鋭剣の誓い
〜翌日〜
学校は当たり前のように騒がしかった。
鋭剣は一人一人に説明をするのは面倒くさいと思い、先生に全校集会を開いて欲しいと頼んだ。
先生達も説明が欲しいと思っており、快く承諾を得ることが出来た。
〜体育館〜
「え〜静かに!今から柳生鋭剣君から昨日の説明をして頂きます。」
校長先生が手招きで鋭剣を呼び、鋭剣は段上へと上がるがその瞬間、生徒達の罵声が体育館に響く。
それもそうだ。
みんなからしたらいきなり訳の分からない化け物が現れさらに六人の重傷者が出たのだから。
鋭剣は大きく息を吸ってこう言った。
「一回黙れ」
この一言で体育館の生徒達は静まり、鋭剣は話しを進めた。
昨日現れた化け物の事を鋭剣は"悪魔"と呼んでいる事。
そしてこの悪魔が永山村大量殺人失踪事件の犯人だと伝えると体育館にいる人全員がざわついた。
「そしてあの事件の生き残りの二人が俺と…俺と同じ二年二組の上村美桜だ」
体育館のざわつきは一向に止まないが鋭剣は話しを続ける。
「あと俺と美桜の記憶についてだが…」
鋭剣はあの日の悪魔が去る時、父の最後の言葉を聞いた所から前の記憶は全て失っている事。
美桜はその日の記憶だけを失っていて結局二人共悪魔がどこから現れたのかは分からない事。
そして鋭剣が最後にこれだけは言わせて欲しいと言うと体育館に居る全員の視線は鋭剣に集まった。
「俺が変身したあの姿…あれについては俺にもまだ分からない。けど俺は悪魔と戦える力を手に入れた!だからっ!」
鋭剣は発言の途中で苦しそうに頭を抱えた。
(また…また悪魔の視界が見える。ここは体育館だ!)
鋭剣は苦しみながらも全員に声をかける。
「みんな!一年生側の壁に避難しろ!悪魔が来る!」
その一言で全員がすぐに行動に移す。
そして鋭剣は刀を手に持った。
悪魔は体育館の二階の窓を割って侵入してきたが、鋭剣がすぐに侵入してきた悪魔を食い止める。
すると鋭剣の体から黒い蒸気…いや魔力が溢れて鋭剣の顔、腕等に黒色の模様が現れた。
そこから鋭剣の動きはもう人間の動きでは無く昨日は歯が立たなかった悪魔相手に猛烈な攻撃を仕掛ける。
肝心なのは攻撃が通じているのか?だが攻撃は通じていた。
悪魔は何も出来ずただ斬られ続け血が飛び散り、さらには両腕も切断された。
鋭剣は自分が変身した悪魔が心臓付近を貫いて悪魔を倒していた事を思い出し、心臓付近に突きを行った。
「さっさと死ねよクソ野郎」
鋭剣がそう言い放つと悪魔は灰のように消え去った。
鋭剣は話しが途中だった事を思い出し、再び話しを始めた。
「今みんなが見たように俺には悪魔を倒せる力がある。俺の目的は悪魔への復讐だ。けどもう大事な人達が死ぬのも見たくない。だから今ここで誓う!俺は悪魔に復讐をする。だがそれ以上の気持ちでここに居るみんなを守る!それが俺の誓いだ!」
一度は静まるもすぐに拍手が鳴り歓声が体育館に響いた。
"みんなを守る"その誓いを胸に鋭剣の戦いが今始まる。