鋭剣の親友
「あっ!」
彼は走る。
誰かを見つけ走る。
あと少し、あと少しだ。
「え~いけん!」
彼は後ろから鋭剣に飛びかかったが、鋭剣が瞬時に反応をし、顔面に一撃を浴びせた。
「毎朝毎朝めんどくさいぞ、重吾」
ごめんごめんと謝る彼は平原重吾。
鋭剣とは中学生からの親友だ。
「美桜ちゃん!おはようっす!」
「おはよう平原君♪」
重吾は凄く嬉しそうな顔をしている。
すると周りから今日のニュース見た?
あの事件から六年たったんだね。
本当に怖いわー。
と学生達が話している。
「鋭剣大丈夫か?気にすんなよ」
重吾には全てを話している。
「俺は大丈夫だけど、こいつが」
鋭剣の横ではまた震えている美桜の姿が。
美桜にはあの日の記憶は無い。
でも記憶が無くても村が崩壊、村の住人が消えた。
その事だけはあの日の記憶が無くても知ることになる。
あの日の話しを思い出す度、美桜はこうなる。
「美桜ちゃん!怖いのなら俺の胸に飛び込んで来てもいいんだよ?」
重吾の言葉は届いたのか届かなかったのかわからないが美桜は鋭剣の手を握った。
「くっ!だがこの距離感も愛の試練だ!この試練を乗り越えた先には……ってちょっと待ってよ~」
重吾はいつもこんな感じ。
鋭剣は思う。
俺の周りにはろくな奴がいないと。
そして遅刻すること無く学校に着いた。
神條高校。
彼らが通う高校だ。
時間は経ち、昼休み。
「相っ変わらず美桜ちゃんの作る弁当は美味そうだ!鋭剣の所から一口頂き!」
本当は自分が作っている。
これだけは言えないと思う鋭剣。
「ありがとう平原君♪」
そしてなんで美桜も嘘をつく?と悩む鋭剣。
するといきなり鋭剣が頭を押さえ苦しそうな表情になった。
「おい!どうした鋭剣!?」
「鋭剣大丈夫!?」
鋭剣の頭には何かが浮かんだ。
それは誰かの視界みたいだった。
(なんだこれ?ここはどこだ?)
そして一つの建物が見えてきた。
その建物は見慣れた建物だった。
(ここは…学校だ!ここじゃねぇか!)
その視界は学校に近づく。
近づきに近づいて壁に…。
ドーン!!!
凄い音が学校内に鳴り響く。
鋭剣は袋に入った長いものを手に持ち、自分が見た誰かの視界の場所へと急ぐ。
そしてその場所に着くがそこには5.6人が倒れていた。
そこで立つ人間…いや人間に似た体の形をした化け物…。
鋭剣は一瞬でその化け物が何かわかった。
倒れている人を気にせず、その化け物に向かって行く。
「六年待った…お前らに復讐する事だけを考えてこの六年を生きて来た…」
そう、その化け物の正体は…。
「ぶっ殺してやる!"悪魔"!」