夢の中で
意識が朦朧としている鋭剣。
周りには何も無く、ただの暗闇。
ここがどこなのか全くわからず混乱する。
すると何者かの声が聞こえたと同時に一体の悪魔が現れた。
「やあ鋭剣」
いきなり現れた悪魔に殺意を向ける鋭剣。
そんな怖い顔するなよ、ここはお前の夢の中だよと説明する悪魔。
「お前…何者だ?」
「悪魔だよ。それとお前を助けた者です」
助けた?俺を?それより悪魔が人間を助けるとは…と困惑する鋭剣。
それにこの悪魔の姿は今回の奴やあの日の五体の悪魔と何かが違うと思う鋭剣。
「お前の考えてる事はわかるよ。なぜ助けたかは俺はお前が大事だから。何か違うと感じるのは俺が上位の悪魔だから」
そう言うと悪魔から六枚の羽根がはえた。
そしてこの悪魔の話しは続く。
これからは悪魔が頻繁に現れる事。
鋭剣が悪魔の力を意識は無くとも自分の体で体験したため、少しの魔力が使える様になった事。
そして…いつかは自分と向き合わなければいけないと言う事…。
「お前は何者なんだ?そして…俺は…俺は何者だ!」
「また話すよ。とりあえず俺はまた眠る。また会う時まで、ごきげんよう」
ふざけるなと言葉を飛ばす鋭剣に悪魔がこう言った。
「お前には戻る場所があるだろ?早く戻ってお前を心配している者達を安心させてやれ」
その言葉で鋭剣は冷静さを取り戻した。
「そうだな。でも次は教えろよ」
はいはいと答える悪魔。
そして鋭剣の意識が遠のき、また目覚めた。
目覚めて見た景色は毎日見ている景色だった。
「家か」
ぽつりと嘆くと側で眠っていた美桜が目を覚ます。
「鋭剣?はっ、鋭剣!」
美桜は鋭剣に抱きついた。
しかし鋭剣は怪我をしているので痛みが走ったが、自分が心配を掛けさせたので痛みに耐えた。
「心配掛けちまってごめんな」
「ううん。鋭剣が無事ならそれでいい」
するとリビングの方からこっちに向かう足音が聞こえてきた。
「鋭剣!起きたか?って何そのご褒美!くっそー羨ましい!」
重吾も家に居た様だ。
それにしてもご褒美とは何の事だ?と疑問に思う鋭剣に重吾は帰る!また明日な!と伝えた。
美桜に聞くと、倒れた俺を家まで運んでくれたのは重吾みたいだ。
「感謝しねぇとな」
夢で見た悪魔は何者なのか?
そして自分は何者なのか?
今は何もわからない鋭剣だが、一つだけ胸に誓った。
"みんなは俺が守る"と。