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終章 思念強化兵器MKⅡ その4

 クソどもをブチのめさなければならない。

 そのためには手段など選んでいられない。

 誰が敵になろうと関係ない。そう、例え国家を敵に回してもッ!

 十分ほど前のことだった。

 片利奈は料理部の食材を買出しに行き、原付に乗って大学に帰ってきた。

「明日の朝食はどうしよう……プランCあたりにしようかなぁ?」

 メイド服を着た十五歳の片利奈、原付を大学の駐輪場に止める。

 買ってきた食材を部室に運ぼうとした矢先、正門に向かって歩くミミカを夜闇に見かけた。

(えっ!? 男の人と一緒!? しかもシェフじゃないっ! 不倫ですかっ!?)

 ミミカはメルカーヴァと一緒に、夜道を親しく話しながら歩いていた。

(不倫なんて許せないですっ! 絶対に突きとめてやるんです!)

 噂好きな片利奈、すぐに追跡開始。建物や木の影に隠れながら、息巻いて二人をウォッチ。

「ハハハ、そうか。上手く飛べなくて事故っちゃったのか」

「う、うん……ごめんなさい、せっかく加速《ブースト》を作ってもらったのに……」

 にこやかに笑うメルカーヴァに、ミミカは申し訳なさそうに謝った。

「あたし、体調が悪いのかな? 頭をぶつけるといつもそうなんです。何だか考えがおかしくなっちゃって、普段しないことをやったり、言ったりするんです」

「それは大変だね。病院にかかった方がいい」

「あ、看護センターでレントゲン撮ってもらいました。だから大丈夫で……」

 正門に来た二人。メルカーヴァはミミカの両肩を掴む。

「え、えっ? せ、先生。な、なな何です……か?」

 メルカーヴァはミミカに顔を近づける。吐息がかかるほどの距離に。

 いきなり脈絡もなくそうされて、ミミカは顔を赤くしてうろたえた。

「あ、あのっ。あたし、あのっ、好きな人がいるんで……そのっ……!」

「知っているよミミーカ。でもね……僕は君を君を君を愛しているんだ……」

 そう気持ち悪く言って、メルカーヴァは自らの右目に思念力を込める。

「僕は、君の『お兄さん』だからね?」

 メルカーヴァの右目は、最新式の『思念機械《イマジナリーマシン》』で作られている。

 思念力を込めることで、強力な挙動を示す機械の眼。それが駆動する。

「思念機械操作眼《マシーナリードライブアイ》……!!」

 それは、いかなる機械をも操作するメルカーヴァの能力だった。

「えっ!? あっ……あっ……! あんっ……ああっ……!」

 ミミカは兄の右目から放たれた思念電波に襲われる。

 通常の人間には効果がない。しかし機械の脳には耐えられなかった。

(い……や……止めて……! あたし、あたしが消え、る……!?)

 異常な快楽と苦痛と共に、自我が崩壊していくミミカ……否、MKⅡ。

 MKⅡに掛けられていた制限《リミッター》モードが解除され、本来の彼女の機能へと移行していく。

「ああっ……! たす……け……。ゆうす……け……っ……!」

 消え入るような声を発し、MKⅡは体を痙攣させ、ふらりと兄に向けて倒れる。

 ミミカの人格は完全に封じられた。メルカーヴァはそれを見てニコォと笑う。

「おかえり。僕の愛しい妹、MKⅡミミーカ。従順《コントロール》モード起動《オン》」

「……MKⅡ、了解。これより従順《コントロール》モードに移行します」

 ゆらりと立ち上がり、機械的な声で報告。少女はメルカーヴァに従属的な人形と化す。

 MKⅡの頭部に、ヘッドギアのような制御装置が思念力で具現化された。

 これは兵器体の効率的な制御と、脆弱な頭部の防護を目的としている。

「僕だけのミミーカ。再会のキスと抱擁とお風呂と理髪と着せ替えと添い寝と愛撫と生殖行動をしたいところだが、まずは日本を脱出しなければならない。愛でるのはそれからにしよう」

「かしこまりました、兄さん」

 MKⅡは従順に応じて、二人並んで大学を出る。外の入口では高級車が待ち構えていた。

 防弾仕様車の窓がウィンと開いて、薄髭の外国人が顔を出す。

「回収は済んだか、早く乗れ。四時間後にイスラエル本国に向けて出航する」

「分かっている。だがマガフ、交通法規は守れ。目立つなよ」

 そう言って、メルカーヴァとMKⅡは黒塗りの車に乗り込む。

 目立たぬように法定速度を守り、一般車に紛れて大学を後にした。

「え……。ミ、ミミカがさらわれたんですか!?」

 遠目でどきどき見ていた片利奈、ようやくそのことに気付く。

「ど、どうしよう……とにかくシェフに連絡しなきゃっ!」

 慌てて携帯端末《スマートフォン》を取り出し、勇輔の携帯電話に連絡する片利奈。

「シェフ! た、た、大変ですっ……!」

『どうした!?』

「ミミカが、ミミカさんがっ……! 変な男たちにさらわれました!」

『わかった、三分十一秒で行く』

 そう言って勇輔の電話は切れた。

 研究室の窓を開けてビルから飛び降り、壁伝いに滑って安全に降りる。

 それから靴に思念を込めて人外のダッシュで最短距離を走り、正門に到着。

「はぁ……はぁ……片利奈、待たせたな……!」

「凄いですシェフ、本当に三分十一秒で来ましたです!」

 片利奈はストップウオッチ片手に驚いた。すぐにどこかへ電話をかける勇輔。

 相手は軍と分かっている。兵力を用意しなければ話にならない。

『もしもし、西条です』

「啓壱朗か、お前いまどこに居る?」

『僕は東地区のB棟に居ますが』

「そうか。今すぐ正門前に来い」

『え!? 僕はサークルのテニス部の集まりがあって……』

「来なければ二度と決闘してやらん。いいか、三分間だけ待ってやる」

 そう言って通話を切る勇輔。片利奈の方をちらっと見る。

「俺は奴らを追う。お前の原付を貸してくれ」

「え!? は、はい! でもシェフ、原付じゃ車に追いつきませんよ?」

 片利奈は首を傾げた。原動機付自転車では、頑張っても時速五十キロ程度しか出ない。

「俺を誰だと思っている?」

「……あ、そっか。そうですね! 私いますぐ持ってきます!」

 勇輔の言いたいことに気付き、全力ダッシュで駐輪場に走る片利奈。

 程なくして、啓壱朗が走ってやってきた。

「ふう。何ですか勇輔? 僕が楽しく過ごしてるときに呼び出して……」

「ミミカがさらわれた。クソどもをブチのめさなければならない」

「……どうやら、かなり深刻な事態のようですね」

 勇輔から事情を聞き、啓壱朗はワイシャツの襟を正す。

「僕について行けと言うのでしょう? 構いませんよ。ミミカさんは同期の仲ですしね」

「済まない、恩に着る」

 感謝を述べる勇輔。そこに、原付に乗った片利奈が現れた。

「シェフっ! お車をお持ちしましたっ!」

 原付を止め、生真面目に敬礼。勇輔はこくりと頷く。

「啓壱朗も乗れ。地面に残る記憶をたどれば奴らの居場所まで行けるだろう」

「……これ、原付ですけど?」

 啓壱朗は呆れた顔で小さな後部座席に乗る。勇輔も乗り、ハンドルを握る。

「俺も乗ったことはない」

「え……ちょ……勇輔」

 まさかの無免許発言に顔を青くする啓壱朗。

「だが問題ない。触れば機械が使い方を教えてくれる。モノは俺の『友達』だ」

 勇輔はそう言って、原付のエンジンキーを回す。

 思念力を込められた原付は、ブォアンと大型自動二輪のような轟音を立てた。

「なるほど。貴方の能力は物体操作でしたね……」

「少し飛ばす。しっかり掴まれ」

 勇輔はアクセルを全開で噴かす。

 ピザの宅配に使うような形の原付が、凄まじい排気を放って猛加速ッ。

「シェーフッ!! 御武運をーっ!!」

 残された片利奈は声を張り上げ、手を振って二人を見送った。

 原チャリは改造バイクのように凄まじいエンジン出力を発揮し、木々が植えられた東京都の国道を時速二百キロオーバーで疾走してゆく。

 ドライバーや歩行者がビビる中、勇輔は見事なライディングで合間を縫って爆走。

「少し教えて下さい勇輔。ミミカさんはどうしてさらわれたのですか?」

 烈風が空を切る原付の上で、啓壱朗は素朴な疑問を投げかける。

 彼に話すべきかと悩んだが、勇輔は少し考えて、それから答える。

「あの女は人間ではない。イスラエル製の『兵器』だ。奴らはそれを狙っていた」

「なるほど、僕の予想が当たりましたね? やはりミミカさんは『脅威』だった……!」

 啓壱朗が微笑して言うと、勇輔は苦々しい顔で認めざるを得なかった。

「お前は知らないだろうが、今のミミカは空を飛ぶこともできる」

「空を? それはもう、思念能力者の限界を超えているんじゃないですか?」

 猛スピードで流れていく夜の街並みを眺めながら、啓壱朗は言う。

 いくら思念能力者でも飛行能力を会得するのは容易でない。

「俺も変だと思った。頼子にレントゲンを撮ってもらって、そこで頭の機械を見つけた……」

「その機械、もしかしたら『学習機能』がついているのかもしれませんねぇ」

「……学習機能?」

 勇輔は烈風で凪ぐ髪を撫で、啓壱朗に問う。

「仮説ですがね。ミミカさんの頭の機械は、思念能力を早く覚える効果があるかもしれません」

「それで、あんな色々な能力を、次々と覚えていったというのか?」

 勇輔には思い当たる節があった。サツキと話した時のことだ。

「ミミカは誰よりも成績が良かったらしい。しかも、大して努力をしていないと聞いた」

「それはそうでしょう。機械の学習能力に人間が敵うわけありませんよ」

 啓壱朗と勇輔。二人してようやく、ミミカという少女の謎を解いた。

 彼女はあらゆる知識や、思念力の技術を短期間で学習する機能を持っている。

 『兵器』として、多様な戦場の環境に適応するために。

「……ミミカは、人間のふりをしていただけ……なのか?」

 勇輔は顔を曇らせる。その思念が伝わったのか、アクセルが露骨に緩む。

 啓壱朗はその気持ちを察して尋ねた。

「貴方の大切な同居人ですからね。……ショックですか?」

「……かもな。機械の女と元通りに接していられるか分からない」

 勇輔はそのことが心配だった。

 仮に助けることができたとして、ミミカの一部が機械であることには変わりないのだ。

「ミミカが人間なのか、機械なのか、よく分からない。せめて全部機械なら割り切って接していられるが、そういう訳じゃない……」

「僕は、人間だと思いますよ」

 啓壱朗が素直な意見を述べる。

「だって、機械が人を好きになるわけないじゃないですか?」

 そう言うと、勇輔は珍しく少しだけ口元を緩ませた。

「……そうか。お前はアホだと思ってたが、たまには良いことを言うのだな」

「な……何ですと……ッ」

 勇輔のすなーお過ぎる発言。啓壱朗は顔の血管をヒクつかせた。

「勇輔。今度、僕が指定する日に決闘して下さい。ミミカさんを助ける条件でね……!」

「何だそんなことか。いいだろう」

 意外にも反発はなく、勇輔は生真面目に応じる。ミミカが助かるなら安い要求だと思った。

「……何か、後ろから厄介な音が聞こえますねぇ……」

 啓壱朗が後ろを振り向くと、そこにはパトカーが何台も接近していた。

 時速二百キロで爆走した代償。警察に通報されてしまった。

 例えるなら手配レベルの星マークが二個ついたような状況である。

『そこの原付、止まりなさいッ!』

 後方からスピーカーで警告が流れる。国道は交通整理が行われ、すっかり封鎖されている。

 時速二百キロで爆走する危険車両とあり、警察は本気だった。

「振り切ればいいだろう。手を出すな……」

 勇輔は冷静に対処しようとしたが、時すでに遅し。

 啓壱朗は早速とばかりに四神の奥義、巨大な火炎鳥を手に創りだした。

「朱雀灼焔覇《フェニックスブレイズ》ッ!」

 朱雀の奥義を放つ啓壱朗。相変わらずネーミングが厨弐病である。

 パトカー一台が火炎に飲まれ、パニックになってスピンし大破炎上。

 後続のパトカーも次々と衝突し、慌てて逃げる警官たち。ほどなくして車が大爆発。

「ハハハどうですか勇輔!? 僕は四神の奥義を体得しました! 父を超えたのですよ僕はッ!貴方にも後でじっくり味わってもらいましょうッ!」

 久しぶりに狂気丸出しでニコィと破顔する啓壱朗。

「やはり、お前はアホだ」

 勇輔はバカではない。今後の展開が最悪になるだろう、と冷静に判断。

 アホ男が思念力の技を放ったことで、警視庁に一本の無線が飛ぶ。

『警視庁ゥー、警視庁ゥー、東京都新宿区にて思念能力者が暴れているゥー、現場警察官では対処できないィー、思念特殊急襲部隊《ISAT》の派遣を求むゥー』

 ISATとは、創覇大学の出身者で構成される警察部隊である。

 近年になって、治安を脅かす思念能力者に対抗するために創設された。

「警察には思念能力者の部隊がある。奴らを派遣されるぞ」

「え……」

 勇輔に言われて、啓壱朗は絶句した。そんなこと知らなかった。

 程なくして、上空にISATの隊員を乗せたヘリが飛来する。

 例えるなら手配レベルの星が四個ついたような状態である。

「上から来るぞ、注意しろ!」

 勇輔はハンドルを強く握り、上空からの攻撃に備えた。

 飛翔するヘリの中で、隊員が暴徒鎮圧銃《ライオットガン》に弾丸と思念力を込める。

 そして三人チームでキャビンから身を乗り出し、原付に向けて銃を向けた。

「ゴム弾射撃開始ィ!」

 思念力を込めた非致死性のゴム弾が斉射される。

 勇輔は原付を傾けてロールし、三発の弾丸全てを避けた。

 バゴァベギァドゴァとアスファルトを砕いて激しく破片を散らす弾丸。

 ゴム製とはいえまともに食らえば死にかねない。

「命中せずッ! ゴム弾再装填ぇン!」

 ISATのチームリーダーが叫び、ゴム弾をリロードする三名。

 だが、『脅威』に晒された啓壱朗はヘリをぎらっと睨んだ。

「蒼龍旋風破《トルネードストリーム》ッ!」

 ヘリに向けて右手を差し向け、そこから蒼龍の奥義を放つ啓壱朗。

 横向きにうねる竜巻がヘリコプターに直撃した。

「……え? のわーーっ!?」 

 竜巻に煽られたヘリはバランスを崩し、ひっくり返って急降下。

「たた助けベリゴブダァッ!!」

 そのまま近くの立木に衝突し、墜落してぐしゃぐしゃになった。

 隊員は流血しながら必死に逃げ出し、ヘリの残骸がほどなくして大爆発。

「アハハハハッ!! 警視庁も大したことないですねェッ! 僕の奥義に敵う奴などいないッ!」

「お前……」

 再び悪人面をして高笑いする啓壱朗。勇輔は呆れて物も言えなかった。

 そのことは直ちに無線で警視庁に伝えられた。

『えェー、ISATのヘリ墜落ゥー、繰り返すゥ、ヘリ墜落ゥー。実弾の使用許可を要求ゥー、およびィー、自衛隊の治安出動を要求されたしィー』

 それを受け、時の警視総監は実弾の使用を許可した。

 だが、警察のメンツが傷つくのを嫌って、自衛隊の治安出動は保留した。

 例えるなら手配レベルの星が五個ついた状態である。

「撃てェィ! 撃てィィ!!」

 防弾チョッキを着た警察官が応援に駆け付け、手にした自動拳銃を容赦なく発砲。

「わっ、わっ、わわっ!? ちょ、マジで撃ってきてますよ!?」

「ちっ……啓壱朗のクソバカ野郎がッ!」

 勇輔は原付で爆走しながら、体を捻って銃弾の嵐をかわす。

 周辺道路は完全に警察の管理下に入った。

 堅固に築かれたバリケードと、横向きに整列したパトカーが眼に入る。

「進ませるなァッ! 構えェィ!」

 警察官多数が待ち構えており、原付に向けてMP5短機関銃《サブマシンガン》を向ける。

 流石にマズイと思った勇輔、懐から戦闘用《バトル》鉛筆を取り出し、思念を込めて警官に投擲ッ。

「撃て……ザグザグアァッ!!」

 職務に忠実な警察官たちの額に、哀れにも鉛筆がブッ刺さっていく。

 もっとも全部は倒しきれない。火線が眼前を行き交う中、勇輔はバリケードに突っ込む。

「俺に掴まれッ!」

 啓壱朗に指示。勇輔は原付に思念力を込めて、体ごとホップアップさせた。

 高さ三メートルにジャンプする宅配用スクーター。

「なッ……!?」

 警察官たちは唖然とした。バリケードをあっさり超えて原付は去っていく。

「お、おい……あいつは……!」

 一人の警官が、見覚えのある顔に戦慄する。

「俺も見た……新宿ナンバーワンの用心棒、武田勇輔……だ!」

 隣にいた警官が相槌。新宿区で武田勇輔と言えば、警官で知らない者はいない。

 そのことは直ちに無線で告げられた。前科X犯の捕まらない危険人物《はんざいしゃ》だと。

 時の警視総監は止むを得ず、総理官邸に連絡を入れた。

『多数の負傷者が出ていますッ! すぐに自衛隊を派遣して下さいッ!』

 時の総理大臣はただちに問題だと判断し、治安出動命令を出した。

 近隣の自衛隊基地から陸上兵力が展開、東京都に戒厳令が敷かれる。

 例えるなら手配レベルの星が六個ついた状態である。

「勇輔。あのぉ……何か装甲車とか戦車が見えますけどォ?」

「良かったな。苦しまずに死ねる……」

 勇輔は冗談を言ったが、この状況、とても笑えない。流石の啓壱朗も顔を青くする。

 出動した自衛隊員が眼をギラつかせて八九式小銃《アサルトライフル》を構え、道中に立ちはだかる。

『止まれ貴様らッ! これ以上抵抗すると射殺するッ!』

 さっきから殺そうとしているが、拡声器とサーチライトで再び恫喝。

 だが勇輔は止まらなかった。ミミカを助けるためなら国をも敵に回すッ!

『お前たちは若すぎた。とても残念だよ……』

 隊員はキザな台詞を言って拡声器を切る。小銃が次々とバイクに向けられる。

「仕方ないな」

 流石にブチ殺されると判断したのか、勇輔はルートを変更。

 原付に思念を込めてジャンプし、近隣の住宅の屋根に乗った。

「んな……!?」

 自衛隊員は驚く。無理に射撃すれば一般市民を巻き込みかねない。

 そのまま家の屋根を道路代わりにジャンプしながら疾走していく。

 いかに最新の装備を備えた自衛隊であろうとも、これでは形無しだ。

「くそ、テロリストめッ! 市民を人質にするとはッ!」

 隊員たちは地面を叩いて悔しがった。

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