プロローグ3
ケガを週一回医者にみてもらう以外に、特に予定らしい予定もなく7月後半の夏休みをオレは過ごした。
自分の部屋でゲームしたり、ネットしてみたり漫画読んだりしてたら、生活のリズムは崩れ、気がつけば昼間寝て夜間に動く生活になっていた。
ともなると、基本的に受付が昼間である病院に行くのは、やっぱり昼間になるので、オレは徹夜ならぬ徹昼を覚悟せねばならなかった。どうせ帰宅したらすぐに寝るのだが、それなりに面倒で嫌だった。
お盆になればケガをみてもらっていた病院が休院するらしかった。
その間ずっと包帯つけているのもアレなのでという理由で、8月に入ってすぐに包帯を外す許可がでた。
アレってなんだ。どんな理由だよ、と思ったが、とっとと包帯外したかったので何も聞かなかった。
やっと包帯を外して帰宅後にすぐ寝た。
おきて時計を見れば午後11時程であった。 カップ麺を食べてすぐにパソコンの前に座りヘッドフォンをつけた。
そうして現実という俗世を離れ、ネットの世界に飛び込む。………ネットの世界の方が余程「俗」かもしれないが。
そのまま、掲示板をみてまわったりしてたら後ろに人の気配がした。たまたま、オカルト系の内容の記事を読んでたので、ものすごく不安になった。 余計に不安になった。後ろを向く気にはなれなかった。
記事を読むのをやめてネットラジオで気分を誤魔化そうした。
お気に入りからラジオのページにとぶ。
そして、ラジオが始まりそうなときに、肩を誰かにチョンチョンとつつかれた。
体が驚いて、びくっとふるえた。背筋が伸びた。口から声にならない悲鳴が洩れたかもしれない。
バクバクとなる心臓の音が嫌に意識させられた。後ろに誰かいる。
ドアを横目で見る。閉まっている。我が家には両親と自分しかいないはず。両親は寝てるはずの時間であった。仮に起きていてオレに何か用があったらノックぐらいはするし、勝手にドアをあけても、入口で用件をのべるだろう。また、ドアを開ければ、そのことに気がついていただろう。
つまり、両親以外の誰かが、ドアを開けずにこの部屋に入りオレの後ろにいるということだ。
そうしている間にヘッドフォンからは場違いな感じのネットラジオのタイトルコールが流れだす。オレは何もできず、動けないままだった。
そして、フッとラジオの音が遠ざかった。後ろにいる誰かが、ヘッドフォンを外したのだ。 それでも動けないままのをオレの耳に年若い、というよりは幼い感じの女性と思われる声が聞こえてきた。しらない人の声だと思った。
「ねぇ、君はいつになったら寝るのかな~?」
オレは何も答えられなかった。というよりは動けないままだった。だが、幼い女の子の声に聞こえたので、子どもが相手ならば呆然としているのも年上として格好悪いかと思い始めた。
格下あいてでないと強気になれないとは情ないやつだと自分でも思った。 さて、年上として格好よく振る舞おうとしたそのとき、女の子が再度口を開いた。
「えぇっと、いきなり夜分遅くにお邪魔してすみません。
私は怪しい者ではありません。
どうか落ち着いて私の話を聞いてもらえませんか?」
何となくでばなを挫かれた気がした。というか、今さらながら突っ込みどころが多いなこの子は。
この子はまず、オレがいつ寝るのかを知りたがっていた。オレが寝るのを待っていたのか?ついでに言えばこの子は我が家に不法侵入したっぽい。ではこの子の目的はなんだ、泥棒か?寝るのをまっていたのはその方が仕事しやすいからか。
いや、しかしもし泥棒ならわざわざヘッドフォン外して話かけたる必要はない。ぶんなぐるなりすれば、意識を奪うくらいはたとえ子どもでもできるだろう。
話をきく余地はありそうだ。
というか、びびってないで、そろそろ相手の顔ぐらい見るべきか。オレは後ろを振り向いた。
そこにいたのは、パッと見て14才くらいの見知らぬ女の子だった。外国人なのか髪の色は銀髪で色白い肌で碧眼だった。
顔だちはそこそこ幼い感じもするが、整っていて、将来は美人になりそうだ。
なんてこと考えてたら、女の子は三度話かけてきた。
「やっとこっち見てくれましたね。さっきからずっと無視されているのかと思って心細かったです。」
ほっとしたようにそういう彼女を見て悪いことをしてしまった気がしたので、慌ててオレは言った。
「ごめっん、悪気はなかったんだけど、そのっ、
いきなりだったからびっくりして、こっちも。
それで、君は僕に何か用なの?」
噛みまくった。久し振りに同年代の子としゃべったら、噛みまくって、内容が支離滅裂でした。
いや、そうでもないのか?
どうだったんだ?もうどうにでもなれ~え。
「あの、そのですねぇ。あの、あなたにお願いしたいことがありまして…。」
今度は女の子が、しどろもどろ、何がしか言い辛そうに手を胸の前でもじもじさせる。
因みに彼女は薄い白のワンピースを着ていた。胸はきっと発展途上なのだろう。
あったとしても、胸の前にある手で分からなくなる程度だ。どうでも良いか。
「どんなお願いかな?
僕で良ければ聞くけど。」
オレは彼女の言葉を受け取って先を促した。今度は噛まずには言えた。だが、声が裏返った。
「実はですね。私と一緒に…―にいって欲しいんです。」
女の子が潤んだ瞳で上目遣いに聞いてきた。
しかし、途中声が小さくなってうまく聞き取れなかった。
どこに行って欲しいって?さっき寝るのがどうこう言ってたから、まさか、ベッドとかかしらん。そうことなの?そうなら返事は決まっている。
「宜しくお願いします!!!」
今度こそ、噛まずに、声も裏返らず、ビシッと言ってやったぜ!
女の子はそれを聞いてパッと顔を輝かせた。
「本当ですか?」
「本当です。さぁ早速行きましょう!直ぐに行きましょう!」
オレは女の子の肩を押してベッドの前まで追い詰めた。
「あのぅ、いったい何を…。」
女の子がしゃべるが構わずそのまま押し倒した。
きっと「私初めてだから、何をどうしたら良いかわかりません。優しく教えて下さい」的なセリフがでるところだったのだろう。
大丈夫、オレもはじめてだけど、色々予習はバッチリさ!
そのまま女の子に覆い被さり、顔を彼女に近づけようとしたとき
「何すんじゃ、おんどれはぁっ!!!!」
女の子が叫びながら、膝蹴りをオレの股間にくらわせた。
どうすればその体勢からその威力がだせるのか不思議に思うヒマもなく、衝撃が体突き抜ける。
何かが潰れる音が聞こえた気がした。
そしてそのまま目が真っ暗になって意識が遠のいていった。
ごちゃごちゃしてます。拙作ですが感想ご指摘あればせひ。