参章 ユニバーシティの覇者 その2
大学の覇者ともなれば、あらゆる学生や教員から決闘を挑まれるものだ。
たとえ恩師であろうとも。
ユニバーシティの覇者の朝は早い。
四月に入り朝の五時。蒼き世界が外郭に広がる時分に、勇輔は起床する。
ベッドの隣ではキャミソール姿のミミカがぐっすり寝ているが、無視。
梯子を降りてまずは入浴をし、それから新しい服に着替える。
(今日の朝食は……プランXにしようか)
早朝からすることは、料理部に向かい、部長の朝食を用意することである。
朝七時までに仕込みをしなければならない。寮を出て足早にサークル棟へ向かう。
「おはようございますシェフ! 本日もよろしくお願いします!」
部室に入ると、メイド服姿の料理部員が三人で出迎える。
「籠目片利奈っ!」
「江原乃衣恵っ!」
「山咲久麗亜っ!」
それぞれ名乗りを上げ、手にしたおたまとフライ返しと麺棒をクロス。
そうしてスペシャル・ファイティング・ポーズを取るッ!
「我ら、料理部三人娘ッ!!」
ジャキィィンとポーズを決める、十五歳の若き三人娘。
「……。ダサいな……」
勇輔がボソッと呟くと、三人してだうっと涙を流した。
「今日の朝食はプランXで行く。卵クリームとハムチーズのサンドイッチ、クラムチャウダー、グリーンサラダ、オレンジジュースを用意すること」
「はいっ!!」
勇輔はメニューを指定し、それから腕組みをして、後ろから三人娘の調理風景を眺める。
自ら料理を作るだけでなく、後進の指導を進める。これがシェフたる勇輔の課題だ。
三人娘には思念力の込め方を鍛え、今では三食を任せるようになっている。
「片利奈。卵に塩を入れすぎだ。〇・〇三ミリグラム減らせ。作り直し」
「えうぁっ……」
「乃衣恵。クラムチャウダーのアサリの砂が抜けきってない。やり直し」
「あうぁっ……」
「久麗亜。野菜の繊維が潰れているぞ。これでは食感が悪い。切り直し」
「はうぁっ……」
勇輔の厳しい指導に涙する三人娘。思念力を込めるだけでは食材は生かされない。
最高の調理をして初めて、料理は至高の境地へと達するのである。
いくつかの苦難はあったが、今日も無事に朝食を作ることができた。
「オレンジジュースは絞りたてを出す。食後に俺が作る」
「わかりましたシェフ! 部長のおなーりーぃ!!」
片利奈は銅鑼を鳴らして、奥の部屋の防音カーテンをオープン。部長のゆかりが現れる。
「部長、朝食の御用意ができました。ぜひ堪能を」
「あら、今日も美味しそうなモーニングですわ」
勇輔が勧め、ゆかりはいつものようにもぐもぐと食事をする。
「もぐ、もぐ。うん、アサリがちょっと古いですわね」
クラムチャウダー担当の乃衣恵は顔を真っ青にした。
市場で調達したばかりのアサリだが、鮮度管理がおろそかになっていたか?
「ハムは塩が強いし、ドレッシングの油分も多すぎですわ。勇輔君の作ったご飯には遠く遠く遠く及びませんわね?」
片利奈、久麗亜もそれぞれ顔を真っ青にする。
料理がお気に召さなければ、ちゃぶ台を返されたり皿を投げつけられる。
最悪の場合は思念気功波で吹っ飛ばされる。そうした経験は一度や二度ではない。
「まあ、それ以外は概ね良好ですわ。ごちそうさま」
多少の批判はあったが、ゆかりは朝食を食べきった。まずまずの出来である。
「ああ! 部長が私たちの料理を食べきるなんて! あり、あり……え……うぐっ」
三人娘は安堵と感動のあまり、一斉にだうーと泣いて、それから気絶してぶっ倒れる。
限界を超えて思念力を料理に込めた反動である。
「ところで勇輔君。あなたユニバーシティの覇者になりましたのね。部長として祝福しますわ」
「別に……大したことじゃない」
勇輔がしかめっ面で答えると、ゆかりはニコニコとセレブな微笑。
「私も一度、大学の覇者になりたかったのです。立ち会ってくださります?」
「……それは、シェフとしてできない相談だが?」
ゆかりからただならぬオーラ。今にも襲われそうな雰囲気を感じ取る勇輔。
栄養失調から立ち直り、戦闘力を増したゆかりと決闘になれば、勝てる保証はまずない。
「あら、シェフと決闘してはいけないのかしら?」
さらりとした長髪を梳いてゆかりは続ける。お嬢様らしい爽やかな笑顔で。
食事が終われば直ちに決闘に突入するだろう。勇輔はそう考え、ひとつ策を練る。
「どうしても闘ると言うのなら条件がある。万全な体調のあなたと闘いたい。食後のオレンジジュースを飲んでからお願いしたいのだが?」
勇輔は厨房に行って、厳選された地中海産のオレンジを手に取る。
果実を絞り機にかけ、ジュースをコップに作り、輪切りレモンとストローを添えて完成。
それを部長に供すると、ゆかりはドリンクを心待ちにした顔で笑む。
「あら、気が利くのね。ごくごく……」
しかしジュースには過剰な思念力が込められていた。
「がはぅァッ! イタリアの南部の飢えた大地の栄養を必死に集めて太陽の恵みを受けて一生懸命育てられたオレンジの樹木が最大限の甘みと酸味を込めて遺した一粒種の果実が生み出す素晴らしい風味と香味とシチリア産レモンとの最高の相性と何かがごふアッ!」
ジュースがあまりにも旨すぎて、早口でまくし立てて卒倒するゆかり。勇輔は勝利した。
「部長、ジュースにやられるとはまだまだだな……」
そう言って部室を後にした。
朝の九時になると、大学では『講義』が始まる。
勇輔は東地区のC棟と呼ばれる、学生向けの講義室がある建物にいた。
「……ふう」
C棟二階の教室に入った勇輔は椅子に座り、机に両足をどかっと載せる。
マナーも何もないが、創覇大学では学生の服装や態度は非常に自由である。
それこそ『強者なら』いかなる制限もない。
「ユニバーシティの覇者だ……」
「目を合わせるな、殺されるぞ……」
周りの学生たちは皆、新入生ばかりである。
とても勇輔には太刀打ちできない、と入学試験や秀政事件を見て悟っている。
勇輔の席の二マス以内には、誰一人として学生が座ることがなかった。
「おはようございます。山田です。思念力学概論の授業を始めます……おや、武田勇輔くん。僕の目の前でそんな座り方をするとはね……」
講義が始まり、教室に慌ただしく入ってきた山田。いきなり勇輔を名指し。
「おっさん、何か問題があるのか?」
「机の上に脚を載せるのはマナー違反ですよ、勇輔君。すぐに足を降ろしなさい。さもないと君を『留年』させます。再起不能にしてね?」
そう言って凄まじいオーラを巨体から放つ山田。
勇輔は意外にも素直になり、机から足を降ろしてみせる。
「授業の妨害をするつもりはなかった。これでいいのか?」
「流石ですね勇輔くん。それで結構ですよ」
教員と決闘する愚は避ける。勇輔は謙虚であった。
「君たちも覚えておきなさい。創覇大学では毎年、学生の四人に一人が留年します。つまり、一年間は再起不能ということです。普段の態度にはくれぐれも注意するように」
山田が言うと、新入生たちの顔が一斉に引きつる。
創覇大学には学年がなく、講義の単位を落として留年になることはない。
その代わり、体を破壊されて『留年』するのである。
「さて、思念力学概論の講義をしましょうか。思念力とはですね……イメージを形にする力!実にシンプルですね」
思念力の講義が始まると、新入生たちは初々しく真面目に耳を傾ける。
「人間は誰しも思念力を持っています。ですが、それを能力として使う人は限られています。貴方たちの中には、全く能力を持っていない人がいるかもしれませんね」
思念力とはイメージの力で云々……と基本的な内容が黒板に書かれる。
「しかし! だからと言って心配する必要はありません。我々は創覇大学の教員として、学生諸君に懇切丁寧に指導をします。もっとも、ついていければの話ですが」
創覇大学とは、まさに覇者を創る大学である。
思念力の基礎的な技術から奥義クラスの大技まで、『講義』で身につけることが可能だ。
しかし……講義についていけず単位を落とす者、過酷な課題で身体や精神を破壊される者、教員と争って留年に追い込まれる者が後を絶たない。
もっとも、これは普通の大学でもよくあることだが。
「では早速、思念力の簡単な練習を教えましょう。これは自宅でやって下さい。まずは、拳をグーで握り、それにイメージを込めて、殴る! 手を壊さないように注意しましょうね」
そう言うと、新入生の何人かが、実際に思念力を拳に込めて机を殴る。
当然、机はドゴバギァと砕かれた。一見すると学級崩壊にしか見えない。
「……やかましい」
勇輔はRPGのキャラクターが描かれた鉛筆で、大学ノートにカリカリとメモを取る。
もちろん全てひらがな。手にするは勇輔が自ら厳選したバトル鉛筆。
戦闘用鉛筆であるから間違いない、と彼は本気で思っていた。
「武田勇輔! ユニバーシティの覇者はいるかッ!」
講義の途中で、二階教室の後方から和装の男がガラッと扉を開ける。
「お前は……。九連流星ガベゴベァの男……」
勇輔がそう言って振り向くと、ぷーくすくすと教室中で苦笑が漏れた。
「変な呼び名をつけるんじゃねえッ! 俺の名前は上杉だッ! おい貴様ら笑うなッ!」
教室全体が和やかな嘲笑に包まれる中、上杉は日本刀を振り回して激昂。
「何の用だ? お前は不合格にしたはずだが?」
「ふん、それは『前期試験』の話だ。お前に敗れたあと、『後期試験』に挑んで合格したのよ。貴様を倒すと誓ってなッ!」
そう言って頭の鉢巻を縛り直し、刀を勇輔に差し向ける上杉。
「リベンジマッチだッ! 今すぐ表に出ろッ!」
「……先生、ちょっとトイレに行ってきます」
勇輔が言うと、学生たちはドッッと笑気を噴き出した。
C棟の階段を降りて外に出て、建物のそばにある小道で二人は対峙する。
「上杉と言ったか。先に言っておくが、俺は講義を欠席するのが最も嫌いなのだ。決闘に呼びつけたからには『覚悟』はできているな?」
「覚悟だと? なめんじゃねえぞ勇輔! パワーアップした新日本一刀流を見せてやるッ!」
そう言って、上杉は以前よりも遥かに強力な思念力を刀に込めるッ!
「新日本一刀流、究極奥義ッ! ガバゴベアベドベァッ!」
勇輔は技名を言う前に神速で接近し、拳でラッシュして上杉を吹っ飛ばしK・O。
「ガバゴベアベドベァという技か。覚えておこう……」
前回は四行でやられた上杉、今回の記録は十九行であった。
「全く情けない奴ねー。リベンジはあたしがやるわ」
ズタボロになって半分気絶した上杉だが、そこに丁度よくミミカが現れた。
頭に鉢巻を巻いて麗しく長髪を整え、豊胸にサラシを巻いて、色彩よき着物を帯で着つける。
スリットされた着物から太腿が大胆に露出、脚にも巻かれたサラシが妖艶な雰囲気を醸す。
それを見た同じサークルの上杉、幸せそうに笑って想いを伝えた。
「ミ……ミミカさん。おれ……ミミカさんのこと……好きだボァッ!」
倒れたままの上杉を、ミミカがズギャオと踏みつける。
「よわっちい奴が何を言ってるの? あたしが興味あるのは強い男だけよ! そう、勇輔っ!あんたを倒してあたしは、ユニバーシティの覇者になるっ!!」
ミミカが自信満々に指さすと、上杉は腫れた顔で幸せそうな笑みを見せる。
地べたから見上げる可憐な大和撫子は、美しくエロい。
「ミ……ミカ……さん、の……白い三角……どげぶげァッ!」
「ぱんつ見んじゃねえッ! くたばれ弱者がッ!」
ミミカはどげしどげしどげしと激しくカカトで顔面をストンピング。
上杉は至高の笑顔を浮かべ、悔いはないという表情で昇天した。
「はぁ……はぁ……とにかく勇輔っ! 今度はあたしと決闘よっ!」
顔を赤らめながら、手にした木刀を勇輔に差し向けるミミカ。
「軍事研究会の服じゃないな。サークルを変えたのか?」
「ふっ、あたしそんな薄情なことしないわよ。サークルの掛け持ちよ!」
ミミカは二つ目のサークル、剣道部に入ったのであった。
「また思念力で服を作ったのか?」
「ちゃ、ちゃうわッ! 自分で縫ったのよ! 気絶したって消えないから安心しなさいっ!」
顔を激しく真っ赤にして、頬をオーバーヒートさせて否定するミミカ。
まるでコミケのコスプレイヤーのような、非常に手の込んだ服装を麗しく着こなしている。
遠方ではカメラ小僧が写真を撮りまくっている。すっかり大学のアイドルになったようだ。
「ちょっとそこっ! 写真撮るなっ! ああもう、決闘に集中できないわっ!」
「なら、やめるか?」
「う、うるさい勇輔! それとこれとは別よ! あんたに負けない近距離の戦いを覚えるために剣道部に入ったんだから、今度は絶対に勝つッ!」
そう言って、ミミカは非常に軽くしなやかな木刀を両手で握り、突きの構えを取る。
「思念力で具現化した木刀か。なぜ日本刀にしなかった?」
勇輔はそう言って首を捻る。
木刀を具現化しても大した威力にならないのでは? と彼は考えた。
「日本刀じゃ勇輔が真っ二つになっちゃうでしょ! そのくらい分かれッ!」
ミミカは叫びつつ、勇輔に突貫する。
「新日本一刀流、奥義っ! 九連流星衝突剣っ!」
大仰な技名を叫んで九連撃の刺突を放つミミカ。
勇輔は滑らかな動きで連続突きをかわすが、一発が頬をかすめてブシッと血を噴いた。
「まだまだぁっ!!」
ミミカはさらに右回りに回転斬りを放つが、勇輔は後方ジャンプで避ける。
「今だっ! 食らえええええっ!!」
さらに連撃。体ごと縦回転して前方宙返りしつつ袈裟斬りを放つ。
空中にいた勇輔は避けようがなく、ガードしたが、まともに攻撃を受けた。
凄まじい威力の木刀に弾かれ付近の植生にドガズシャァと突っ込む。
「どうだっ! ただの木刀と思ってなめんじゃないわよ! これがあたしの新能力の思念刀!思念武器に思念力を込めて破壊力百倍よッ!」
有効打を加えたミミカ、朗らかに笑って勝ち誇る。
「なるほど……以前よりは多少マシになったようだが」
草むらからむくりと起き上がる勇輔。
腕が軽く痺れたが、大してダメージを受けていない。驚愕のミミカ。
「いっ!? あ、あれで全然ダメージ食らってないの!?」
「言っておくが、俺の服は防弾チョッキよりも硬い」
そう言うと、ミミカの着ていた着物の帯が、ポロッと取れた。
体の前がはだけて、純白の下着が衆目に晒される。
「んあっ!? いいいいつの間にッ!? しゃしゃ写真撮るなああァッ!!」
顔を真っ赤にして慌てて帯を締め直すミミカ。
カメラ小僧たちはここぞとばかりにシャッターボタンを連打する。
「撮るなって言ってんだろーがクソボケどもがアアアアアアァァッッ!!」
ミミカは両手に重機関銃を具現化してバリバリ掃射。
「がばぼべホゲどげぶゥッ!?」
哀れなカメ子どもはゴム弾ほどの威力の銃弾を受けてボコボコの蜂の巣にされて気絶。
お宝を収めた大事なカメラを全て破壊された。
「お前に足りないのは修行だ。一つの技を使いこなす努力が不足している……」
そう呆れ顔で諭して、勇輔はつかつかとミミカに向かって歩く。
「な、何を戯言を! あたしはまだ負けちゃいなばぅァッ!」
勇輔は距離を詰めて、ミミカの額に思念力を込めてデコピンを食らわせた。
上体を大きく反らして卒倒し、目を回して口から泡を噴く少女。
「ち、ちくしょう……ちくしょ~う……」
「ちっ、随分長い『トイレ』になった……!」
毒づいて教室に戻る勇輔。二人と決闘している内に講義は終わってしまった。
「おや、随分遅かったですね。もう講義は終わりですよ」
教材の片付けをしている山田が言うと、勇輔は露骨に不快な顔をする。
「これが毎日だぞ。いつ講義を受けろと言うのだ? ユニバーシティの覇者の肩書きなんて、誰かにくれてやってもいい……!」
勇輔は大学の覇者になって以来、大学の全学生から、その立場を狙われるようになった。
毎日のように見知らぬ敵に決闘を申し込まれ、その度に講義の履修が疎かになっていた。
「おや、君はずいぶん真面目なんですね。講義なんてサボる学生がほとんどだというのに」
「俺は普通の学生になりたいのだ。真面目に講義を受けてノートを取り、静かに日々を過ごすのが楽しみなのだぞ? あんな馬鹿どもの相手をするのはこりごりだ……!」
腕を振りかざして、理想と現実の狭間で葛藤を語る勇輔。
「ハハハ、なるほど。それは考えもしませんでした」
山田は教科書を鞄に詰めて、にこりと笑う。
「しかし、君が大学の覇者になったのは、ただの偶然ではないですよ。周りから慕われているから覇者でいられるのです」
「……そうなのか?」
「人望のない秀政が覇者になって、数日で転落するのは君も見たでしょう?」
そう言われると、勇輔は腕組みをして考えを巡らせる。
「俺の周りは敵だらけだ。人望などあるものか……」
「そうでもありません。決闘するほど仲が良いと言いますしね」
創覇大学ならではの理屈を述べて微笑む山田。
「君と一番多く決闘している人が、君を一番好きな人なのですよ」
「む……」
勇輔は思った。今までの短い学生生活で、誰と一番多く決闘をしたか?
一番多いのはミミカ、未遂も含めて五回はやりあっている。
彼女は、果たして自分と仲が良いと言えるだろうか? そう考える勇輔。
「君にはかけがえのない『戦友』がいる。それを忘れないことです」
「わかった。覚えておこう」
勇輔は友達という言葉を聞いて、少し気分を良くした……が。
「ところで勇輔君。僕も大学の覇者になりたいのですが、今から屋上に来てもらえます?」
山田は本題とばかりに凄まじいオーラを放ってニコニコニコニコする。
「言っておくが、俺はおっさんの講義を楽しみにしている。休講にするのは忍びないのだが?今日から一年間、な……」
勇輔は倒して当然とばかりに無慈悲な顔で言う。
山田の着ていたニットのボタンが、ポロッと外れて床に転がる。彼は冷や汗を流した。
何時の間にそんなことをしたのか? 山田は悟った、勇輔は以前より遥かに強くなっている。
「ハハハ……冗談ですよ」
そう言って、逃げるように教室から出ていった。




