居てはいけない。


そんな事を考えていると部屋の外が騒がしくなった。


鋭剣は何があったか聞くが返事は返ってこない。


すると会話が聞こえてきた。


その会話によると…警察署に悪魔が現れたようだ。


鋭剣は今すぐここから出れるように説得するが足音は遠のき、人の気配は無くなった。


「だったら自力で出るぞ。あとから弁償とかうるさい事を言うなよ」


鋭剣は魔力を使い、扉を壊した。


そしてまた頭に悪魔の視界が浮かんできた。


鋭剣はこの時に初めて気付いた。


悪魔が現れた時に悪魔の視界が浮かぶのでは無く、悪魔が現れてそれなりの距離まで悪魔が来ると視界が浮かんでくるのだと。


悪魔の視界を見た鋭剣は驚愕し歩を止めてしまう。


悪魔の視界が写したのは警官が数十人倒れている光景だった。


一度は歩を止めるもすぐ走り出した。


悪魔の侵略は警察署の中まで来ていた。


警官が銃を構え発砲するも悪魔には効いてはいなかった。


鋭剣は警官の前に立った。


「俺の刀を持ってこい!今すぐに!」


鋭剣は叫んだが警官は恐怖で体が動かなかった。


すると一人の警官が自分が持ってくると言った。


「あんたは…本田道隆さんだったな。早く持ってきてくれ。持ってくるまでここは俺が食い止める!」


鋭剣はそう言うと魔力を使い戦闘を開始した。


殴る蹴るなどの攻撃をするが刀ほどの決定打が生まれず悪魔を倒す事が出来ずにいた。


すると別の場所から悪魔が二体現れた。


鋭剣はすぐに窮地に追いやられるが、すぐさま反撃を開始する。


「俺達柳生家は代々剣術を教えて来た家系…だけどな!剣術だけじゃねぇ!刀が無い時の為に武術も習っている!」


鋭剣は悪魔三体の攻撃を躱しては反撃を加え、後ろにいる警官達には近づけさせなかった。


すると本田が戻って来た。


「鋭剣君!持ってきたぞ!」


すると悪魔は三体同時で攻撃を仕掛けてきた。


鋭剣はなんとか食い止めるが一体を後ろに逃してしまう。


後ろに視線を向けると悪魔は本田を襲っていた。


本田は何も出来ずに悪魔に殺られてしまった。


鋭剣はすぐに本田のもとへ向かう。


「すまないな。私のミスだ。鋭剣君を信じてあげることが出来ていればこんなに犠牲者は出なかったのに…」


鋭剣は喋るな、すぐ終わらせて病院に連れて行くからと言ったが本田は話しを続ける。


「私には大事な人がいる…嫁と娘だ…鋭剣君頼みを聞いてくれ。君の力で悪魔から私の家族を…人間を…守ってくれ」


本田はそう言うと力尽きた。


鋭剣はもう動かない本田にこう言った。


「任せろ」


鋭剣は刀を手にし、悪魔を一体ずつ倒していった。


鋭剣は警察署から立ち去ろうとしたがある人物が鋭剣を止めた。


「私はここの署長の西門陽平(にしかどようへい)だ。今回の事は公にする訳にはいかない。なので君は元の生活に戻りなさい。君が悪魔をおびき寄せていようが関係ない。君の居場所に戻りなさい」


鋭剣はその言葉よりも怒りの方が勝っていた。


「お前…ふざけんな!こんな時にお前は何をしていた!本田さんが死んだんだぞ!」


西門はすまないと言った。


鋭剣は冷静になり、自分を攻めた。


「すまない。悪いのは俺だ。俺が力不足だから犠牲者が出てしまった」


鋭剣がそう言うと西門はある提案をしてきた。


「君は人を救う気があるか?あるのなら悪魔退治以外にも君に仕事を頼みたい。悪魔が人間を襲う以外にも人間が人間を襲う事の方が多い。だから犠牲者が出そうな事件が起きた時には是非とも君の力を借りたい」


鋭剣は承諾した。


鋭剣の誓いはみんなを守る事。


人間を襲うのは悪魔だけでは無い。


少しでも多くの人間を救える道があるのならやりたいと思った。


「ありがとう。感謝する」


鋭剣はもう誰も犠牲にしたくないと改めて思った。


〜今回の死傷者〜


死者一名。


重軽傷者二十七名。


「本田さん…あなたとの約束は必ず守ります。この世から全ての悪魔を俺が殺します」


鋭剣は家に帰宅した。


家には美桜と重吾が居た。


鋭剣は事情を話した。


そして警察署長には元の生活に戻れと言われたが鋭剣が悪魔をおびき寄せている可能性が高くなったのでここから離れると言った…が。


「勝手な事を言わないで!鋭剣は私にとっての最後の家族なんだよ?お願いだから私を一人にしないで…」


美桜は泣き始めた。


「鋭剣!お前は本当にそれでいいのか?美桜ちゃんを悲しませていいのか?」


重吾が珍しくいい事を言う。


「そんな訳ねぇだろ!俺だってここに居たい…居たいに決まってるだろ!」


鋭剣は自分の気持ちを言った。


「だったらここに居ろよ!悪魔がなんだよ。悪魔が居るだけでお前の気持ちが通らない事なんてねぇよ!お前が悪魔おびき寄せてるとしても美桜ちゃんも俺もお前から離れないからよ!」


鋭剣は………こくりと頷いた。


鋭剣はまた一つ誓いをたてた。


だけどこれは自分の為の誓い。


美桜と重吾から離れる事がないようにもう犠牲者を出さない…と。

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