異端三國志 第36回から第40回
36.伏竜の謎
ゼンフク ソウジン
単福「今、2将を討ち取りましたが、これを聞けば曹仁は全軍で攻めて来るでしょ
う。」
リュウビ
劉備「いかなる敵が来ても君と私が居れば必勝であろうが、どうして応戦すべきだ
ろうか?」
ハンジョウ
単福「曹仁が全軍で攻めて来るとなれば、樊城はがらあきです。楽に奪えるでしょ
う。」
劉備「してどうするのだ?」
単福「かよう、かよう。」
劉備「かようとは何と言う意味か?」
単福「時期に解りますゆえ。」
そこに、曹仁が攻めて来たとの報があった。両人対陣し、李典と趙雲が打ち合う。
リテン
李典「さすが、かなわぬ。」
チョウウン
趙雲「李典待てい。」
趙雲は追ったが、弓矢が飛んで来たので退いた。
李典「趙雲は手ごわいです。樊城に引きましょう。」
曹仁「この後に及んでそんな事を申すのか!気合の問題だ!討ち首にしろ!」
諸将「まあ、ここはひとつ穏便に。」
曹仁「今回は許してやる。君では、士気が落ちるゆえ私が前にでよう。
そこで、一計を案じよう。」
李典「一計と申しますと?」
曹仁「『週刊兵法マガジン』の156Pに載っている無敵の陣形を使うのだ。」
李典「『週刊兵法マガジン』の156Pと言いますと、梟雄伝説KAKERUですか?
あの話のアイデアってみんなぱくりじゃないですか?オリジナルを知ってい
る者がいれば容易に破られてしまうのでは?」
曹仁「『敗将多くを語らず。』だまって聞けばよい。それに劉備陣営に軍師などい
なかったであろう。」
李典「『建安12年版群雄白書』にはそう書かれていますが・・・。」
曹仁「なら心配あるまい。」
翌日、曹仁は一つの陣形をあんだ。
単福「ははは、『生は後でひどい目に会う』ぞ曹仁。」
劉備「軍師殿もその様な下ネタ使いを・・・。」
単福「『生兵法は怪我の元』と申したかったまでです。」
劉備「と申しますと?」
単福「殿はこの陣形をご存じですか?」
劉備「どこかで聞いた事があるような・・・・・。
う~、ここまででかかっているのだが・・・。」
ハチモンキンサ
単福「『八門金鎖の陣』と申します。」
劉備「そう、そうもうしたな。」
単福「『八門金鎖の陣』の八門とは、休、生、傷、杜、景、死、驚、開です。
生、景、開から攻めれば大丈夫ですが、休、驚、傷から攻めれば大被害を受
け、杜、死から攻めると全滅すると言うものです。」
劉備「そう、それも知っているぞ。」
単福「しかし、あの陣形中央に弱点があります。東南の生門から攻めて西の景門か
ら抜ければ、簡単に崩せるでしょう。」
劉備「そう、そうだな。」
単福「素人の浅はかさです。八門金鎖の陣ぐらいは軍師コースの授業を受けたもの
なら誰でも知っているものです。それをアレンジする事ぐらいできなければ、
一流軍師とは言えないのです。」
劉備「そうなのか?」
単福「そうなのです。」
そこで、趙雲に命じて、東南から西へ抜けさせると、陣は崩れかけた。それを見た
趙雲は、西から東南へ暴れまわったので、全軍総崩れとなって曹仁は退却した。
曹仁「私の自慢の八門金鎖が破られるとは、劉備には軍師がついたに違いない。」
李典「私もそう見まする。それより城の方が心配です。」
曹仁「よし、夜襲を仕掛けよう。」
李典「劉備も備えをしているに違いありません。」
曹仁「李典いくぞ。」
李典「聞いてくれない(;_;)」
劉備の幕内。
単福「曹仁の事です、きっと夜襲を仕掛けて来るでしょう。」
劉備「何故解るのですか?」
単福「曹仁は勇猛で、負けずぎらいと言う長所がありますが、それはあきらめが悪
いと言う短所でもあるのです。」
曹仁の軍はゆっくりと劉備の陣に近づいたが、あと少しと言うところで突然劉備
の陣から火の手があがった。
曹仁「気付かれたか?」
李典「だから言ったのに(;_;)」
そこに趙雲の軍が攻め寄せて、味方は大混乱となり、曹仁は川へ向かって逃げて
行く。川を渡ろうとすると、軍勢がひとつ。張飛であった。張飛は渡河せんとする
曹仁の兵を散々に打ち破り、曹仁も李典に助けられ、なんとか船で向こう岸まで逃
げ切った。
ハン
樊城に行きつくと、上から声がする。
関羽「お待ちしておりましたぞ、曹仁殿。」
曹仁「もういや、こんなの。」
曹仁は関羽に追い立てられてほうほうのていで許昌に逃げ帰った。
劉備は樊城に入り、住民を安堵させた。県令の劉泌は劉備を歓待した。
劉備「この子は?」
リュウヒ コウホウ
劉泌「寇封と申しまして、武芸に優れていますが、両親を失い、私が母方の兄弟で
すので、面倒を見ております。」
劉備「気に言ったから養子に戴きたい。」
劉泌は喜んで承諾し、寇封は劉備の養子となり、劉封と呼ばれた。
関羽「兄上には実子がおるではありませぬか?年長の養子は後の禍となるのでは?」
劉備「私が父ならば、彼は子である。私が父として振舞えば、いかなものも子とし
て忠孝を守るはずだ。」
こうして、樊城を趙雲に守らせると、単福と劉備らは新野に引き返した。
曹仁「私が不明なあまり、関羽を行けどれぬばかりか、樊城まで奪われる始末(;_;)」
曹操「まあ、良い。戦の勝ち負けは天の運だ。いつも勝てるとは限るまい。その劉
備に計略を教えたものは誰だ?」
李典「穎上の単福とか申すものの仕業とか?」
曹操「この者を誰か知らぬか?」
ジュンユウ
荀攸「今年の『賢人白書』にも載っていない名前です。」
テイイク
程いく「呵、呵、呵。それがしは知っております。単福とは仮の名。若年より剣術
を好んでいましたが、中平年間に人の為に仇を討った事がありまして、髪を
ふりかざして、狂人のふりをしたが捕まり、役人に捕まりました。鞭打ち、
蝋燭をたらしても素性を吐かず、周りの者も彼の為を思って黙っていたので
解らずじまい。そのうち仲間が助け出して、他国へ逃げたのです。」
曹操「そのもの鞭や蝋燭が好きなのか?」
程いく「その後、心を入れ変えて学を志して、司馬徽とも交友があります。すなわ
ち穎川のうまれの徐庶・元直とは彼の事です。」
曹操「その才能はどうか?」
程いく「それがしに十倍します。」
曹操「劉備に惜しい男をつけたものだ。あの悪運に軍師をつけたら鬼に電撃では無
いか。」
程いく「金棒。」
曹操「そうとも言うな。
程いく「丞相がお目にかけて、この元へ呼べばよろしいのです。」
曹操「そんなことができるのか?」
程いく「徐庶には母がおります。徐庶は親孝行者ですが、他に既に養う家族がおり
ませぬ。母親を騙して許昌に連れてきて、徐庶を呼ばせる手紙をかかせれば
上々かと思います。」
曹操「さすがは仲徳。悪知恵が働くの。」
程いく「いえいえ、丞相様程では。」
曹操「お互い悪ですなぁ。」
程いく「は、は、は、は、は、は・・・。」
早速、徐庶の母を連れて来て言うには、
曹操「今、ご子息の徐庶は劉備に仕えておりますが、あれは泥の中に玉を捨ててい
る様な者です。才能が地に埋もれる。それを思うと、私の心は張り裂けんばか
りです。手紙を書いて、ご子息を都に呼びなさい。きっと手厚く扱いますぞ。」
徐庶の母「劉備はどのような者ですか?」
曹操「あれはいやしい田舎者で皇族とは名乗っている者の妖しく。信義にかけ、人
の恋路を邪魔する小人ですぞ。」
徐庶の母「何を嘘を申しますか?中山靖王の玄孫で、仁徳立派な方です。それを逆
賊が何をおっしゃる。その様な方に息子を推薦したとあったら末代までの
恥となりましょうぞ。」
曹操「見せしめに斬ってしまえ。」
程いく「それはいけませぬ。あのようにわざわざ人を怒らせる様な暴言を放つのは
殺されたいからです。もし、母親が丞相の手で殺されたと知れば徐庶は、復
讐せんと一心に劉備に使えるでしょうし、丞相は忠義の心が無いと世間の笑
い者になりましょう。それよりは生かしておいて、徐庶の 心を惑わせまし
ょう。それがしに策があります。」
程いくは、徐庶の母を離れ屋敷に住まわせ、徐庶と義兄弟だと偽り、贈りものを
送ったりしていた。そのうち、返事などを返して来たので、それをまねて偽手紙を
作り上げ、単福の元に送った。
使い「私は、卑しい身分の者ですが、母上がこれを届けよと申しましたのでお届け
に参りました。」
単福「『弟が亡くなって、今は寄るべき所もありませぬが、許昌に用が有って行っ
た所、そなたが丞相に歯向かった罪で縄目に会い、そなたが降参すれば、許し
てくださるとの事です。』
・・・・(;_;)」
劉備「どうしたのかな?」
ジョショ エイセン リュウケイショウ
徐庶「それがし、本当は穎川の徐庶と申すものです。劉景升に会いに行き議論しま
したが使える器に有らず、水鏡先生に話したところ、何故劉豫州殿に使えぬの
か?としかられ、誠にそうであると思いました。しかし、近ごろ母上が曹操に
捕らえられ、直筆の筆で来ないと殺されると申します。こうなっては、とても
主君に使える事もかないませぬ(;_;)」
劉備「親子の愛は真の恩愛。元直殿お気にめさめるな。行って母上を喜ばせてあげ
なさい。」
徐庶「誠にありがとうございます。」
劉備「私は気にしてないぞ。今宵は酒宴を開いて語り明かそうぞ。」
ソンケン
孫乾「元直は、味方の事情に通じているゆえ、曹操の元へやると大変危のうござい
ます。それより、留めおいて、曹操に母親を殺させれば、仇を討たんと必死に
なって働くでしょう。」
劉備「いくらなんでも、その様な不仁不義の行いは私にはできない。」
皆それを聞いて感嘆した。
その夜酒宴を開いたが、
徐庶「老母が捕われていると聞くと、とても喉を通りませぬ。」
劉備「決して気にしていないが、元直殿がいかれると聞くと、どんな珍味も味が
無い様に思われる。」
二人は夜明けまで語り明かしたが、夜が開け旅立つ事になった。
劉備「君がいなくなる事は気にしておらぬが、良い君主を見つけて功名を立てら
れる事を望んでますぞ。」
徐庶「無知浅学の私を取り立ててくれた恩は忘れません。運つた無く老母の為、
曹操に使えるはめになろうとも、決して人の為に計略を立てる事は無いでし
ょう。」
劉備「私の見るに、君より秀でた人物はおるまい。」
徐庶「この世にはそれがしなどより千倍する様な人物がまだまだおります。」
涙ながらにふたりは別れた。
劉備「惜しい人材を無くしてしまった(;_;)
いや気にすまい、気にすまい、気にすまい・・・・。」
徐庶「皇叔殿」
劉備「わっ、びっくりした(゜o゜)
先生は戻られたのか\(^_^)/」
徐庶「それがし、母の事に気を取られ肝心な事を話し忘れておりました。
この辺に大賢人がおります。襄陽からさほど離れていない隆中と申す所にそ
の人物はおります。」
劉備「それならば、連れて来てはくれぬか?」
徐庶「それがしなどとは格が違いますゆえ、ご自分で会われた方が良いでしょう。」
劉備「そんなにすごいのか?」
タイコウボウ チョウシボウ
徐庶「周の文王が太公望を得、漢の高祖が張子房を得たぐらいすごいです。」
注:書くとややこしくなるから略。
太公望は釣り師ではありませんので。(中国で太公望の魚釣りは、下手な横好
きの意味になるらしい。)太公望(呂尚、姜子牙)は太公(先王=周の武王)が
待ち望んでいた人物と言う意味。
張子房(張良)は、漢の三大功臣のひとり。
劉備「週末の新聞にタイコモチが乗り、官能雑誌に超肥満が出るぐらいひどいのか?」
徐庶「違います・・・。」
劉備「しかし、その比喩は日本人には少しわかりにくいのでは?。」
徐庶「それならば、玄徳が孔明を得たぐらいすごいと言うのはどうでしょうか?」
劉備「それなら良く解る(^_^)v」
徐庶「(いかん、これはそのままであった。)」
劉備「先生とはどのくらい才能の差があるのか?」
キリン カンチュウ
徐庶「それがしと比べるのは駄馬と麒麟を比べる様なものです。いつもは古の管仲、
ガッキ
楽毅に比しておりますが、この両人よりすごいと愚見では思いまする。」
注:管仲は斉王を覇王にした名宰相。斉王も管仲も太公望の子孫に当たる。
楽毅は、弱国燕を回復させ、強国斉を滅亡寸前まで追い込んだ名将。
劉備「寒中水泳しながら楽器を引くのか?」
徐庶「違います・・・。」
劉備「しかし、その比喩も日本人には少しわかりにくいであろう?」
徐庶「それならば、諸葛孔明に匹敵すると言うのはどうでしょうか?」
劉備「それなら良く解る(^_^)vその賢人の名は『よいよい』と申すのか?」
徐庶「は?違います。諸葛亮・孔明と申しまして、父は諸葛珪・子貢と申し、早く
亡くなりまして、叔父の諸葛玄にひきつれられ弟と劉表の元に行き、叔父が亡
くなった後、今は晴耕雨読の生活を送っております。そこには臥竜岡なる丘が
ありますゆえ、臥竜先生と号しております。」
劉備「すると、伏竜・鳳雛のひとりとは『よいよい』では無くて、諸葛亮と申すの
か?」
徐庶「伏竜とは諸葛亮・孔明、鳳雛とはほう統・士元の事です。」
劉備「あの老人、嘘を教えたな?」
徐庶「よいよいとは水鏡先生の口癖ですよ。人が死んだ時も『よいよい』と言って
おられたとか。」
劉備「誠にこんな近くに賢者がいるのに気が付かぬとは・・・。」
劉備は早速、伏竜に会いにいこうと思った。
徐庶「孔明に挨拶をしておこうか。」
諸葛亮「元直久しぶりではないか。」
徐庶「それがし、劉豫州殿にお仕えしておったのだが、老母が曹操に捕まり、その
元へ行かざる無くなった。そこで君を推挙した。君なら天下に大功を立てる事
も容易であろう。」
諸葛亮「私をいけにえにする気か?」
徐庶「いけにえ、いけにえか?そうかもしれぬ。」
徐庶はその場を辞して、許昌へ向かった。
37.三顧の礼
徐庶が劉備と別れたのは建安12年11月の事である。
キョショウ ソウソウ ジュンイク カクカ
徐庶が許昌に着いたと知ると、曹操は荀いくと郭嘉を派遣して、郭嘉を迎えにや
った。
曹操「君の様な立派な人間が、何故劉備などに使えるのか?」
徐庶「某は若い頃、難に出会いまして流離って新野におりました時劉備と出会って、
交わったのです。老母がここにいると聞きこうして参ったまでです。」
曹操「(交わるって雲長殿共かな?)」
徐庶「丞相なにか?」
曹操「い、いや何でもない。孝行をつくすが良いぞ。」
徐庶はその場を拝謝して、老母の家に向かった。
老母「何しに来たのか?」
徐庶「某、近ごろ新野の劉玄徳殿の元に仕官しておりましたが母上の手紙を見て急
いでやって参りました。」
老母「この不幸ものめ。何年私の息子をやって来たのだ。旅に出て少しは道理が解
ったと思ったらこのざま。曹操は漢室にはこびる奸賊。皇叔殿の仁義は天下に
なり響いているではないか。それを偽手紙の一通も見ぬけずに何たる事か。見
よ。この許昌の許の字を、私が午の字を牛の様に書く癖を知らないのか?」
老母は怒って出て行ってしまったが、しばらくすると家人が
家人「お母上が首をつっておられます。」
と言うので徐庶が慌てて助けに言ったが手遅れであった。
徐庶は嘆き悲しんだ。曹操は徐庶に弔問の使いをやり、葬式には自身も出席した
が、徐庶は喪に服すると曹操からの贈りものも一切受け取らなかった。
ジュンイク
荀いく「それはまだ早いでしょう。」
曹操「そうかな?」
荀いく「時期が時期ゆえ。」
曹操「しかし・・・。」
荀いく「今は寒風吹き荒れる寒い季節ゆえ暖かくなってから長駆の戦を仕掛けた方
が良いでしょう。」
曹操「やはり、そう思うか?」
ゲンブチ
そこで曹操は玄武池を冀州につくり、水軍の訓練を施していた。
そのころ劉備は隆中へ諸葛亮を召喚しにいこうと思ったが、そこに背の高く立派
な人物が来たと言うので内心伏竜が来たと思って喜んだ。
シバキ シバトクソウ
司馬徽「司馬徳操でござる。」
劉備「Y(゜゜;y来ないだ見た時とは随分違っておられるようだが。」
司馬徽「前回は、かようなお面をつけていたゆえ。よいよい。」
劉備「Y(゜゜;yハッ左様ですかな。てっきり老人かと思っていましたが・・・。」
司馬徽「何故か知らないけど老人って書かれるのよね(;_;)徐元直は元気かね。」
劉備「つい先頃、老母が曹操に捕らえられ、母より手紙が参りまして曹操の元へ参
りましたが。」
司馬徽「徐元直。曹操の奸計にかかれり。」
劉備「先生なにゆえそう申されます。」
司馬徽「徐元直の母は、気が強いゆえあの様な手紙を書くはずが無いのだ。もし、
徐元直が母の元へ行けば、母は生きてはいないでしょう。」
劉備「それは何故です。」
司馬徽「ははは、よいかな、よいかな。」
劉備「ちっともよくな~い。」
司馬徽「元直の母は曲がった事が嫌いなゆえ、顔を合わせたくないと思っているで
しょう。」
ナンヨウ ショカツリョウ
劉備「所で、南陽の諸葛亮と言う人物を徐庶が推挙していきましたがこれはいかな
る人物でしょうか?」
司馬徽「ははは、よいかな、よいかな。」
劉備「ちっともよくな~い。」
司馬徽「古は管仲、楽毅に比す。」
劉備「管仲、楽毅と申しますと?」
司馬徽「ははは、よいかな、よいかな。」
劉備「ちっともよくな~い。」
司馬徽「普通の中国人ならこの程度の事知っておろう。」
劉備「これを読んでいる人達は別です。」
カンチュウ セイ
司馬徽「管仲は春秋の斉の宰相で、斉を強国にして、斉公を覇王にまでのし上げた
ガッキ エン
人物。楽毅は戦国の弱国燕の武将で、その斉を滅亡寸前に追い込んだ名将だ。」
注:楽毅は、『まず隗から始めよ』で得た人材のひとり。
カンウ
関羽「その管仲、楽毅と言えば、春秋戦国の大人物でそれを南陽の子せがれと比す
とはいかがなものか。」
司馬徽「これは当人が言っている事だが、私は他の人物と比べたい。」
関羽「その人物と言いますと?」
司馬徽「ははは、よいかな、よいかな。」
劉備「ちっともよくな~い。」
キョウシガ チョウシボウ
司馬徽「姜子牙(太公望)と張子房(張良)だ。」
劉備「姜子牙、張子房と申しますと?」
司馬徽「ははは、よいかな、よいかな。」
劉備「ちっともよくないって(;_;)。」
司馬徽「パターンを変えたな?」
劉備「読んでいる方はいい加減飽きてますよ。」
司馬徽「書く方は楽なのに・・・。
姜子牙は、周王国800年の基礎を築いた名軍師。張子房は漢帝国400
年の基礎を築いた名軍師。」
劉備「漢はまだ滅んでません。」
司馬徽「ははは、よいかな、よいかな。」
司馬徽は暇乞いをして帰ろうとした。劉備は呼び止めたが聞かなかった。
ガリョウ
司馬徽「臥竜は主を得るがその時を得ず。それもまたよいかな。」
司馬徽はひとりごちた
劉備「あれを淫者と言うのだな。」
チョウヒ
張飛「兄貴ぃ隠者の間違えでは?」
劉備「そうとも言うな。」
リュウチュウ
あくる日。劉備は関羽、張飛を連れて隆中へ向かう。
山の彼方から農夫達が歌を歌っているのが聞こえてくる。
青き空は丸い車に蓋をして
陸地は碁盤の様だ
世人は陰陽の二つに分かれ
往来して雌雄を決す
雄を決するものは自ずから安らかに
雌を決するものは覚悟を定めて録々たらん
南陽に陰者あり
ア
高眠して臥せどもなお足かず
劉備「こんな歌か。」
張飛「ちょいと違う風に聞こえましたが・・・。」
蒼天、円いくるまの蓋如く
陸は棋局に似たり
世の人、黒白の分かち
往来す、栄辱を争うがため
栄者、自ずから安々と
辱者、定めて録々と
南陽に隠者有り
高眠して臥せど足かず
関羽「こういう風にか?」
張飛「兄貴もそう聞こえただろ。」
劉備「そうか、そこの農夫に聞けば良い。この歌は誰の作か?」
農夫「臥竜先生の作にございます。」
劉備「その臥竜先生に会うにはどうすればよいのだ?」
農夫「草庵に三度行き、三度目は斎戒してから行けばあえるそうですが、取り敢え
ずは、あの臥竜岡にお住まいです。」
劉備「あのって見えぬぞ。」
農夫「私の心には見えております。」
劉備「う~。結局何処なのだ。」
ガリョウコウ
農夫「この道をまっすぐいかれれば臥竜岡に出ます。」
そこから、数里行かぬ内に臥竜岡が見えて来た。
張飛「あれが臥竜岡に違いませんぜ。」
劉備「良く解ったな?」
張飛「あそこにでっかく書いて有りますぜ。」
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■ _ _ ■■
■ WELCOME GARYOKO ■■
■ ■■■
■ 臥竜岡 まで 後 一 里 ■■
■ ■■
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劉備「・・・・・・(゜o゜)」
劉備は屋敷の前に来ると馬からおりて扉を叩いた。
ドンドンドンドン
童子「どなたですか~。」
コウケイテイ チュウザンセイオウリュウショウ ギジョウテイコウ ヨ
劉備「(早口)孝景帝が第七子中山靖王劉勝が末裔、漢の左将軍宜城亭侯領豫州牧、
皇叔、姓を劉、名を備、あざなを玄徳と申します。先生にお目にかかりたい。」
バタン
関羽「そのまま出て来てどうするのですか?」
劉備「いかん。」
童子「ねえねえ、あんなに早口で長い名前言われても覚えられないよ。」
劉備「新野の劉備が来たと申してくだされ。」
童子「先生は朝からいません。」
劉備「どこへいかれた?」
童子「どこへ行くのか解りませぬ。」
劉備「何時頃帰られるか?」
童子「それも解りませぬ。三日の事もあれば、五日の事も、十日の事も、九十九日
の事もあります。」
劉備「がっかり。」
張飛「兄貴ぃ、あえなきゃ帰るだけじゃないか。」
劉備「少し待て。」
関羽「一度帰り、在宅を確かめてから行くのですな。」
劉備「あったり~。と言う訳なので先生が帰られたら劉備が来られたと伝えてくだ
され。」
劉備一行は帰途に着いたが、数里ばかりふり返ると、そこは秀麗なる景色であっ
た。そこへ、風采の良い、杖をついた男が小路から出て来た。
劉備「もしかしたら、もしかすると。あなたが臥竜先生ですか?」
男 「将軍はどなたでございますか?」
劉備「将軍まで解っているなら話は早いでしょう。」
サイシュウヘイ
男 「劉豫州殿でござるな。それがしは、孔明では有りませぬ。崔州平と申すもの。
しがない友人で。」
劉備「高名はかねがね聞いております。しばらく、お座りください。教えを受けた
いと思います。」
崔州平「将軍は何故、孔明に会おうとなさりますかな?」
劉備「今、天下は乱れております。孔明殿にお会いしてそれを静める方策を聞きた
いのです。」
崔州平「ははは、将軍が乱を静めんと欲す御心なるほど全くその通りでございます
が、天下は治あれば乱有り、乱有れば治有りと申し、乱と治は交互にやって
来ます。・・・・(以下略)」
劉備「ふあああああ。」
崔州平「・・・と言う訳で、今、天下は乱れる方向にあるのです。おさまる方向に
は向いていません。(略)」
劉備「す~す~す~・・・。」
崔州平「しかるに、『天に従うはやすらかに、天に逆らうは苦労する』と申しまし
て・・・・・。」
劉備「ZZZZZZ・・・。」
崔州平「孔明が以下に神仙の知恵を持ったとしてもどうにもならない事でありまし
ょう。」
劉備「(パチリ)先生の御言葉もっとも。しかし、私は漢室につらなる者ゆえ、漢
室の為に働かねばなりません。運命で片付ける訳には行きません。」
崔州平「まあ、山男のたわごとに過ぎません。」
劉備「所で、孔明殿を知りませぬか?」
崔州平「それがしもこれから行くところです。知る者では有りません。そもそも、
古にも言います・・・・・。」
劉備「先生は新野に行かれますか?」
崔州平「暇になれた身なれば、名誉などいりませぬ。(略)またお会いする時も
ありましょう。あぢゅ」
張飛「孔明にもあえず、腐れ儒者の長話を聞かされるとは。まったくうんざりだ。」
劉備「あれとても、隠者の理屈ではある。」
張飛「兄貴ぃ聞いてたのか?」
劉備「夢の中でな。」
数日経って、孔明が帰って来ていると聞き、劉備は再び馬を出した。
張飛「たかが、一介の百姓風情、しょっぴいて来れば済む事では無いか。何も兄貴ぃ
が行かなくても。」
劉備「おまえは無学だが、孟子の言葉に『賢に見えんとしてその道をもってせざるは
その入らんと欲して、門を閉ざすが如し。』と言う言葉を知らぬのか?孔明は今
の大賢者、それを呼び付けるなど出来ようか?」
張飛「門が閉じているなら、ぶっこわせばいいじゃないか。」
劉備「・・・・。」
時は冬寒く。数里行かぬ内に寒風吹き荒れて、たちまちのうちに雪が降り積もる。
張飛「くそ。こんな寒い日に戦なんかしないのに、何で役に立たぬ男を連れに行かな
いとならないのだ。」
劉備「こんな寒さだからこそ、孔明殿に私の気持ちが通じるのだ。心と心が通いあえ
ば出来ない事など無いのだ。」
張飛「命のやり取りだって恐れないこの俺が、寒さなんか恐い訳が無いだろう。ただ
兄貴ィが無駄骨を折るのを心配しているだけだ。」
劉備「だったらつべこべ言わずついて参れ。それとも、この寂しい雪道を一人で帰る
か。」
張飛「・・・・・。兄貴ィまってくれ~。」
孔明の庵に近づいた時、側の酒屋で歌を歌っているのが聞こえる。
劉備「果て前回こんな所に酒屋は無かった様な気がするのだが。」
劉備に聞こえている歌
壮士 未だ子をなさず
ああ 久しく陰陽あわさる
君見るか 東海の兄嫁肉棒を取り
後ろ向き ついに文王と親しむを
八晩八夜 期せず交わり
白濁 入りて極楽に渡りしこと
床上一戦 汗は一斗流し
鷹の如きいさおい 武臣に冠たるか
劉備「うわ。何たる卑猥な歌かY(゜゜;y大丈夫なのか?」
関羽「それがしには次のように聞こえましたが。」
壮士 未だ功名成らず
ああ 久しく陽春にあわざる
君見るか 東海の老叟(太公望)が荊榛をさり
後車 ついに文王と親しむを
八百諸侯 期せず会し
白魚 舟入りて孟津にわたりしこと
牧野一戦 血は杵を流し
鷹の如きいさおい 武臣に冠たるか
また見るか 高陽の酒徒(れき食其)草中より立ち
芒とう隆準公に長揖せしこと
王覇高談し 人の耳を驚かす
洗うをやめ 坐にひき英風をしたいし
東の方 斉城くだす七十二
天下に人能く跡継ぐはなし
両人の聖天子に会いしにあらねば
今にいたるまで誰かまた英雄をしらん
注:前半は太公望が、文公と会い、諸侯をまとめ、殷を滅ぼし周を興した事を
後半はれき食其が、高祖(劉邦)に見みえ、斉の使者に立ち、弁を持って
戦わず斉国72城を落とした事を歌っている。
張飛「兄貴ィ俺も。」
劉備「そうなの(^^;」
それを受けて歌うは者がいる
わが皇の剣をひっさげ寰海を清めし
業をはじめ、基をたるる四百載
桓・霊のすえ 火徳は衰えり
奸臣・賊子 鼎だいをととのう
青蛇 飛び下る御座の旁
また見る妖虹の玉堂に降るを
群盗四方 蟻の如くあつまり
奸雄百輩 皆鷹の如くあがれり
我がともがら 大いにうそぶき手をうち
悶すれば 店に来ていなか酒を飲む
独りその身に善せば 尽日安らかなり
なんぞもちいん千古に名の朽ちる事を
歌い終わると二人手を打って笑う。見れば色白で髭長の男と、奇怪な容貌の男。
劉備「もしかしたら、もしかすると。どちらかが臥竜先生か?」
髭長「そう言われるのは、どなたか?何故臥竜先生をおたずねなさる。」
劉備「孝景帝が第七子中山靖王劉勝が末裔、漢の左将軍宜城亭侯領豫州牧、皇叔、
姓を劉、名を備、あざなを玄徳と申します。」
髭長「どちらも友人ではあるが、臥竜先生ではござらぬ。それがしは、穎川の石広
元、あちらは汝南の孟公威でござる」
劉備「高名は聞いております。これから、臥竜岡へ行くのですが、ご同行願えます
かな?」
石広元「われわれは山野のものぐさゆえ、国を治め、民を安らかにする策など知り
ませぬ。どうかご自身で庵を訪れなさりませ。」
こうして劉備らは、隠者を置いて臥竜岡へ向かった。
童子「ただいま本を読んでいられます。」
劉備「よかよか。」
劉備が童子について中門をくぐると、中から朗吟の声がする。
中を除くと、若い男が囲炉裏にあたりながら歌を吟じている。
劉備は歌が終わるのを待って、草堂に進み挨拶し、
劉備「それがし、久しく先生をお慕い申し有りましたが、機会なくお会いできませ
んでした。先日、徐元直の推挙により、お屋敷に参るも、不在にて空しく戻り
ました。本日風雪を恐れず参上したのは、先生をお慕いしているゆえ。先生に
お会いできまして、この玄徳涙止まりませぬ~(;_;)」
男 「これは劉豫州殿でござらぬか。兄をお尋ねなされたか。」
劉備「Y(゜゜;y先生は臥竜殿でござらぬか?」
ショカツキン キン シユ ソンチュウボウ
男 「それがしは弟の諸葛均と申します。長兄の瑾、あざなを子瑜は呉の孫仲謀(
孫権)の元で客分となっています。次兄が亮、あざなを孔明と申します。」
劉備「では兄はどこへ参られましたか?」
諸葛均「昨日、崔州平と遊びに出かけましたが。」
劉備「どちらへ出かけられたか?」
諸葛均「小舟に乗って川遊びする事もあり、僧や道士を山中にたずねる事もあれば、
田舎の友人をたずねる事もあり、洞穴の中で妖術の修業にはげむ事も有れば、
赤壁で東南の風をふかせる練習をする事もあります。どこへ行くのか定まる
を知りませぬ。」
劉備「それがし、よっぽど運が悪いと見える。二度も賢者にお会い出来ぬとは。」
張飛「兄貴ィ、その分悪運が強いからいいじゃないか。」
劉備「・・・・。」
諸葛均「どうかおかけください。茶を一服さし上げましょう。」
張飛「その蛾道先生とやらがいないんじゃ帰ろうじゃ無いか。」
劉備「せっかく、ここまで来た上は話を聞かずに帰る法は無い。
令兄は、『六韜三略』の奥義をきわめ、毎日兵法の書をお読みになると言う
話。まことでござるか?」
諸葛均「存ぜませぬ。」
張飛「そんな事を聞いて何になる。あ、だんだん雪がひどくなって来る。早く帰っ
た方がいい。」
劉備「張飛。黙りなさい。いつからそんなに軟弱になったのです。私は、おまえを
そんな風に育てた覚えは有りません。」
張飛「俺も兄貴ィに育てられた覚えはない。」
劉備「先生ご不在なら、いたし方有りませぬ。筆と紙をお借りして、令兄への書状
をおことづけいたしとうございます。」
劉備が凍った筆に息を吹き掛けながらしたためるは、
『孝景帝が第七子中山靖王劉勝が末裔、漢の左将軍宜城亭侯領豫州牧、皇叔、姓
を劉、名を備、あざなを玄徳、久しく先生のご高名をお慕い申して、二度までも
参上つかまつりませども、ご不在にて空しく帰る事二度。それがし、漢朝の末に
つながる孝景帝が第七子中山靖王劉勝が末裔、漢の左将軍宜城亭侯領豫州牧、皇
叔、姓を劉、名を備、あざなを玄徳なれば、爵位を辱める身として、朝廷が廃れ
綱紀が乱れ、群雄が国を乱し、逆賊が君を侮るを心張り裂けんばかり。これを正
しく導かん志ありながらも、才無きを恨むのみ。ねがわくは高名なる孔明先生の
仁慈の心を持って、呂望(太公望)、子房(張良)の大才・知略を施したまわれ
ば、天下の計は遠からず定まると思う所存。後日ふたたび斎戒して身を清め、そ
の姿見ゆれば、愚意を申すべく所存。
孝景帝が第七子中山靖王劉勝が末裔、漢の左将軍宜城亭侯領豫州牧、皇叔、姓
を劉、名を備、あざなを玄徳 記す。』
この手紙を、諸葛均に渡すと別れをつげ馬に乗ろうとすると、
童子「老先生が見えられた。」
劉備「もしかしたら、もしかしますと、臥竜先生でございますか?
それがし、久しく先生をお慕い申し有りましたが、機会なくお会いできませ
んでした。先日、徐元直の推挙により、お屋敷に参るも、不在にて空しく戻り
ました。本日風雪を恐れず参上したのは、先生をお慕いしているゆえ。先生に
お会いできまして、この玄徳涙止まりませぬ~(;_;)」
諸葛均「兄ではございませぬ。兄のしゅうとの黄承彦です。」
劉備「Y(゜゜;y婿殿にはあわれましたか?」
コウショウゲン
黄承彦「いやいや、それがしもここへたずね参った所です。」
吹雪吹く中を帰る姿三つ。
劉備「折角暗証した科白が無駄になってしまった(;_;)」
劉備が新野に戻ってから、月日経つのははやく何時しか新年になっていた。
そこで、劉備は日を占い、三日斎戒して臥竜岡へ参る事にした。
これを聞いた、関羽と張飛は心面白からず、これを諌めた。
38.天下三分の計
劉備が二度までも孔明にあえなかったので、もう一度出かけようとすると、関羽
はこれを諌める。
関羽「兄上は既に二度までも訪問されているのに、待たしても行かれるとは人を敬
うにも程があります。恐らく諸葛亮は虚名ばかりで学問が無いゆえ、わざと顔
をださぬのでしょう。」
劉備「いや、そうではあるまい。昔、斉の桓公は東郭野人に会うのに五度までも出
かけている。いわんや相手は大賢者、しかも、まだたったの二度であろう。」
張飛「あんな百姓が、大賢者な訳ないだろう。俺に麻縄の一本もあれば、しょっぴ
いて来てやる。」
劉備「張飛、最近は縛られているそうではないか。」
張飛「Y(゜゜;y」
劉備「おまえは、周の文王が姜子牙(太公望)にあった時の事を知らぬのか。その
時文王は、天下の三分の二を領有していたが、渭水のほとりで姜子牙にであっ
た時、何時まで立っても文王の方を降りむかなかったので、ずっとそこに立っ
て追ったのだぞ。日が暮れてようやく子牙がふりむいたので、文王はそこで、
姜子牙に声をかけた。
文王『つれますかな?』
姜子牙『はは、針もつけていないのにつれる訳が無かろう。』
文王『しかし、もっと大きな魚をつろうとしているのでしょう。』
姜子牙『針も餌も無しで?』
文王『針と餌は眼の前にいるでしょう。』
姜子牙『獲物は?』
文王『天下です。』
こうして、周朝八百年の礎を作ったのだ。文王でさえ賢者を敬う事このようだ
ったのに何を無礼を言う。」
張飛「さすが、兄貴ィ本当にそんな会話をかわしたのか?」
劉備「いや、知らない。」
張飛「Y(゜゜;y」
劉備「おまえは無礼だから置いていこう。関羽だけを連れて行く。」
張飛「兄貴ィ待ってくれよ~。俺も行くよ~。」
劉備「どうしてもと言うなら無礼なまねはするな。」
こうして、臥竜岡手前まで来ると、諸葛均に出会った。
劉備「令兄はおられますかな?」
諸葛均「昨日夕方に戻られたばかりです。今日こそお目にかかるでしょう。」
諸葛均はえしゃくすると山へ登って行った。
劉備「それは誠か。練習、練習・・・・。」
張飛「あいつは無礼だ。屋敷ぐらい案内すればいいだろ。」
劉備「誰にだって用事はある物だ。さて、練習、練習。」
門の前まで来て戸を叩くと童子が出て来た。
劉備「劉備が来たとお伝えくだされ。」
童子「今日は家におられますが、ただいま昼寝しております。」
劉備「それなら、しばらく待ってくだされ。練習、練習・・・。」
関羽、張飛を戸口に待たせ、自分は門をくぐると、草堂の寝台に仰向きに寝てい
る人がいた。劉備は手を組み合わせて、石段の上に立った。
劉備「孝景帝が第七子中山靖王劉勝が末裔、漢の左将軍宜城亭侯領豫州牧、皇叔、
姓を劉、名を備、あざなを玄徳、久しく先生のご高名をお慕い申して、二度ま
でも参上つかまつりませども、ご不在にて空しく帰る事二度。本日、このよう
に先生にお会いできて誠に光栄なる所存(ここで泣く)。今、天下乱れれば、
こ・・・皇室につならぬ我が身なれば、天下の乱れをお、押さえんと、この身
は張り裂けんばかり。されど、我が身夫妻・・・不才なれば、・・・、・・・
・・・・・天下を救う策なく、空しさに捕われる事数えられぬ程、されば、先
生の知恵を持って、私に天下を救う策をお教えくださりませぬでしょうか(こ
こで泣く。)うむ、完璧だ。」
孔明は、じっと寝ていた。半刻ばかり、何の声もしないので関羽達が中を覗くと
劉備がじっと立っている。
張飛「この先生とやらは至極無礼な。兄貴ィを立たせたままタヌキ寝入りを決め込
んでいやがる。俺が裏へ回って火をつけてやる。起きるか起きないかみていや
がれ。」
関羽「こら、張飛。」
すると、孔明は一瞬寝返りをうって、起きそうであったがまた寝入ってしまった。
童子が起そうとすると。
劉備「いやいや、起されるな。さて、もう一度練習しよう。」
一時ほど過ぎて、劉備も暗唱を繰り返すのに飽きて来た。
すると、孔明はふと目をさまし、
孔明「大夢 誰かまず覚めぬ
平生 我自ら知る
草堂 春睡足りて
窓外 日遅々たり
・・・・・・。
誰か来てますね?」
童子「劉皇叔が来ておられます。」
孔明「何故早く知らせないのです。着替えて来なければ。」
それから、半時程して、孔明が着替えて出て来るとそれは、身の丈八尺、冠の玉
の如き、誠に仙人の様であった。
劉備「*^_^*ポッ ・・・・。
そ、それがし、漢室の末孫の不肖り、劉備でございます。せ、先生の高名は
知って、にど、二度、二度・・・参りましたが、お目にかかれませんでした。
名前ばかり書き残したのですが、読まれましたでしょうか。」
孔明「南陽の野人にて、将軍の御足労わずらわし、恥じ入るばかりであります。」
劉備「*^_^*」
孔明「将軍の国を憂い、民を思う心、先日の手紙にて良く解りますが、それがし、
若輩にして、才も乏しく、政治を預かる程の者ではございません。何かの間違
いでしょう。」
劉備「間違いでもかまわぬぞ(^_^)
Y(゜゜;yハッい、いやいや司馬徳操(司馬徽)や徐元直が申した事偽りと申され
るのか?お見捨てならないでください。どうかお教えをいただきたい。」
孔明「徳操も元直も立派な人物、それがしは一介の農夫にすぎませぬ。それを推挙
されるとは。天下を談ずるとはとんでもない。何ゆえ、美しい玉を捨て、ただ
の石を拾いなさる。」
劉備「玉とは先生の事です。先生も大丈夫なれば天下をお救いならず、このような
山林で朽ち果ててよろしいでしょうか。それがしの無知をお導きくだされ(;_;)」
孔明「それなれば、将軍の志を聞きたい。」
劉備「君がいれば、それで・・・。
Y(゜゜;yハッ
漢室はすでに傾き、逆賊が天命を盗んでいます。今天下に大義を示さんと欲
しておりますが、それがし無才ゆえ、これと言う働きもなく今日にいたりまし
た。しかし、まだ志は捨てておりませぬ。孔明殿、共に天下に大義を示しまし
ょうぞ。ほら、あの星に向かって。」
孔明「・・・・。
今や、北は曹操が、呉は孫権が勢力を張り、これを崩すのは容易では有りま
せぬ。それゆえ、まず荊州を取り、益州を押さえ、かくて鼎の如く、三国が並
立する、天下三分の形勢を立てれば中原を押さえる事もかなうでしょう。」
劉備「先生のお言葉で、胸のふさがりは一時にひらけ、暗雲が去り、青空を拝む様
な心地がします。されど、荊州の劉表、益州の劉璋。どちらも一門の者であれ
ばこれを奪うには忍び有りませぬ。」
孔明「それがし、天文を見るに、劉表は長く有りませぬ。やがて将軍の手に入る事
でありましょう。」
劉備「(あう、このストイックさがたまらぬ。)これは、かたじけない。それがし、
名は卑しく徳薄く、頭も薄く成り始めていれども、先生がお見捨てにならず、
世に出てお助けくださる事をお願いしとう思います。」
孔明「それがし、長く農業に親しみておりましたゆえ尊命にはお答え出来ませぬ。」
劉備「それでは、先生は私をお見捨てになると言うのか(;_;)
嗚呼、漢の天下は終わりでございます(T_T)
天命は既に尽きるのでしょうか(/_;)」
孔明「皇叔殿それほどまでの思いしかと確かめました。将軍がお見捨て無くばそれ
がし犬馬の労もおしみませぬ。」
劉備「ほ、ほんと(^_^)関羽、張飛。」
劉備は関羽、張飛を呼び入れると反物の贈り物をさせた。
孔明「左様なものはいりませぬ。」
劉備「いえいえ、先生に対する私のお気持ちです。心良く受けてくれないと(;_;)」
孔明「されば、仕方有りません。」
劉備「(^_^)」
丁度その時、諸葛均が帰って来た。
孔明「私は、劉皇叔の三顧の礼にうたれて、行かぬ訳にはいかぬ様になってしまっ
た。均よ、おまえはここで農業を続けて、この家を守りなさい。」
劉備は、孔明を連れて新野に戻った。
劉備は、孔明を師と仰ぎ、同じ机で食し、同じ寝床に臥し、一日中天下について
話しあった。
決して読者の想像している事はしていない。
劉備「え?」
孔明「それがしにその様な趣味はございませぬ。」
劉備「(;_;)」
孔明「曹操が冀州に玄武池を作って調練しているのは、江南を攻める意志があるか
らです。江東の孫権の様子を探るべきです。」
劉備「そ、そうか?」
そのころ、孫権は孫策の後を継ぎ、広く賢者を募っていた。
カンタク トクジュン ゲンシュン マンサイ セッソウ ケイブン テイヘイ
会稽のかん沢・徳潤、彭城の厳しゅん・曼才、沛郡の薛綜・敬文、汝南の程秉・
トクスウ シュカン キュウボク リクセキ コウキ チョウオン ケイジョ ラクトウ コウショ
徳枢、呉郡の朱桓・休穆、陸績・公紀、張温・恵恕、会稽烏傷の駱統・公緒、烏程
ゴサン コウキュウ
の吾粲・孔休。
リョモウ シメイ リクソン ハクゲン ジョセイ ブンキョウ ハンショウ ブンケイ テイホウ
また将軍も得た。呂蒙・子明、陸遜・伯言、徐盛・文きょう、潘璋・文珪、丁奉
ショウエン
・承淵たる面々である。
建安7年に曹操は、孫権に使者をだして誰か子供を入朝させ天子に使えさせるよ
うに命令した。
孫権「どうしよう。」
チョウショウ
張昭「曹操が、ご子息を要求するのは人質を取って、諸侯を操ろうと言う魂胆でし
ょう。しかし、人質を出さねば大軍を率いて討伐に来るでしょう。」
シュウユ
周瑜「もし、曹操が攻めて来ても大丈夫です。
それがしが、撃退して見せますゆえ。
それに曹操が、美少年も好きと言う事実をお知りですか?」
呉夫人「公瑾(周瑜)の言う通りです。何を好んで自分の息子を毒牙にかける親が
いるでしょうか?」
孫権「母上。その通りです。その通りにいたしましょう。」
翌年、孫権は父の敵、黄祖を討った。
リョウソウ カンネイ リョウトウ
その時、凌操が舟で進み、甘寧に射殺された。息子の凌統は密かに恨みを抱いた。
孫権は状勢不利と見て退却した。
ソンヨク キラン タイウン
孫権の弟孫翊は丹陽にいたが酒癖が悪く恨みを買い、き覧と戴員は共謀してこれを
辺洪に暗殺させ、辺洪を捕らえて罪を着せて殺した。
き覧「へへへ、孫翊の未亡人は美人だぜ。」
戴員「見ているとP~がP~してくるぜ。」
そこで、孫翊の妻徐氏に向かって言う。
き覧「おまえの敵をうってやったのだから、俺に一発やらせろ。」
徐氏「夫が死んだばかりなのにその様な事は出来ません。
晦日の日に夫を祭るのでその時喪服を脱いで一緒になりましょう。」
き覧「喪服は脱いじゃだめだ。」
徐氏「何か?」
き覧「喪服を脱ぐなと言ったのだ、
脱ぐと言うならこの場でP~するぞ。
はぁはぁ・・・。」
ソンコウ フラン
徐氏はこういいながら、裏で孫高と傅嬰を呼んで言った。
徐氏「き覧と戴員は、裏で夫を殺しながら恩を着せて来る悪い奴です。
今二人を油断させてあるので、是非恨みをはらすのを手伝ってください。」
一方で、孫権の元に使いを送った。
晦日になると、徐氏は喪服を脱いで、身体を清め、化粧をして座っていた。
き覧「喪服を着ていろと言っていただろう。」
徐氏「貴方には必要ありませんわ。」
き覧「何の事?」
と言っている間に孫高、傅嬰が踊り出て一刀両断。
戴員もまた、一刀両断。
徐氏は二人が死ぬと再び喪服を着て、夫の墓前に二人の首を奉げ喪に服した。
そのころ、孫権の母、呉夫人は病床に伏していた。
呉夫人「孫権、良いですか、公瑾(周瑜)、子布(張昭)を先生と思って仕えるの
です。決して間違いがあっては行けませんよ。それから、私と一緒に亡父(
孫堅)にとついだ妹を私と思って孝行しなさい。おまえの妹にも目をかけて
良いお婿さんを探しておやり。間違ってもや*いだけにはからむのではない
よ。」
孫権「母上。」
コウソ
翌年、孫権は黄祖を討とうと謀った。
張昭「まだ、お母上の一年の喪が開けぬのに軍事行動を起すのは礼にもとるのでは?」
周瑜「敵討ちをするのに、喪が開けるのは待っていられないでしょう。
黄祖ごときは私の知にかかれば一刀両断です。」
呂蒙「黄祖の部下、甘寧が降参して参りました。」
孫権「甘寧とはどうゆう奴だ。」
リョモウ カンネイ コウハ
呂蒙「甘寧・興覇の働きで、前の戦いで黄祖は一命を助けられたのです。しかし、
黄祖が、あれは強盗上がりだからと言って重く用いませんゆえ、蘇飛がうまく
取りはからって、甘寧は黄祖の元を離れたのです。今、甘寧は我が君の元に、
参ろうとしていますが、先の恨みを気遣って迷っているところです。」
孫権「私も度量が広い事を見せねばならない。戦場での命のやり取りは仕方ないも
の。もし、君が我が元に来れば、黄祖など恐れるにたらぬと言っていたと伝え
る様に。」
甘寧「は~い。今聞いてました。」
孫権「(^^;早速ではあるが興覇殿。黄祖を破る方法を教えてくれぬか?」
甘寧「黄祖はよ、税金が重くて民衆が嫌っているから、簡単に勝てるぜ。
しかも、劉表なんか器がちっせいからこれも簡単だぜ。
おっと、こいつは曹操が来る前にやんね~となんない。
これで蜀を占領すれば天下は目の前だ。」
キンギョク
孫権「まさに金玉の名論。」
甘寧「ふぐりの名論ともいうぜ。」
早速孫権は周瑜に軍を率いさせて、黄祖を攻めさせようとした。
張昭「それは行けませぬ。国ががら明きになります。そうすれば、いつ内乱が怒る
か解りません。」
甘寧「それを起させないのがあンたの仕事じゃないのかな?
ショウカ
みんな、古の蕭何みたいな大任をあンたに期待してるんだぜ。」
孫権は、手にした杯を甘寧に渡し、
孫権「興覇よ。この酒杯と同様にこの征伐御身に託そうぞ。心思うままにやるがよ
い。張長史(張昭)の事は気にするな。」
こうして、孫権は黄祖を攻めた。
ハクボウハ
39.博望坡に孔明初陣す
黄祖は孫権に負け、荊州へ逃げた。
甘寧は待ち伏せしてこれを待ち構える。
黄祖「日頃目をかけてやったのに、今日は何故にそんなに冷たくするの。」
甘寧「俺様が江夏にいた時強盗扱いしたのはどこのどいつだ。」
テイフ
そこへ程普がやって来た。程普に負けてならじと甘寧は弓をいかける。
黄祖「ばたんきゅ~」
甘寧「黄祖の首はもらった。」
孫権は黄祖の首を孫堅の墓に飾った。
そして、江夏の城をどうするか協議した。
張昭「江夏は孤立しているゆえ、守るのは難しい。ゆえに放棄するのが得策。
きっと劉表は仇討ちに来るでしょう。そこを討つのはやすい。」
そこで江東に帰って凱旋し、祝勝の酒宴たけなわの頃。
大男「お~いおい、お~いおい(;_;)」
大男、いきなり剣を抜くや甘寧に切りかかる。
カンネイ
甘寧「おっと。」
甘寧、椅子を構えてよける。
椅子はまっぷたつ。
甘寧「この椅子は、角煮にするとうまいかもしれない。」
孫権「物は試しと言う。角煮にして見ようではないか。
Y(゜゜;y凌統何をする。」
リョウトウ
凌統「父上の敵。」
コウハ
孫権「興覇は君の父上を殺したかもしれないが、主人持つ身であれば、やむを得ぬ
事。今や身内同然の者同士仇を討つなど言ってはならぬ。なかよし集団呉に傷
がつくではないか。」
シュウユ
周瑜「なかよしこよしです。」
凌統「天に換えても、仇を打ちたいのです。お~いおい。お~いおい。」
孫権はなだめすかしたが、その日の内に甘寧を夏口の守りとして派遣して、しば
らく凌統の目を避ける様に命じた。
さて、新野の劉備の元に劉表からの使者が来て相談ごとがあるから荊州へ来いと
あった。
リュウビ
劉備「さてもどうしたことやら。孔明先生*^_^*」
コウメイ
孔明「これは黄祖が討たれたので仇討ちの相談をしようとの事でしょう。」
劉備「そうであったか。さすがは先生。黄祖と劉荊州殿はホモだちであったと言う
し。」
孔明「マブだちではござりませぬか?」
劉備「そうとも言うな。
・・・で、孔明。」
孔明「なんでございましょう。」
劉備「いざとなったら口パクよろしく(^_^)」
孔明「はっ、それがしも機に望んで策を謀りましょう。」
荊州についた。
劉備「どうしよ~。」
ジョウヨウ
孔明「まず、襄陽の会の詫びごとをなされませ。
もし、江東の征伐におもむけと言う話ならば、決してお引き受けしてはなり
ませぬ。新野で兵馬の調練をすると答えなされ。」
城に入ると、劉表へあいさつした。
劉備「(;_;)
前回の襄陽の会では誠に失礼を
(;_;)」
リュウヒョウ
劉表「(おろおろ) サイボウ
いやいや、君が無事で良かった。蔡瑁の首を切って、お目にかけたかったが
部下の反対多くそのままだ。」
劉備「(ピクピク)別に気にしてはおりませんゆえ。ははは・・・。」
劉表「ところで、江夏の黄祖が、」
劉備「私は行きませぬぞ。」
劉表「まだ何も・・・。
黄祖の仇討ちをしようと思うが。」
劉備「パクパクパクパク。」
(孔明「黄祖は乱暴な性格ゆえかような目にあったのです。それに今南征の軍を起
した時曹操が攻めて来たらどうなさいますか?」
劉表「わしも老年で病がち。こちらへ来て、わしの手助けをしてくれぬか?
わしの死後は君が荊州の主となってはくれぬか?」
劉備「兄上何を仰せになります。それがしごときが、その様な大任・・・。」
(孔明「はっ、・・・・・。」ちょんちょん。)
劉備「はっY(゜゜;y良い手立てを考えてくださいまし。」
と言いながら。劉備は退出した。
孔明「劉表殿が荊州を譲ると言うのに何故お受けになりませぬ。」
劉備「劉景升殿は全く良く面倒を見てくれた。それを危うくなったのにつけ込んで
領土を奪い取るなんて・・・。」
孔明「我が君は全く仁君であらせられる。あれは芝居ゆえ、気にされなくてもよろ
しいでしょう。」
と言うところに劉きが現れた。
リュウキ
劉き「継母とは仲悪いゆえ、私の命は今日明日にもと言うばかり。
叔父上、なにとぞ私の命をあわれとおもうのならばお助けくださいまし。」
劉備「それは、御家の大事でありませぬか?なにゆえそれがしなどに。
孔明。何か良案は無いか?」
孔明「それこそ、御家の大事でありませぬか?それがしなどが口を挟む者ではあり
ませぬ。」
別れぎわに劉備は劉きを呼び寄せて、耳元でささやくには、
劉備「ふっ。」
劉き「ゾクッ。何をなさります。叔父上。感じてしまうではありませんか。」
劉備「ちょっとしたスキンシップだ(^^;
明日、孔明を代理に御返礼に向かわせるゆえ、かようかようになさりませ。」
劉き「かようかようでは解りませぬ。」
劉備「その時になればわかりましょう。」
あくる日。
劉備「いたたたた。」
孔明「何事です。」
劉備「急に腹痛を催した。嗚呼、これでは劉き殿の元へ挨拶には参れぬわい。
ああ、困った、困った。(棒読み)」
孔明「(相変わらず、芝居だけはお上手・・・。)
仕方が有りませぬ。それがしが代わりに行って参りましょう。」
劉備「ホント?それは助かる。」
孔明「腹痛にかこつけて、看護婦さんと遊んでいては行けませんよ。
では、それがしが代わりに参りましょう。」
劉備「Y(゜゜;y」
劉き「それがしは、継母に気にいられないゆえ、今日の命を保つも難しいかと思わ
れます。なにとぞ先生の御一言を持って御助けくださりませぬか?」
孔明「それがしは他所者ゆえ他人の家の親子の関係に口を挟む道理は有りませぬ。
もし、もれ聞こえたりでもしたら一大事でありましょう。」
と席を立って帰ろうとした。
劉き「折角来られたのにこのまま帰す訳には参りませぬ。
それがし、古書を貯えているゆえそれをお目にかけましょう。」
孔明「古書(^_^)」
劉き「そうです。例えば、『無名祭祀書異伝』」
孔明「ほぅ。あの、狗蠧琉の・・・。」
劉き「『裏論語』に『山海経異伝』」
孔明「伝説の二冊ですな。」
劉き「さあ、この階段の上にございます。」
階上の孔明。
孔明「古書と言うのは何処ですか?」
階下の劉き。跪いて涙して言うには、
劉き「なにとぞ、継母から生きのびる御助言をくださりませ。」
孔明がおりようとすると階段が無い。
劉き「ここは、人が来ませぬ場所ゆえ御気遣い無用です。
なにとぞ御助言を。」
孔明「『疎きは、親しき者をへだてず』と申します。
それがしごときがこのような事に口を挟むべきではありませんでしょう。」
劉き「どうしてもお教えくださらぬとあれば、もはやこの命尽きたも尽きたも同じ。
先生の前で相果てまする。」
孔明「いやいや、計が無い事はありませぬ。」
劉き「御教えくだされ。」
シンセイ チョウジ
孔明「古の申生・重耳の故事を御知りでしょうか?申生は国に留まり命を落とし、
重耳は国を離れて助かりました。黄祖が討ち死にした今、江夏に人がおりませ
ぬ。兵を率いて守りに参ると申せられれば継母の魔手から逃れられるでしょう。」
劉き「かたじけない。」
孔明「これでよろしいかな?」
と孔明は懐から縄ばしごを取りい出すとそそくさと降りてきた。
孔明「それでは、失礼いたしますゆえ。」
劉き「Y(゜゜;y」
あくる日。
劉表「劉きが江夏の守備に参りたいと申しておるのだが・・・。」
劉備「江夏は要地ゆえ他人をやる場所では有りませぬ。
それは何よりの話。それがしは、新野の守りを固めましょう。」
劉表「聞くところによれば、曹操は玄武池と言う物を作って水軍を調練していると
か。これは南征をする意志の現れに違いあるまい。」
劉備「それは存じております。泥船に乗った気分でおりませ。
・・・・。大舟の間違いですY(゜゜;y」
一方曹操は、三公を廃止して自ら丞相の位とそれらを兼ねた。
注:三公とは、太尉、司徒、司空で朝廷の最高位。その上に非常設の丞相がある。
カコウトン
夏侯惇「近ごろ、劉備が新野で兵を集め不穏です。早めに叩いて置くべきでしょう。」
ウキン リテン カコウラン カンコウ
そこで、夏侯惇を都督に、于禁、李典、夏侯蘭、韓浩を副将に10万の兵を率い
させ博望坡まで出陣させた。
ジュンイク ショカツリョウ
荀いく「劉備は傑物にして、諸葛亮を軍師にいだいては軽々しく討って出るのは危
険でありましょうぞ。」
夏侯惇「劉備などねずみに等しいわ。必ず生け捕りにして見せよう。」
徐庶「劉玄徳を侮りなされますな。玄徳×孔明=虎+翼でござりますぞ。」
夏侯惇「虎に翼生やしたバケモノなど見た事もないわ。
そんなもの一蹴してみせよう。」
曹操「諸葛亮とは一体何者ぞ?」
徐庶「あざなを孔明。道号を臥竜先生と申しまして、天地を縦横にして、鬼神の如
き謀を胸に秘めております。図に書くと以下の様な者でございましょう。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~天上~~~~
■<鬼の角
■
■
竜頭 ■■目■■
口■■■■
牙 謀■■■■■
謀■■■■■■
■謀■■謀■■■■■■■■
■ 謀■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
爪■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~地面~~~
曹操「元直。後でちゃんと消しておけよ。」
徐庶「Y(゜゜;yはっ。」
曹操「君と比べるとどうだ。」
徐庶「それがしと比べるとは蛍を名月と比べる様なものです。」
夏侯惇「徐元直殿の申す事は間違いでございましょう。諸葛亮など塵芥も同然。
はいて捨てて来ましょう。もし負けて来た時はこの首を丞相にさし上げま
しょうぞ。もし勝った時は丞相・・・ブバッ。」
ゲンジョウ
曹操「(何を考えている元譲)期待しておるぞ。」
劉備は、孔明を迎え入れてからと言うもの、夜昼と無く先生として敬っているの
で、関羽・張飛は面白くない。
張飛「孔明は若輩もの。才も学もあるか。兄貴ィは買いかぶり過ぎだ。
本当に効能があるのかわからんではないか。」
劉備「いや、私に取っては魚が水を得たようなものだ。余計な事を言ってくれるな。」
張飛「兄貴ィは、や*いキャラになり下がってしまったか。」
さて、劉備に黒牛の尾を献上したものがいた。劉備がそれを自分の帽子の飾りに
結わえていると。
孔明「我が君は遠大な志が御有りなのに何故にその様な技を好まれますか?」
劉備「はっY(゜゜;yいや、昔草鞋を編んでいたなごりだ。
今でも気が付くと時々こんな事をやっている(^^;」
孔明「我が君は曹操と比べて如何思われますか?」
劉備「とてもかなうまい。」
孔明「今、我が君の元へいるのは数千の兵に過ぎませぬ。もし、曹操が攻めて来た
らどうなされますか?」
劉備「それ、その事だ。どうすれば良いのか?」
孔明「民兵を徴募しなされ。それがしが調練いたして敵を防ぎましょうぞ。」
劉備が、新兵を募ると三千の兵が集まった。孔明がそれを調練していると、夏侯
惇が10万の兵を率いて攻めて来ると言う話。
劉備「夏侯惇が攻めて来たがどうしたらよいかな?」
張飛「兄貴ィ、あの『水』でもかぶらせて反省させたらいいだろ。」
劉備「私は、孔明に知謀を、おまえら二人には武勇を期待しておるのだ。何をいっ
ておる。」
関羽・張飛が一先ず退散すると、劉備は孔明を呼び寄せて、
劉備「どうしよう。」
孔明「何よりも関羽、張飛が思い通りに動いてくれなければ困ります。
それがしの軍略を我が君がお使いになると申されるのなら、剣と印をおかし
くださりませ。」
孔明は、諸将を集めて命令を出す事となった。
張飛「さて、孔明はなんと言うやら。」
孔明「博望城の左手には与山があり、右手には安林と言う林が有り、伏兵するには
もって来いである。雲長殿は一千の兵を率いて与山に伏兵してもらう。敵軍が
来てもこれをやりすごして攻めぬよう。南方で火の手が上がったら輜重、兵糧
を焼き払う事。翼徳殿は一千の兵を率いて安林の裏の谷あいに伏せ、火の手が
上がったら、博望城の食料を焼く事。関平・劉封は五百の兵を率い、博望坡の
後方に伏兵し、一番太鼓の頃敵兵が来たらこれに火をかけること。」
ハンジョウ チョウウン
また、樊城の趙雲を呼び寄せて言うには、
孔明「先手として出て、勝とうとせず敵を誘き寄せよ。」
また、劉備に
孔明「我が君にも後詰をしてもらいましょう。おのおのこの通りなさる事。いささ
かの誤りがあってもならぬ。」
関羽「軍師殿はその間どうなされる。」
孔明「それがしは、この城を守っております。」
張飛「俺達は切りあいにでて、その間てめ~はこの城で高みの見物と言う話だな。」
孔明「その通りです。何か質問は?この剣と印が目に入らないとでも言うのでしょ
うか?」
張飛「あっ、それは兄貴ィの剣と印。何時の間に。」
劉備「帷幄の中で謀を謀るには大江千里と言う言葉を知らぬのか?」
関羽「『謀を帷幄の中にめぐらし、勝利を千里の外で決す』ですか?」
劉備「そうとも言うなY(゜゜;y
命令に背く事は許さぬぞ。」
関羽「まず、あの男の計略とやらがうまく行くかどうかだけでも見ておこう。
それからでも遅くはあるまい。」
張飛「何が?」
諸将は出発したものの疑心暗鬼であった。
孔明「我が君は、今日軍を率いて博望山の麓に陣を引きなされ。明日の黄昏ごろ、
敵はやって来ましょう。そうしたら・・・。」
劉備「そうしたら(ゴクリ)何か妙計でもあるのか?」
孔明「一目散に逃げなさりませ。」
劉備「な~んだ。逃げるだけなのか。それならなれている。」
孔明「火の手が上がったら反撃するのです。」
劉備「なるほど。で、本当に勝てるの・・。」
孔明「孫乾には祝宴の準備をさせて置きましょう。」
一方その頃の夏侯惇。
夏侯惇「からから。」
皆の者「何を笑われます。将軍殿。」
夏侯惇「ハモるな。徐元直が諸葛亮を誉めはやしたがあれは何か?
あの様な人馬で勝てるとでも思っているのか?
劉備と諸葛亮の首など、赤子の首をひねるが如く。
そして、そして、(悶々・・・・・)ブハッ。」
皆の者「将軍、大丈夫ですか?」
夏侯惇「おお、あそこに見えるは趙雲か。
劉備なんぞに仕えているとは、幽霊に共するようなものよ。」
趙雲「その減らず口を直してやる。」
夏侯惇と趙雲は打ち合うが、数合で趙雲は馬首をめぐらして退散する。
追う夏侯惇。
趙雲は十里(約8~9Km)ばかり引いて、また打ち合うが、しばらくして退却
する。
韓浩「趙雲は我等を誘き寄せる計略でございます。伏兵があろうと思われますが。」
夏侯惇「何、かような軍勢で何が出来る。十面伏兵されたといえども一蹴じゃ、一
蹴。そして、そして、(悶々・・・・・)ブハッ。」
韓浩「将軍。大丈夫ですか?」
夏侯惇「大丈夫だ。」
夏侯惇は博望坡まで一気に攻め寄せる。劉備が応戦するが一目散に逃げ出した。
夏侯惇「これが伏兵か?一気に新野まで攻め寄せよう。休みも要らぬわ。」
劉備と趙雲は敗走を続けた。日はとっぷり暮れ、暗雲が空に立ち込め月の光は出る
所を知らない。風は夜半になりその勢いをましたが、夏侯惇は前進を続けた。
李典「この地形は火計に持って来い。もし敵兵が火計してくればどうなりましょう。」
于禁「それもそうだ。」
于禁が夏侯惇の元へ行く。
ウブンソク
夏侯惇「于文則。持場を離れてなんとなす?」
于禁「この道は狭く、両脇に樹木が生い茂るは火計に持って来いな地形。」
夏侯惇「はっY(゜゜;y全軍止まれ。」
まるでそれを合図にしたかの様に後方から鬨の声が上がるとボッと火の手が上が
った。
四方八方火に囲まれ、曹操の人馬は右往左往して互いに踏みあった。
そこへ、趙雲が兵攻め寄せて来る。
夏侯惇は遮二無二退却した。
夏侯惇「それがしの夢が・・・。」
李典は一目散に博望城に退却を計ったが、一軍が現れてゆく手を遮った。
関羽である。
李典はようようにして血路を開いて、于禁は横路から逃れた。
夏侯蘭と韓浩は糧秣を救おうとしたが、張飛が現れると、夏侯蘭は数合で突き落
とされ、韓浩はその隙に何とか逃げ出した。
日が開けると、野にはあまねくばかりの屍が覆っていた。
夏侯惇は、悶々として許昌に引き上げた。
張飛「全く、孔明はただ物ではないなぁ」
そこへ、小さな車を押して来る糜竺、糜芳の一軍が目に入った。
車に乗りしは孔明である。
張飛「おお、名軍師様。」
ほどなく、諸将帰陣し、分捕った輜重糧秣を分配し、新野へ凱旋した。
孔明「夏侯惇は追い返しましたが、今度は曹操自ら攻め寄せて来ましょう。」
劉備「それは困った。どうしたものか?」
孔明「それがしに一計有ります。」
40.孔明の妙計
劉備「その妙計とは?」
孔明「荊州を乗っ取るのです。」
劉備「それはもっともだが。そんなひどい事は出来ない・・。」
孔明「それならば別の策を用いましょう。」
夏侯惇は大敗して逃げ帰り、自縛して曹操の前に出て言うには、
夏侯惇「好きにしてください。」
曹操「劉備じゃあるまいし、SMの趣味は無いぞ。」
夏侯惇「鞭で打って(;_;)」
曹操「私ははじめからそこもとを切る気は無いぞ。」
夏侯惇「それがし、諸葛亮の計略にかかり、火攻めを持って大敗しました。」
曹操「そこもとはその様な計に対する対策は存じておるであろう。」
夏侯惇「李典と于禁が忠告してくれましたが、気付いた時は手遅れでありました。」
マンセイ ブンソク
曹操「曼成(李典)と文則(于禁)に褒美を与えよ。」
夏侯惇「劉備がこれほど強くなると後のわざわいとなりましょう。」
曹操「私も心にかかるのは、劉備と孫権だけだ。他は歯牙にもかけぬわ。」
そこで、50万の兵を用意して、大々的に南征を開始した。
孔融はこれを諌めたが、はねのけられた。
孔融「不仁が仁義を討つ。破れぬ理があろうか?」
この言葉が洩れ、孔融は死刑にされた。
さて曹操は、荀いくに後を任せて許昌を出発した。
襄陽の劉表の病は重くなるばかりであった。劉備は関羽・張飛と荊州にやって
来てこれを見舞った。
劉表「私の病は重く死期は迫っている。豫州(玄徳)殿にせがれの事をお任せし
たい。我が子不肖なれば荊州を領するのは難しいであろう。君がこの荊州を
領してはくれぬか。」
劉備「それがし、命を駆けて甥ご殿を御助けする所存でございます。」
曹操が攻めて来たとの報があった。劉備は慌てて新野に帰った。
劉表は劉きを跡継ぎとして、それを劉備に補佐させようとしたが、それを聞い
た蔡夫人。
サイフジン
蔡夫人「きーっ、きーっ、きーっ。蔡瑁!主人を軟禁しなさい。きーっ。」
劉表は無くなったが蔡夫人は偽の遺言をしたため、劉そうを主にすると決定し
た。
リュウソウ
劉そう「父上は亡くなられたが、兄上が江夏に、おじ上が新野にいる。
おまえ達は、私を君主にたてると言うがどういう所存か?」
リケイ
李珪「まことにその通りでございます。御長男を荊州の主と建て、玄徳殿を補佐
となされば、北は曹操に、南は孫権に当たる事が出来ます。全く万全の策で
あります。」
サイボウ
蔡瑁「何て奴だ。でたらめを申して主君の御遺言に背こうとするか!」
李珪「黙れ悪党め。おまえらが、偽の遺言をしたためた事実ぐらい公然の事実で
あるぞ。荊州九郡を蔡氏の手で滅ぼすのは目前だ。」
蔡夫人「きーっ、きーっ。」
蔡瑁「じたんだ、じたんだ。こいつを切れ!切れ。」
李珪「何をやってもいずれその報いを受ける事を忘れるな。この近親P~野郎。
P~P~P~P~P~P~P~PPPPPPPP~~~~~~。」
その後、劉そうは宋忠そそのかされて曹操に降伏した。
宋忠は曹操の元に使者として赴いたが、帰りに捕まった。
一方の劉備。
劉備「困った事になった。」
張飛「兄貴ィ、だったら宋忠をぶったぎって、蔡夫人や劉そうをぶっ殺せば、兄
貴ィが荊州の主になれるじゃん。」
劉備「まあ、待て。それは大人のする事ではなかろう。」
張飛「いつものように、鞭でうたないの?」
劉備「最近Sも飽きて来た・・・。」
張飛「そりゃ、兄貴ィが精神的Mだって事は知ってるけど。」
劉備「Y(゜゜;y・・・・。」
江夏の劉きの元から伊籍が来た。
イセキ
伊籍「蔡夫人と蔡瑁は、嘘の遺言状を仕立てあげてまんまと荊州を乗っ取ったと
の事。なにとぞ襄陽へ義兵を起し、彼等の罪を明らかにされたし。」
劉備「機伯殿は、劉そうが主になった事は御存じでも荊州を曹操に献上した事は
御存じないのか?」
伊籍「それは何処で・・・。」
劉備「しかじかと言う訳だ。」
伊籍「こうなったら、劉そうを誘き寄せて殺し、一味の者を誅殺すれば、荊州は
貴方の者でございましょう。」
孔明「機伯殿の申すとおりです。決心なさりませ。」
劉備「然れども、兄上は今際の際に子供の事を御頼みになられた。信頼に背く訳
には行かない(;_;)」
孔明「されど、曹操は宛城に迫って降ります。如何して防ぎましょう。」
劉備「一先ず樊城に難を避けるしか無かろう。」
すると曹操が博望城に到着したとの報があった。
劉備「こ~め~よこ~め~、こ~め~よど、どしよ~。」
孔明「・・・。文字だけでは何のパロディか解りません。」
劉備「孔明孔明倶楽部の孔明孔明うぉ~の変え歌なのに・・・。
(嗚呼、孔明孔明うぉ~と押し倒したひ・・・。)」
孔明「夏侯惇と同じ手で何とかなりましょうが、何時までも新野は持ちこたえは
られませぬ。速く樊城へ移らねばなりませぬでしょう。」
さても、糜竺等に家族や住民を樊城に移すように指示し、関羽・張飛、趙雲ら
にはそれぞれ指示を与えた。
曹洪と曹仁は10万の兵を率いていたが、前に劉封と糜芳が赤、青半々の旗を
掲げて整然と並んでいる。
許ちょ「伏兵があるかも知れませぬ。」
曹仁「あれは、疑兵に違いない。伏兵など無かろう。」
許ちょらが進軍すると果たして敵影は全く無かった。日は西に傾きかけていた。
すると山の上で太鼓の音が響く。頂上に旗指し物並べ、劉備、孔明、対坐して
酒を酌み交わしている。
キョチョ
許ちょ「劉備め。人を馬鹿にするにも程がある。」
しかし、山の道は狭くなかなか進めない。
ソウジン
曹仁「一先ず捨てておけ、まずはあの城を奪うのだ。」
城は空城であった。
曹仁「さては俺に恐れをなして逃げたと見える。」
兵士は城に入ると疲れていたので争って民家に入り食事の支度を始めた。
すると、火事の報告がある。
曹仁「兵士どもの不始末であろう。」
しかし、火事は一向にひどくなるばかりである。
曹仁「謀られた!」
逃げ口を探すと、東門だけは火に囲まれていないと解り曹仁血路を開く。
そこへ踊りかかる趙雲の軍。
曹操「ビクッ、あ~もうびっくりした。」
逃げて、河で馬に水をやり、敗軍をまとめて河を渡河しようとすると、渡り半
ばで関羽が堰を切り崩す。多くの人馬は流され、渡る場所を求めてうろうろして
いると今度は張飛の軍が襲いかかる。
曹仁「も~いや、今日は厄日・・・。」