悪魔襲来
ついに現れた悪魔。
その側には倒れている人。
しかし鋭剣に動揺は無い。
あの日はみんな死んでいた。
それに比べると軽いものだった。
それより鋭剣が向ける視線の先には。
「悪魔!」
鋭剣は袋に入った長いものを袋から出す。
それは鞘に納まった刀だった。
「これは俺達、柳生家の家宝。そして柳生家は代々剣術を教えて来た家。」
鋭剣は鞘から刀を抜く。
「もちろん俺も剣術を教わった。この刀と剣術でお前をぶっ殺す!」
鋭剣は悪魔へと攻撃を始める。
物凄い攻撃を仕掛けるが、悪魔はこれを全て防ぐ。
「ならこれでどうだ!」
鋭剣は両手で刀を握り、全力の一撃をぶつける。
その一撃は強力で、悪魔は自分で壊した壁から外へと飛ばされる。
鋭剣もすぐ追うが、ここは二階。
しかし何も気にせず飛び降りる。
悪魔の体を確認した鋭剣だったが、動揺してしまう。
(傷一つねぇ)
鋭剣は悪魔を殺せるのか?そう思った。
すると悪魔が急に…。
「キミイイ匂イガスル、ナツカシイ匂イ…ボクキミヲ食ベル」
そう言い放つと悪魔は鋭剣の腹を殴り、鋭剣は飛ばされて校舎の壁に打ち付けられる。
「グハッ!」
その一撃はかなりの衝撃で鋭剣の体は動かなくなってしまう。
(刀は?あっ殴られた時に放してしまったのか、意識が遠のく…)
悪魔は鋭剣へと歩を進める。
鋭剣の心臓の動きも段々弱くなっていく。
(これが人間と悪魔の力の差か…俺の六年は無駄だったのか…こんな事ならもっと周りの為に生きたかっ…)
鋭剣は倒れた。
もう動く気配も無い。
「鋭…剣?嫌だ、起きてよ鋭剣!」
美桜は叫び、鋭剣の元へ向かおうとするが、それを重吾が止める。
美桜は懸命に重吾を振り払おうとする。
「俺達が行っても無駄だ!本当は嫌だけど今は逃げて生きるんだ!」
美桜は泣き崩れる。
美桜にとっての鋭剣は村の生き残り。
そして家族。
永山村の方針はみんなが家族で争う事の無い村にしようと言う方針だった。
だから美桜にとっての鋭剣は血の繋がりは無くても家族なのだ。
「嫌だ…嫌だよ…鋭剣!」
ドクン!
みんなが聞こえるほど大きな心臓の音が聞こえた。
美桜と重吾はすぐ鋭剣の方を見る。
そこでは鋭剣が立っていた…が、何か黒色の蒸気?みたいな物が溢れていた。
「キミナンデ"魔力"がアフレテルノ?魔力はアクマノチカラナノニ」
悪魔が言うには蒸気みたいな物は"魔力"と言う悪魔の力らしい。
やがてその魔力は鋭剣の体を包む。
その魔力が鋭剣の体を離れた時、鋭剣はまるで悪魔と同じような姿をしていた。
「アナタハ!ナ、ナゼコンナトコロニ?」
悪魔は鋭剣の姿に動揺している。
「アナタハワレラアクマノ…ワレラアクマノ…!」
何かを言いかけた悪魔に鋭剣?は悪魔の心臓付近を腕で貫く。
そして悪魔は灰の様に散り、塊みたいな物がどこかへと飛んで行った。
そして鋭剣?はその場に倒れ、悪魔の姿も徐々に解除されていった。
美桜はすぐ鋭剣の場所へと急ぐ。
そして美桜は鋭剣を抱え心臓に耳を当てる。
トクン…トクン…トクン…
鋭剣の心臓は動いていた。
美桜にとっては今起きた事よりも、鋭剣が生きている事の方が大事だった。
美桜はまた泣き出す。
鋭剣は一体何者なのか?
それを知るのはまだ先の話し。